丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。
本題の前にお知らせです。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、Stratasys North Asia 3Dプリンティングフォーラム Japan 2018(ストラタシス社主催)が開催されます。
日時:2018年10月26日(金)
9:30~18:00(受付開始時刻 9:00~)
会場:紀尾井カンファレンスMAP
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町1-4
東京ガーデンテラス紀尾井町「紀尾井タワー4階」
”今年も国内外から有識者をお招きし、アディティブマニュファクチャリングのヒントやノウハウを共有させていただくだけでなく、お客様、弊社スタッフ、パートナーとのネットワーキングの機会も設けさせていただきます。これを機会に、3Dプリンタを「使う」から「使いこなす」へと、活用のステージを広げて頂きたく存じます。
尚、本イベントは今年もストラタシスユーザ限定イベントとさせて頂きたく、皆様のご理解とご了承のほど何卒宜しくお願い申し上げます。
国内初の講演内容も含まれる予定です。すでにストラタシス製品をご活用いただいているユーザーの皆様への特別なイベントとなります。ぜひこの機会をお見逃しなく、ご参加ください。
株式会社ストラタシス・ジャパン
代表取締役社長 片山浩晶”
事前参加登録が始まっていますので、Stratasysユーザーの皆様はぜひ下記サイトからお申し込みください。
https://www.event-site.info/3dprintingforum2018/japan_pre/registration/registration.html
ここから本題です。皆さんは「加工技術データベース」をご存知でしょうか? まずは下記のウエブサイトをご覧ください。
http://www.monozukuri.org/db-dmrc/
トップページの概要説明を以下に引用します。
「国立研究開発法人 産業技術総合研究所では、機械加工部品の製造に係る幅広い加工技術を集積した「加工技術データベース」を無償公開しています。
最適加工条件の設定、加工トラブルの迅速解決、改善・改良のヒント、新たな加工技術の取得、新分野進出などにお役立て下さい。
ご利用いただけるのは、日本国内の企業、教育機関、公的機関などに勤務される方と個人事業者です。 」
利用申し込みは簡単で、メールアドレスといくつかの情報を入力登録すると、ログインIDとパスワードが送られてきて、それでログインするだけです。
トップ画面の右下にあるので目立たないのですが、ログイン無しで誰でも見ることができる、「ものづくり基盤技術・技能教本マニュアル」があり、様々な加工の基本的マニュアルがあります。こちらをご覧ください。
筆者はかなり前から加工技術データベースを利用させていただいていたのですが、当然当時は3Dプリンタは無く、3Dプリンタが加工技術の一つとして認められて、ここに追加されるのはいつになるだろうと思っていたのですが、あるご縁から自分が3Dプリンタの追加に関わることが出来、それがついに先日実現したということで、小さなことではありますが、個人としては感慨深いものがあります。
実現した経緯を紹介しますと、弊社丸紅情報システムズ株式会社は、カーボンナノチューブ素材の輸入販売をしていることから、一般社団法人ナノテクノロジービジネス推進協議会(略称NBCI)の会員企業で、協議会には会員企業委員により個別技術について情報収集共有、公的プロジェクトとの連携や提案をするテクノロジー委員会があり、その中の一つとして「3Dプリンタ分科会」が4年前に設立されました。設立時から筆者は委員として参加しています。その活動の一つとして「3Dプリンタデータベース」を産業技術総合研究所様のご支援ご協力、委員の皆様のご努力によりゼロから作り、今年5月末に完成公開に至りました。
NBCI会員、3Dプリンタ分科会委員への募集は随時行われていますので、もし参加ご希望の方がいらっしゃれば、NBCIにこちらから直接お問い合わせください。
それでは「3Dプリンタ」データベースで何が調べられるかを簡単にご紹介します。
加工技術データベーストップページから「3Dプリンタ」アイコンをクリックすると、下記のページが開きます。
大きく3つのコンテンツがあります。
1.3Dプリンタ概要
ここではまず3Dプリンターの基本や全体像を知るための情報があります。歴史、主な工法がイラスト付きで書かれています。
また、実は他に無く、とても大事な情報として、3Dプリンティング(ここではAM、アディティブマニュファクチャリング)の標準規格化と全体像を調べることができる「国際標準化の動向」というページがあります。これは、国際工業規格ISOのAMに関する規格制定委員会に日本からは産業技術総合研究所の方が参加されていて、その方からの情報を掲載しています。
2.研究報告検索
筆者はこのデータベースも他に無く、とても価値があるものだと思っていますが、国内都道府県にある産業技術研究センター、工業技術研究センターなどの公設試と呼ばれる施設では、かなり前からそれぞれの地域特色に合わせて3Dプリンターを導入、技術や用途研究をかなり積極的に行われてきました。しかしその成果を調べるのには手間がかかっていましたが、「イーグルサーチ」という仕組みで、3D プリント工法、材料、施設名、発表年などを選択して絞り込んでいくことで、調べたい研究発表公開ウエブサイトのリンクを簡単に探すことができます。また、お住いの近くの公設試がどのような3Dプリンターを所有、研究しているのか、もしくは興味がある、または使っている3Dプリンターについて使っていて詳しい公設試はどこかなどを知ることで、問い合わせる先を絞れますので、ぜひ活用してみてください。
3.事例検索
こちらでは、公民問わず、3Dプリンターの活用事例を共有するためのデータベースですが、現実として特に民間企業では自社の活用事例を詳しく公開することが難しく、メリットも少ないと考えられる会社が多いので、現在登録されている事例は非常に少ないのが現状です(弊社丸紅情報システムズ株式会社からも登録していますが)。ただ、ここで事例を公開することで、これまで3Dプリンティングをご存じなかった、他の加工技術データベースを利用されている方に知っていただいたり、ビジネスマッチングが出来る可能性もあることから、今後希望者が事例を公開登録できる仕組みを追加する検討を委員会で続けていますので、お待ちください。
このコラムでも何度か触れていますが、特に日本では日本語による3Dプリンティングに関する情報量が不足していると思いますが、それは情報が無いという意味ではなく、表に出されていない、または探せない、見つからないという部分もかなり多いのではないかと思います。「加工技術データベース」はほんの小さな改善ですが、このような情報からまた別の情報へつながっていくきっかけになればと思います。
3Dプリンティングをどう活用するかは、まず出来るだけ知ることが重要で、公設試の専門家に聞くのも近道の一つです。使う、使わないを知らずに判断することは惜しいことですし、危ないことでもあることは言うまでもないことでしょう。
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