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ITインフラ

date_range2023年4月28日

Wi-Fi新時代、いよいよ到来。より高速・大容量で、よりセキュアなWi-Fi6Eが遂に始動

使用頻度が高まるモバイルデバイスを快適に使いこなせる企業内Wi-Fi環境の構築が不可欠の時代

今日、企業においては、社員はもちろん、来社している顧客などがスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのモバイルデバイスを使用する状況が当たり前になっていきています。そのため、より高速で、安定的に利用できるWi-Fiが不可欠のインフラといっても過言ではありません。

また、昨今では企業内でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が必須となっており、その対応のためにも、高速な無線通信は欠かせません。

そうした環境下で、今、企業を中心に注目を集めているのが、新しい無線LANの規格であるWi-Fi6Eです。

今後は、Wi-Fi6Eが主流になることは間違いありません。企業においても、できるだけ早期にWi-Fi6Eへの対応を図ることが、ネットワーク環境を高位標準化させる上でのキー・ファクターになることでしょう。

進化し続けるWi-Fiの変遷を振り返る

Wi-Fiとは、無線LAN(Local Area Network)の相互接続性を保証された製品のことを意味します。無線LANはIEEE 802.11という標準規格に基づいて開発された技術です。この標準規格が制定されたのは1997年のことで、最初に関連製品が市場に登場したのは1999年のことでした。当時は主に企業向けの高速ネットワークとして普及しましたが、2000年代以降に家庭用・個人用としても普及するようになりました。今日では、Wi-Fiは相互接続性の保証された製品という意味だけではなく、無線通信規格や無線LANサービスとして世界中で利用されるようになっており、非常に便利なネットワーク接続手段として、社会に浸透しています。

このように世界中に普及・浸透したWi-Fiですが、通信速度や通信容量などは日進月歩で進化しています。

無線LANの規格には、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n(Wi-Fi4)、802.11ac(Wi-Fi5)、802.11ax(Wi-Fi6)といった異なるジェネレーション(世代)があります。大まかな言い方をすれば、末尾のアルファベットがa、b、gなどは古いジェネレーションで、n、ac、axなどがつくものは、より新しいジェネレーションになっていきます。

これらのジェネレーションは、それぞれが異なる通信方式、速度、セキュリティ機能などを備えており、単純化していえば、新しいジェネレーションの規格ほど、通信速度がより速くなっていったり、よりセキュアになっていったりという進化を遂げて、より便利で使い勝手の良いものになっています。

現在、最も新しい規格はWi-Fi6といわれる802.11axで、これは2019年に利用されるようになったもので、いま市場ではWi-Fi6が主流といえる状況です。

Wi-Fi6Eの始動により、無線LAN接続は、より速く・より安定的・よりセキュアになる

2019年から利用できるようになったWi-Fi6が、ここ最近では主流になっていますが、そこにWi-Fi6Eという新しい規格が登場しました。Wi-Fi6EのEは、Extended(拡張)のEです。つまり、Wi-Fi6の拡張タイプがWi-Fi6Eだと考えればよいでしょう。そして、ここで拡張されたのが、周波数帯です。

Wi-Fi6までは、使用できる周波数帯は、2.4GHzと5GHzの2つでした。これに対して、Wi-Fi6Eでは、6GHz帯も使えるようになりました。

Wi-Fi6で使用できる2.4GHz帯と、5GHz帯にはそれぞれに難点がありました。2.4GHz帯に関していえば、周波数の幅が狭いというのが難点であり、使いづらいといわれる原因でした。2.4GHzの中で使用できるチャネルは1チャネルから14チャネルまでありますが、干渉がなく使用できるチャネルは3つ程度しかありません。さらに2.4GHz帯は、Wi-Fi以外、たとえばブルートゥースや電子レンジ、コードレスフォンなどでも使われている関係で、状況によってはWi-Fiのサービスに影響を及ぼしてしまうという問題がありました。

これに対して5GHz帯は、2.4GHz帯に比べて非常にチャネル数が多く、20チャネルほどが使用可能です。しかし、その半面で5GHz帯にはDFSという機能的な特徴があることによって、使い勝手が悪くなってしまいます。

DFSとは、Dynamic Frequency Selection(ダイナミック・フリークェンシー・セレクション)の略で、無線デバイスの動作周波数を、重要性の高い航空管制レーダーや気象レーダーなどで使用されている場合には、そちらを優先させるために、Wi-Fiのアクセスポイントでは、周波数帯に干渉を与えるレーダーの信号を検出した際には、そのチャネルの停止を行います。そのため、チャネル数の多い5GHz帯であっても、状況によっては安定的に利用できる周波数帯ではないという問題もあります。

6GHz帯には、そのような問題がないことから、今後のWi-Fiのさらなる活用シーンの増加が見込まれます。そして、6GHz帯を利用可能になる規格がWi-Fi6Eです。

このWi-Fi6Eのメリットは、「より速く」「より安定的」で、かつ「よりセキュア」であるという点にあります。

Wi-Fi6Eなら、速い通信得度を維持し、DFSの影響を受けない安定性も確保できる

「より速く」というのは、文字通り、通信速度が速いことを意味しています。

これまで使われているWi-Fi6までの規格には、下位互換性がありました。そのため、たとえばWi-Fi6のアクセスポイントでは、Wi-Fi5やWi-Fi4の端末なども収容できてしまうため、そうした古い規格の端末を収容してしまうと、通信速度が全体的に遅くなってしまうという弊害があります。

しかし6GHz帯のWi-Fi6Eには、Wi-Fi6Eの端末しか収容できません。そのため、通信速度が遅くなることがなく、ずっと高速を維持できるというメリットがあります。

そして、「より安定的」です。現状、6GHz帯には、DFSに関する規制がないことによって、DFSの影響受けず、常に安定的にチャネルを使用できます。これにより、安定性が確保されるというメリットが享受できます。

企業にとっては、ますます重要性を増す、セキュリティ性も向上したWi-Fi6E

さらに「よりセキュア」であることについては、Wi-Fi6Eが、WPA3必須対応であることに由来しています。

Wi-Fi Allianceでは、Wi-Fiをよりセキュアに使う目的で、Wi-Fiネットワークのセキュリティを強化するための規格も策定しており、それがWPA3です。

そもそもWi-Fi Allianceが策定するWi-Fiネットワークのセキュリティの規格には、WPAとWPA2があります。

WPA/WPA2は、Wi-Fi Protected Accessの略で、従来の脆弱性のある暗号化方式に代わって制定された暗号化方式です。それぞれTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)とAES(Advanced Encryption Standard)という暗号化技術を採用しています。今日の主流はAESを利用したWPA2です。WPA3はWPA2の一部の脆弱性を改善したものです。

Wi-Fi6Eは、このセキュリティの規格に関していえば、WPA3必須対応となっています。つまり、今日における最も強固なセキュリティ規格であり、従来のWi-Fiに比べて、Wi-Fi6Eは、よりセキュアになったと評価できます。

今日、ネットワークのセキュリティ性は重要で、今後ますますその重要性は高まっていきます。特に企業などの場合、情報漏洩など発生すれば、その被害は甚大なものになりかねません。Wi-Fi環境をよりセキュアにすることは、極めて大きな課題といえます。

Wi-Fi6Eのメリットを最大限に享受するには、Wi-Fi6E対応の環境整備が不可欠

これまで見てきた通り、Wi-Fiの環境を飛躍的に快適にしてくれるポテンシャルをもつWi-Fi6Eですが、必ずしもメリットだけではありません。唯一のデメリットとでもいうべき点が、アクセスポイントなどWi-Fi6Eに対応した機器が少ないことです。

日本では、2022年9月に総務省が6GHz帯の使用を認可しました。これにより、規制の面だけでいえば、これ以降、Wi-Fi6Eが使えるようにはなっています。

しかし前述の通り、Wi-Fi6Eを利用するためには、Wi-Fi6Eに対応したアクセスポイントや端末などの機器が不可欠なのですが、Wi-Fi6E自体は、つい最近になって登場したばかりの規格であるため、まだまだ対応機器が十分に市場に浸透していないというのが実情です。

しかし、今はまだ過渡期であるために、Wi-Fi6E関連の機器の普及が十分でなかったり、導入する企業などの団体が少なかったりといった弊害はありますが、その利便性の高さに鑑みれば、近いうちにWi-Fi環境はWi-Fi6Eに置き換わっていくだろうことは容易に想像できます。たとえば、学校施設や、多くの人が集まることの多いスタジアムやコンサートホールのような施設では、イベントなどが開催されれば、多くの端末を収容する必要に迫られますから、早い時期に導入が進むことが予想されます。

Wi-Fi6E対応機器等の導入を考えたら考慮すべき注意ポイント

いずれ企業等においても、Wi-Fi環境がWi-Fi6Eに置き換わっていくことは間違いないことでしょう。まだまだ過渡期であるとはいっても、すでにWi-Fi6E対応の機器が市場に登場してき始めているので、ここでWi-Fi6E対応の機器等を導入する際の注意ポイントなどについてみていくことにしましょう。

現時点では、Wi-Fi6E対応の携帯端末などが普及していないので、どのタイミングでどんな端末が市場に出回るのか、その動向を注視することは重要です。しかし、その動向とは別に、アクセスポイントについては、どの周波数帯を利用できるのか、という点を選定ポイントのひとつにすべきです。

現在でも、デュアルバンドと称して、2.4GHz帯と5GHz帯の2の周波数帯に対応するアクセスポイントはあります。しかし今後は2.4GHz帯と5GHz帯に加えて、6GHz帯が使えるトリプルバンドといわれるものであったり、デュアルバンドであったとしても、2.4GHz帯と5GHz帯、そして6GHz帯の中から2つを選べるタイプのものなど、ラインナップが豊富になってくると思われますので、どんな周波数帯を同時に使えるか、ということは重要な選定ポイントになります。

そして、アンテナ数も重要な選定ポイントになります。それぞれの周波数帯で、アンテナを2つずつ使用している2×2(2ストリーム)や、4つずつ使用している4×4(4ストリーム)などがありますが、より多くの端末を収容する必要があるアクセスポイントなら、よりアンテナ数が多い方が良いでしょう。

さらに、消費電力についてもしっかりと確認することが肝要です。以前までは2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯だったものが、6GHz帯を加えて3つの周波数帯に対応するようになったことで、アクセスポイントの消費電力はより大きくなります。場合によっては、従前の電力規格では対応できないようなアクセスポイントもあり、必要な場合にはスイッチのモデルをグレードアップしなければならいケースも出てくる可能性があります。電気代が高騰している昨今の状況に鑑みれば、消費電力をチェックすることも、機器選定の上で大きなポイントといえるでしょう。

丸紅情報システムズが提供するExtremeなら、高効率にWi-Fi6E環境を整備

当社、丸紅情報システムズがご提供しているExtreme Networksの無線LANアクセスポイントでは、2つのモデルがすでに販売をスタートしています。また今後も、順次、Wi-Fi6E対応の機器が登場しますので、Wi-Fi6Eの導入を検討されるなら、ぜひ当社、丸紅情報システムズにご相談されることをお勧めします。

たとえば、現在日本で販売しているExtreme NetworksのWi-Fi6E対応の無線LANアクセスポイントは、全ての機能を使う際にもPoE++の様な大きい消費電力を要求しないため、利用環境によっては電気代削減のメリットも享受できます。企業によっては、1000台ものアクセスポイントを使用しているケースもあるでしょうし、アクセスポイントの数が多ければ、電気代の削減割合も大きなものになるでしょう。

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