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東洋大学

Coventor Wareは、MEMSデバイスを生成、モデリング、解析、インテグレーションを実行する4つの製品、Architect・Designer・ Analyzer・Integratorから構成されている、MEMS専用設計解析システムです。開発元であるCoventor社は、1995年に設立さ れ、マサチューセッツ工科大学(米国ボストン)との共同でマイクロマシンの解析シミュレーションを開発し、世界に先駆けてマイクロマシン解析ソフトウエア を商品化しました。Coventor WareはワールドワイドでMEMSとMicro Fluidicsのトップメーカー10社を含む150社以上の企業・研究機関で使われており、注目すべきは大学・教育機関では1700ライセンス以上使わ れています。


学  歴:
1977年    北海道大学工学部機械工学科卒業
1982年    北海道大学大学院工学研究科機械工学
第二専攻博士後期課程終了、名古屋工業大学工学部計測工学科助手
1985年    北海道大学工学部機械工学科講師
1987年    北海道大学工学部機械工学科助教授
1990年    メルボルン大学および南カリフォルニア大学文部省在外研究員
2002年~ 東洋大学工学部機能ロボティクス学科教授

所属学会: 日本機械学会,日本流体力学会,可視化情報学会,アメリカ物理学会,
                    アメリカ航空宇宙学会,惑星学会(アメリカ),マイクログラビティ研究会

流体における乱れの観測や制御にも--

東洋大学工学部は、2005年4月に「機能ロボティクス学科」を新設。人間とロボットの共生という視点から、従来の工学にくわえて医工学、マイクロ・ナノ 工学、さらには心理学や社会学などのアプローチも行い、総合的な学問としての研究・教育を行っています。研究課題の一つである微細装置の設計に CoventorWareを導入し、次代を担う学生の育成、研究課題を共有する企業との連携を進めています。


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機能ロボティクスというのはあまり聞き慣れない名称ですが、どのような研究や教育を行う学科なのでしょうか?

望月教授: ひとことで言ってしまえば、従 来の工学的なロボット創造というアプローチにくわえて、ロボットとどう共生していくのか、ロボットが受け入れられる社会システムをどのように整えていくの かという、ロボットとの関わり方をも研究していく学科になります。また、そういうことを理解した人材を社会に送り出すことも当学科の使命ですね。そのため に機能ロボティクス学科では、メカトロニクス、知覚情報処理、人工生命、コミュニケーション、スポーツ科学という5つの分野からのアプローチを行っていま す。ロボットが実生活に入り込んだとき、どのような社会現象や倫理変化が生じるのか、なんていうのは、これまでのロボット工学にはない考え方ですよね。し かし、これからのロボットを考える際には、人と接する際の心理学、認知・感性工学などといった人間生理学的な側面からのアプローチも大切になってくるで しょう。

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望月先生のご専門は流体力学であるとうかがっているのですが、 機能ロボティクスとは具体的にどのように関わってくるのでしょうか?

望月教授: 確かに一見しただけではあまり関係ないようにも思えますが、実はこれが深い関係にあるのです。
たとえば、管の中に燃料やオイル、冷却材などの液体を流すことを考えてみましょう。これは通常、ポンプで動かすことになりますよね。ところが、管に液体を 流すというのはけっこうたいへんなことなのです。ストローで飲料を吸い上げる時のことを考えてみてください。長いストローと短いストローでは長い方が吸い にくいですし、細いストローと太いストローでは細い方が吸いにくいでしょう。これは、細くて長い管ほど大きな抵抗が生じるからなのです。当然、抵抗が大き くなればポンプも大きくなってきます。
この課題の解決のために注目しているのが、生体の持つ機能です。たとえば人体の毛細血管は、ほんの数ミクロンという細い管で、これが全身にくまなく張り巡 らされているわけですね。一方、ポンプに当たる心臓は、わずか1ワット程度の出力しか持っていません。にもかかわらず、きちんと全身に血液を送ることがで きているのです。
あるいは植物もそうです。メタセコイアなどは100メートルもの高さに達することがありますが、これなどポンプすらないのに水を送ることができています。
こうしたことから考えると、生体というのは管におけるかなりの抵抗軽減デバイスを持っていると推測されます。現在の工学屋の技術よりもはるかにすごい技術 ですよね。ですから、生物に見習って、その運動や機能を模倣していこうと。これは「バイオミメティクス」というのですが、機能ロボティクスでは、このバイ オミメティクスも重要な位置を占めているのです。私の場合は流体力学からのアプローチになりますが、他にもさまざまなアプローチがあります。たとえば外骨 格などでしたら材料工学へと応用が利きますし、多足生物の運動を段差のある場所で移動できる特殊車両へと応用することもできます。細胞の浸透圧や群体行動 ※1なども重要になってきますし、生体と物理学、機能ロボティクスとは切っても切れない関係にあるのです。

※1 群体行動:虫や魚などの群れにおいて、多数の個体が集まってあたかもひとつの個体であるかのように振る舞う行動。統率する意志がないにもかかわらず成立しており、その仕組みは群ロボットに応用できると考えられている。


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望月先生はご自身の研究にもMEMSを活用されていますよね。 実際にどのような形で活用されているのか、お聞かせください。

望月教授: 私自身とMEMSとの関わりは、最初は航空 力学における翼の失速制御の研究が始まりでした。翼が飛ぶためには揚力が必要ですよね。そして、揚力が発生するためには、空気の流れが翼に沿っていなくて はなりません。ところが離着陸時などのように迎え角※1が大きくなると、この流れが翼から剥離する現象が起きてしまいます。当然、揚力は低下しますし、そ のまま失速、悪くすれば墜落ということにもなりかねません。そこで、翼に沿う流れを制御したいときにはフラップ(高揚力装置)を使ってコントロールしてい るのですが、実はそのコントロールのための装置自体が非常に大きくて重量もあるものなのです。したがって、余計に揚力を稼がなくてはいけませんし、燃費は 悪くなるしで、なかなか厄介なんですよね。
そこで我々は「高揚力装置を外してしまおう」と考えたわけです。要は剥離が起きなければそれでいいのですから、そのための装置は小さくても可能ではないか と。これにMEMSを用いているわけですね。流れを検出するセンサーや制御アクチュエータなどのマイクロマシンで剥離制御を行っているのです。この流れの乱れというものは非常にスケールが小さいので、小さなデバイスで制御するというのは理にかなったことなのです。こうして、私自身は「流れを制御する」という視点からMEMSをやっていました。
また、先ほどの管の話でも実はMEMSが活躍するんですよ。抵抗が大きくなる原因には、管の中で生じる乱流というものもあります。つまり、非常にスケール の小さな渦がたくさんある状態なわけですね。これをMEMSによって制御すれば、抵抗を軽減することができます。抵抗が減ればポンプも小さくなります。長 い管を使って液体を流すような装置としては、たとえば地域暖房※2などがありますよね。こうした装置において、流れの抵抗を小さくできるということは大き なメリットがあるのです。

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実現を目指して先生が研究中のロボットについて教えていただけますか?

望月教授: 現在は微小飛翔体の研究を進めています。ようするに、蚊やハエみたいな小型の飛翔ロボットです。観測のためのセンサーを搭載すれば、災害の調査や気象観測にも使えます。高空での気象データを大量に取得できれば、それだけ気象予報も正確に行えるようになりますしね。
ところが、観測機として使うためには、安く大量に作らなくてはなりません。そのためには、機能を減らして燃料を減らして、大量のものを頻繁に飛ばす必要が 出てきます。群ロボットとしての連携も考えなくてはいけないですよね。さらには、回収の費用を考えたら使い捨てにせざるを得ませんから、自然分解の素材の みで作らなくてはならないでしょう。課題はたくさんあるのです。

*1:迎え角:機体の進行方向と翼弦線がなす角のこと。機体の仰角ではない。
*2:地域暖房:清掃工場のゴミ焼却廃熱などの未利用エネルギーを活用して温熱を集中製造。地域内のビルや住宅に配管を通じて熱を供給するシステム。
*3:成:層圏:対流圏の上の層。高度約11~50キロメートル。


実現を目指して先生が研究中のロボットについて教えていただけますか?

望月教授: こうした製品のいいところは、実際にモノを作らなくても、アイデアを形にできるというところにあります。学生にはどんどん使わせて、実際の設計をやらせていきたいですね。
また、企業との連携にも活用していければと考えています。企業の一研究室のように捉えていただいて、ここで生み出された製品を実際の商品にしていただくのもいいかと。
あるいは、これからは大学もある意味、企業のような側面を持たなくてはならないでしょう。CoventorWareでアイデアを設計レベルまで持って行き、それを知の財産として売買するということも考えられます。

それでは最後に、研究者としてのモットーをお聞かせください。

望月教授: 工学は愛、ということでしょうか。つまり、他人が喜ぶ何かを作り出すこと、ひいては人に生きる希望を与えること、それが工学だという考えのもとに研究を進めています。

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