女性を中心とする約30名のスタッフがヘッドセットをつけ、画面を見ながら電話応対をしている。ここでは居酒屋の予約まで行っており「幹事さん」には頼りになるセンターだ。デスクはパネルで仕切られており、ネームプレートによって誰が担当しているのかが一目でわかる。壁には「応答率95%を目指す」というスローガンが掲げられている。
「コールセンターという呼び方は社内でもしないようにしています。ここは、お客様と接点を持つカスタマーセンターなのだと。お客様にとって有益なことを考える発想で、センターの運用を行い、スタッフもお客様に応対していく。お客様に喜ばれるセンターにしていきたい」とワールドピーコム システムサービス本部 システムサービス部 部長 堀口正人氏は話す。
外食業日本一を目指すコロワイドグループのカスタマーセンターは、グループ会社のワールドピーコムが運営している。コロワイドグループはM&Aに積極的に取り組み、牛角、かっぱ寿司、しゃぶしゃぶ温野菜などブランド力のある企業がグループに加入することで企業価値の向上を図っている。規模の面でも国内焼肉店舗数No.1、国内しゃぶしゃぶ店舗数No.1、国内回転寿司店舗数No.1、国内居酒屋市場シェア7.7%(2015年4月現在)を誇る。
競争の激化が進む中で、なぜコロワイドグループは急成長を続けることができるのか。その理由は、同一地域・ビル内で様々な業態を出店する多業態ドミナント戦略などを可能にする2,400店舗を展開する総合力と、「おもてなしを喜び」とするお客様第一主義の企業姿勢にあると言えるだろう。
カスタマーセンターの実績はグループの総合力とお客様第一主義を体現している。ピーク時には1日2,000件の電話を受けており、その内容はコロワイドグループのコロワイド、かっぱ寿司、アトムの3社の株主からの問い合わせが約1,000件、居酒屋の予約に関する電話が約500件、そのほかお店への問い合わせなどが500件程という。入電(着信)数に対し、受電対応者(オペレーター)が電話を取って対応した数の割合である応答率は、常に90%以上を維持。100人が電話してきた場合、90人以上の電話を受け付けていることになる。
応答率が大事なのはお客様満足とビジネスチャンスの拡大につながるからだ。予約電話を何度かけてもつながらなければ、「幹事さん」は時間を無駄にし、お店側はお客様の心とビジネスチャンスをともに失う。
ワールドピーコムは情報システムやネットワークの構築・運用などグループのITインフラを支えており、カスタマーセンターはその延長線上にあると言えるだろう。外食産業においてワールドピーコムの存在はコロワイドグループの一員としてよりも、セルフオーダーシステム市場で10年連続シェアNo.1を誇る、タッチパネル式セルフオーダーシステム「メニウくん®」の開発でその名を知られている。
タッチパネル式セルフオーダーシステムは2005年に同社がコロワイドグループの一員となるきっかけであった。「メニウくん®」の最大ユーザがコロワイドグループだった。