ヤマトシステム開発株式会社様

純国産、プログラミング知識不要のRPAで定型業務を 自動化社員一人ひとりの労働時間を短縮、働き方改革の推進に貢献

ヤマトグループのICT部門として宅急便ビジネスなどの基盤を支えるヤマトシステム開発。同社は、グループの最優先経営課題である働き方改革の推進にICTで貢献するべく、ソフトウェア型ロボットによるオフィス業務の自動化を目的に、純国産のRPAソリューションWinActorを自社導入し社内実践を行った。プログラミング知識不要のため、現場での利用・普及が図りやすいことから、現場の業務自動化・効率化を加速させており、今後も更なるRPAの普及を目指す。同社での成果をもとに、グループ企業へと展開、さらに事業化し一般顧客向けにもサービスの提供を開始した。RPAの導入・運用をスムーズに行うためにパートナーとして選択した丸紅情報システムズには、技術支援を含めたサポートはもとより、ビジネスパートナーとしても大きな期待を寄せている。

  • 社員一人ひとりの労働時間の短縮や効率化を図りたい
  • PoC(概念実証)を行い、RPAの実現性・実効性を検証した後、本格的に導入したい
  • RPAの導入・運用をスムーズに行うために頼れるパートナーがほしい

RPAを全社へ、グループ会社へ展開、ノウハウをベースにRPA事業もスタート

今や社会インフラともいえる「宅急便」を生み出し、便利で豊かな社会の実現に貢献してきたヤマト運輸を、ICTで支えているのがヤマトシステム開発だ。同社は宅急便システムの開発・運用を通じて、1年間で取り扱う18億個に及ぶ宅急便を安全・確実・スピーディに届ける物流を実現。また、これまで培ったノウハウとネットワークインフラを最大限に活かし、様々な業種の企業に対しICTを切り口とした業務効率化ソリューションを提供している。その技術力とサービス品質の高さは、グループ外売上比率が60%を超えるという実績からも明らかだ。

ヤマトシステム開発は自社内のRPAの成果をもとに、ヤマトグループへの展開を進めている。例えば、ヤマト運輸の財務部門では100以上のデータを扱う月次分析資料の作成をRPAで自動化した。作業時間が従来の2日から約2時間まで大幅に短縮できたことで、資料提供の迅速化と業務効率化の向上が図れた。またヤマト運輸の管理部門では間接事務業務の見直しの一環としてRPAを導入し、全社の業務改革の推進に向けて本社各部の業務での活用を検討している。

2018年8月、ヤマトシステム開発は社内やグループへのRPAの導入・運用で蓄積したノウハウをベースに、WinActorを使ったRPA導入支援サービス(※1)の提供を開始した。「販売後、商談数も増えており多くの問い合わせが寄せられています。RPA関連のセミナーも好評です」と、同社 ITオペレーティングカンパニー 事業推進グループ マネージャー 白井辰弥氏は語る。

同社のRPA導入支援サービスは、業務分析から試験運用、環境設定、本番運用までをトータルにサポートする。RPAを成功に導く最初のポイントとなるのが業務分析だ。「ヤマトグループのRPA導入においても業務プロセス改革の一環として、業務の見直し、標準化、自動化の流れの中でRPAの活用を捉えています。当サービスではお客様にヒヤリングを行い、RPAに適した業務のリスト化を行います。RPAの実践ノウハウに加え、豊富なシステム開発に基づく技術力で、お客様の働き方改革の推進に貢献できることが当社の強みです」と、同社 ITオペレーティングカンパニー 事業推進グループ チーフ 長尾悟氏は話す。

RPAの導入では基幹システムをはじめ業務システムとの連携が求められるケースも多い。「例えば、FAXを使用した業務を効率化したい場合、当社が提供するOCR(光学文字認識)を活用した注文書デジタル化サービスとRPAの連携により注文情報を自動的にお客様のシステムに取り込むことが可能です。お客様は検証・確認するだけで、受注業務の大幅な効率化が図れます」(長尾氏)

働き方改革の推進に向けてソフトウェア型ロボットに注目

ヤマトシステム開発をはじめヤマトグループの成長の原動力は「人」である。ヤマトグループの社訓「ヤマトは我なり」は、社員一人ひとりが会社の代表としてサービスや会社経営に責任を持つ「全員経営」を表す。2019年に100周年を迎えるヤマトグループでは、次の100年に向けた経営基盤の強化において全員経営を実践するための「働き方改革」を最優先課題と位置付けている。

ヤマトシステム開発が働き方改革を推進する上での課題について、同社 システム運用本部 サービス運用グループ マネージャー 新谷良太氏は「IT分野においても人材不足が深刻化しており、限られた社内の人材を最大限に活かすことは重要な課題となっています。また運用コストを抑制し、お客様やヤマトグループに還元していくことも大切です。人材の有効活用とコスト抑制の両軸で働き方改革に取り組んでいます」と語る。

同社は業務プロセス改革の一環として様々な施策を進める中で事務処理をソフトウェアで自動化するRPA(Robotic Process Automation)に着目した。産業用ロボットが工場のオートメーション化を進めたように、人がパソコンを使って行っていた事務処理に関してソフトウェア型ロボットのRPAが代行することでオフィスのオートメーション化を推し進める。同社ではグループの成長戦略を先進のICTでリードする視点からもRPAを検討する必要があった。

RPA製品の選定では誰でも簡単に利用できることを重視

2018年、総務省の発表によると、15歳~64歳の生産年齢人口が初めて全体の6割を切った。今後、加速する人材不足に対抗する手段として多くの企業がRPAに期待を寄せている。ヤマトシステム開発では社内実践でRPAのノウハウを蓄積し、ヤマトグループから、さらにグループ外の企業へのサービス提供も視野に製品の選定に入った。

同社がRPA製品を選定する上で重視したポイントについて新谷氏はこう話す。「全員経営の実践の観点から、社員一人ひとりの労働時間の短縮や効率化を実現するために誰でも簡単に利用できることを重視し、高度なITスキルを必要とせず、表計算ソフトのように現場で使えるツールを探しました。情報システム部門主導では多くの時間を要することに加え、現場ごとにRPAへのニーズが異なるため現場の声にしっかり応えるのは困難だからです。また働き方改革に終わりはなく、RPAを定着させて継続的に業務改善を行うために使いやすさは重要なポイントとなります」

システム運用本部は使いやすさの観点から複数のRPA製品を試してみたという。「プログラミングの知識がないと使えないツールが多い中、特別な知識が不要で簡単にRPAを利用できるWinActorはまさに求めていた製品でした」(新谷氏)

WinActorによる業務の自動化はシナリオ内容がフローチャート化されており、ドラッグ&ドロップなどのGUI操作で容易に編集が可能。WinActorによる業務の自動化は既存システムを改修する必要もなく、Excelから業務システムまで幅広く対応できる。新谷氏は純国産ツールである点も採用のポイントになったと強調する。「日本語のメニューで操作できるため敷居が低く、最初の一歩を踏み出しやすい点は大きなメリットです」

同社とメーカーとの架け橋となるパートナーに丸紅情報システムズを選択

WinActorの導入・運用をスムーズに行うためのパートナー選びも慎重に行ったと新谷氏は振り返る。「WinActorの販売代理店には単に製品を販売するだけでなく、当社の要望や質問などをメーカーにあげて回答を得たり、調整や交渉を行ったりなど、当社とメーカーの間の架け橋としての役割を担ってもらえることが必要でした。私たちシステム運用本部はRPAをいかに社内に普及し成果を高めていくかという点に力を集中したいからです」

チームの一員として一緒に取り組むことができるパートナーとして、同社が選択したのが丸紅情報システムズだった。「丸紅情報システムズは、かゆいところに手が届くというよりも、もう一歩踏み込んで、私たちがやりたいと思ったときに背中をかきにきてくれて、いろいろな面で助けてもらっています。営業力やサポート力を高く評価しています」

同社は本格導入の前に実現性・実効性を検証するべく、丸紅情報システムズのサポートのもと、WinActorを使ってPoC(Proof of Concept、概念実証)を実施した。「日々たまっている請求関係のExcelデータを、月初に請求書用の雛形に転記する作業がありました。人の手でファイルを開いて転記する作業は大変で、3時間程かかっていましたが、今はWinActorを使って自動化することにより20分で完了しています。実際に人の手と自動的に作成したものとを2カ月間かけて評価し、確かな手応えが得られたことで、2017年にまずはシステム運用本部にWinActorの導入を開始しました」(新谷氏)

システム運用本部は全国各地に拠点を持つ大規模組織である。各部署に面倒な作業は何かを洗い出してもらったところ、大量の業務があがってきたという。その中からRPAによって自動化できる業務を選定し対象業務を絞り込み、リスト化し優先順位を付けて取り組んでいる。また、RPA導入プロジェクトのスタッフを先生に育て、彼らが2018年度下期から各部署に対しWinActorの利用の仕方を教えている。「RPAで単純な業務を自動化し、ロボットに任せることで、本業への集中や新たな気づきを得るためのゆとりを生み出すことができます」(新谷氏)

RPAの効果は時間短縮だけでなく、コンプライアンスの強化にもつながると新谷氏は指摘する。「Excelを使ってお客様の住所など個人情報のマスキングを行う作業をRPAで自動化しました。人の手が介在しないことでコンプライアンスの強化とともに、担当者の心理的負担も解消できました」

障害発生時の業務影響を極小化するサービスにも乗り出す

今後、RPAによる業務の自動化が普及するのに伴い、障害発生時における対策の重要性が高まってくる。ヤマトシステム開発では、宅急便ビジネスを支えてきた24時間365日の運用監視インフラをベースに、RPAを監視することで障害発生時も業務への影響を極小化する仕組みの構築を進めている。「WinActorで作成したロボットを一元管理できる管理ロボット WinDirectorを活用し、その管理ロボットを人が監視し障害発生時に迅速な対応を実現します。当社はもとよりお客様が作成したRPAもサポート対象としたサービスの提供を視野に入れています。止められない宅急便システムの運用で磨きあげた技術力を活かす当社ならではのサービスとなります」と白井氏は力を込める。そして「新しいサービスの販売を拡大するビジネスパートナーとしても丸紅情報システムズへの期待は大きいです」と付け加えた。

新谷氏は「技術面も含め丸紅情報システムズに相談しており、チームの一員として、なくてはならない存在です。当社は創業以来のチャレンジとして、企業の事業価値や経営戦略を理解し共に事業価値を創造する『未来価値創造型』ビジネスの展開に挑んでいます。今後、付加価値の高いサービスの創造にもご協力いただきたいと思っています」と話す。

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