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このところ、にわかに注目を浴びている技術があります。「NANOMEMS」──。
「ナノメムス」と呼ばれるその技術は、あらゆる業種に浸透し、将来、我々の生活を豊かにする技術として高い関心を集めています。
NANOMEMSとはいったい何なのか。そしてNANOMEMSによって我々の生活はどう変わるのでしょうか。NANOMEMSという高い潜在能力を秘め た奥深き森を、丸紅ソリューションの技術スタッフがナビゲーションしてくれました。

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NANOMEMSは“動く”集積回路

「『NANOMEMS』のNANOは10億分の1メートルのことで、『MEMS』とは『micro electro mechanical systems』」の略です。ナノやマイクロという名前からも想像がつくように、機械を小さくする技術のことです」
機械を削って小さくするには、その分小さな機械が必要になります。小さいネジをはめるのに小さいドライバが必要になるのと同じです。しかし、小さくするのにも当然限界があります。
そこで考えられたのが半導体の微細加工技術です。何ミクロンという極細の電気回路をつくることで、より小さなサイズのものがつくれるようになったのです。
「そして、この半導体の技術をさらに発展させたのが『NANOMEMS』なのです」
集積回路(IC)とNANOMEMSには共通点があると同時に、違いもあります。共通点は極細の電気回路があること。アルミや銅などでできた電気回路が、 シリコンやガラス、水晶などでできた小さなチップにぐるぐると張り巡らされています。そして、ICとNANOMEMSを分けている決定的な違いが「動く」 かどうかです。
「ICは電気的な信号をキャッチするだけで、それ自体が特別な動きをするわけではありません。ところがNANOMEMSは可動部分がある。そのため、IC が平面的な構造なのに対し、立体的な構造になっているのです」

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我々の生活に浸透するNANOMEMS

「動く」といってもモータがあるわけではありません。
「NANOMEMSはとても小さいものです。その小ささゆえに動かし方にも特徴があります。たとえば、大きな機械だと静電力のような弱いエネルギーは使え ませんが、静電力は間が小さいほどくっつきやすい性質があるので、NANOMEMSなら静電力が使えるようになるわけです。また、電圧をかけると動いた り、熱を加えると膨張したりする素材があり、そうしたものを利用してピコピコと動かしてあげるのです」
こうして「動く」部分が加わることで、つくれるようになる製品があります。その代表例がセンサです。現在、車のエアバックの加速度センサとしてすでに実用 化されており、NANOMEMSセンサでGを測定することで、エアバックが開くようになっています。また、アメリカでは車のタイヤにもNANOMEMS技 術を使ったセンサが使われ、タイヤの圧力を測定し、圧力が減ったときに自動的に知らせてくれるようになっています。
「我々の身近なところでもNANOMEMS技術は浸透しつつあります。インクジェットプリンタのヘッドもそうですし、ホームシアターで使われるプロジェク タにも一部使われています。これはミラーという技術で、投射するビームの直径を小さくすることで、より高細密な画像にすることができるのです」
小さいことのメリットは沢山あります。まず1つは軽量化できること。さらに、小さいので製造コストも大幅に安くすることができ、使う電気も少なくて済むので省エネルギーになるという点です。
しかし、小さいがゆえに抱えてしまう問題もあります。それは、大きな機械では無視できた電磁波やガス圧などの影響を受けやすいということです。そのため、 設計したものの、思ったように動かないといったケースが起こりやすいのです。そこで、NANOMEMSの設計・解析ソフトウェアとして、便利なものが開発 されています。「CoventorWare」がそれです。

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電気的、機械的な影響を“一度に”解析

このソフトはアメリカのマサチューセッツ工科大学で開発されたソフトで、1995年に販売が開始され、翌年からMSOLが扱っている、NANOMEMSの設計から解析まで一貫しておこなうことができる商品です。
「NANOMEMSを試作する場合、何度も試作し、その都度修正を加えることで精度を高めていく方法と、事前にシミュレーションをしておいてから試作する 方法がありますが、このソフトはシミュレーションをおこなってくれるため、試作の回数を大幅に削減することができるのです」
そして、CoventorWareの最大の特長が「連成解析」と呼ばれる機能です。前述したように、NANOMEMSのような小さなものは、電磁波や静電 力といった小さな力でも影響を受けてしまいます。そうした複数の影響を“一度に”解析することができるのがCoventorWareなのです。
また、NANOMEMSの加速度センサを検査・校正する装置として「Msol-MACS(エムソル・マックス)」という商品もあります。携帯電話は今後、 小さなハードディスクが内蔵されるようになるといわれています。しかし、携帯電話が落下してしまうとヘッドがディスクを傷つけてしまうため、落下時に自動 的にヘッドを退避してディスクを傷つけないようにする仕組みが求められています。そのときに、NANOMEMSの個体差や落下角度などに関係なく、落下す るときのGを正確にセンサで感知できれば、そうしたシステムもできるようになるわけです。そのGを正確に測定校正する検査装置が、Msol-MACSなの です。

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NANOMEMSで広がるさまざまな可能性

今後、NANOMEMS技術はさまざまな応用が考えられています。
冷蔵庫が開閉されているかどうかをセンサで感知したりといったものから、電車の脱線を防ぐために、枕木1つ1つにセンサをつけて枕木の異常を事前に感知す る仕組み。さらに、患者の血圧などのデータを感知して、自動的にナースステーションに送るシステムなどが考えられています。
「今、NANOMEMS技術を使ってさまざまアイデアが生まれています。少量の液体をのせてDNA分析をできるようにしたいといった声もあり、そうした流 体に対応できるようにCoventorWareの設計プログラムも変化させていく必要があります。また、大学など教育機関にCoventorWareが導 入され始めていますが、こうした裾野をもっと広げていくことで、NANOMEMS技術も普及していくと思います」
以前、半導体はごく小さな市場でしたが、いまでは一大産業に成長しました。それと同じように、今後NANOMEMSも同じような市場規模になる可能性を秘 めています。「NANOMEMS」という言葉がごく当たり前のように使われる日は、もうすぐそこまできているといえるかもしれません。


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