“失敗しない”RPAプロジェクトの秘訣。現場に入り込んで業務の自動化プロジェクトを成功に導く

目標を掲げ「トップダウン型」で挑むことが重要

RPAは、パソコンを使った定常的に繰り返し作業を自動化するソリューション。幅広い業種や業務において、効率化が見込めるため、多くの企業から注目が集まっています。

以前は効率化を図りたい業務があり、それをRPAで自動化していくことが一般的でした。最近はそれだけにとどまらず、業務ロジックを分析することで、今までRPA化が難しいと考えらえていた業務を対象としたり、手書き帳票対応のAI-OCR(光学的文字認識)を組み合わせて利用するケースも増えつつあります。

RPA化によって成果を実感した企業は、自動化の業務領域を広げ、グループ全体にRPAを横展開していく動きも顕著です。一方、想定したほどの成果が上がらず、プロジェクトが頓挫してしまうケースもあるようです。

これまでの経験から、導入サポートや教育サービスなど環境を整えて導入する企業は成功につながるケースが多いと感じています。教育によって短時間でRPAの知識が高まり、業務自動化のシナリオやルールの作成が内製化できるようになるためです。RPAの知見を持ったメンバーが増えることで、無理なく導入やメンテナンスができ、適用領域も広がっていきます。

目標を掲げ、トップダウンで実施する企業も、より高い確度で成功に繋げている印象があります。目標は、具体的でなくても構いません。「1年間で○○時間の業務を自動化させる」「○月末までに、○本のシナリオを本番稼働させる」「第1フェーズは○○部門で成功させ、第2フェーズで○○エリアで成功させ、第3フェーズで全国展開する」というように、企業ごとに目標は様々です。

そこに経営トップが関わることで、担当者として「自分の仕事や存在価値がなくなり、残業代も削減される」というマイナスのイメージから、RPAを成功させることで「存在価値が高まり、評価の低い単調作業から付加価値の高い業務にシフトできる」というプラスのモチベーションに変わるでしょう。実際に年間数千時間の業務がRPAで自動化され、成果をつかむお客様も珍しくありません。

業務の棚卸しからステップを踏んでプロジェクトを進めるのが重要

RPAの導入を成功させるためには、トップダウン型で具体的な目標を掲げることに加え、「検討」「開発」「試験」「導入」「運用」といったステップを踏んで、プロジェクトを進めることが重要です。

まず「検討」段階では既存業務の棚卸しを行い、RPA化対象業務の洗い出しを行います。その中からRPA化できる可能性の高い業務を選定し、現場担当者に現状の課題や解決してほしいことなどをヒアリングします。

ただ、このヒアリングは現場担当者に大きな時間的負担を掛けます。そのため、担当者には通常業務を行ってもらいながら、後でその操作をビジュアル化できるように、マニュアル作成ソフトなどの利用を推奨しています。

「開発」段階では現場のヒアリングを基に、RPAツールに実装する業務自動化のシナリオを作成します。この作業はお客様先にシステムエンジニア(SE)を派遣し、実際の業務現場で作業を行います。スクリプトなど独自の業務ロジックを作り、活用できるRPAソフトが強みを発揮するでしょう。

「試験」段階は開発したシナリオが、指示通りに動作することを確認するフェーズです。ここでは通常動作環境でチェックするだけではなく、異常動作環境における想定エラーまでチェックします。例えば、10回は正常動作するが1回は停止してしまうシステムでは使い物になりません。異常動作環境における想定エラーまでチェックしないと、システムの本当の精度は確認できないのです。

RPA導入の鍵は技術力を持ったパートナー選び

「導入」段階は、開発、試験をパスしたシナリオを本番環境に移行するフェーズです。開発環境は本番環境を再現していますが、実際に導入するとなると開発環境と本番環境が異なるということはしばしば発生します。現場の業務担当者と確認しながら、微調整を図っていく作業は欠かせません。

「運用」段階で重要なことは、正常に動作し続ける環境と必要なセキュリティを確保することです。場合によっては、すべてを自動化せず、人が確認するフェーズを設けて運用を監視します。業務への影響範囲が大きい(導入難易度が高い)ものは特に注意が必要です。

一定期間、運用を見守り、問題ないことを確認した上で、すべての対象業務を自動化していくというステップで進めていきます。エラーチェックのほか、正しく動作したシナリオにもスピードアップなど改善要素を含んでいます。業務フローの変更や改善に対応したシナリオの見直しも継続的に行っていきます。

RPAを導入する企業自身の、シナリオ作成や運用を内製化するための体制づくりも重要です。鍵となるのは、豊富な実績によって培われる技術力やノウハウを持ち、導入企業とゴールを共有し、コストダウンや業務時間の削減、RPA化による業務変革までサポートできるパートナーの存在ではないでしょうか。

教育サービスを利用したRPA導入率は99%

当社は国内シェアの高い“日本発”のRPAツール「WinActor®」を取り扱っています。そのため、金融、自動車、運輸、不動産など、多業種のRPAプロジェクト支援と、国内トップクラスの導入実績があります。

お客様向けに豊富な独自ライブラリも用意し、標準機能では実現できない業務内容の自動化や、要望にマッチした精度の高いシナリオを短期間で提供できるのがメリットです。このライブラリは高精度なシナリオを短期間で実現し、お客様の要望に合わせた開発にも対応します。

検討企業向けには、WinActor®のトライアルライセンスとして「ライセンスのみの1カ月貸し出し」と「教育サービスを含む2カ月貸し出し」の2種類を用意。教育サービスではオリジナルのプログラムを提供し、体制づくりを支援しています。当社オリジナルの教育サービスを利用した企業でのRPA導入率は99%です。

他にも、SEを派遣するオンサイト教育は、自己学習で通常2~3週間かかるスキルレベルを初・中級編(3時間程度)、実践編(3時間程度)の計6時間程度で習得する実践教育もあります。今後はさらに上位のスペシャル教育も提供していく予定です。

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安藤久人
丸紅情報システムズ株式会社 DS技術部
※所属・職名等は記事公開当時のものです。(敬称略)
定型業務を自動化する「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」。その導入企業は、ますます広がりを見せています。ミスの撲滅や生産性の向上など、大きな成果を上げる企業がある一方、思うような結果が得られず、プロジェクトが頓挫する企業も少なくありません。数多くのRPAプロジェクトに携わるDS技術部技術三課 エキスパートの安藤久人が“成功の秘訣”を語ります。