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バタフライエフェクトと3Dプリンティングの関係は?掲載日:2022/01/19

「バタフライエフェクト」とは、蝶の羽ばたきのような小さな変化が、複雑な連鎖により大きな変化の結果に至る関係性の例えを語源とする言葉だそうですが、複雑化して先の見えにくい今年の初めに、海外のイベントから3Dプリンティングによる「小さな変化」を見ました。それはどのようなことかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

CES2022での3Dプリンティングによる「小さな変化」

日本でもご存じの方も多いと思いますが、毎年1月にアメリカで50年以上開催されている展示イベント「CES」は昨年はオンラインだけでしたが、今年はラスベガスの会場とオンラインの併催で1月5~8日で開催されたそうです。元々はデジタル家電のイベントでしたが、近年はあらゆる最新デジタルテクノロジーの発表の場となり、数年前よりは大幅に減ったものの、3Dプリンティングに関わる展示があったことも複数の海外ネットメディアで報道されました。

ここで出展されるものは、すぐに市販されるというより、これからの社会に今後大きな変化をもたらすかもしれない「小さな変化」を起こすものが多いと思います。先日「バタフライエフェクト」がテーマとなったテレビ番組を筆者も見ましたが、これはブラジルの蝶の羽ばたきがテキサスの竜巻を起こすという、小さな変化が複雑な連鎖により大きな変化の結果に至る関係性の例えが語源のようで、気象のような複雑な現象は正確な予測が難しいけれども、だから何もしないのではなく、小さな変化の観察や技術と知識を使うことで最適に近い予測は出来ることも示唆しているそうです。

そのような「小さな変化」になるかもしれない展示の例をご紹介します。未来のファッションを研究する複数のデザイナーによる欧州のプロジェクト Re-FRAMEをStratasys社がPoly Jetフルカラープリンターと、人の骨、軟組織、血管などのリアリスティックな模型のために開発した硬質・軟質材料による支援でできたEvolveとSepiidaというシューズは、歩く人の足の変形、温度、圧力や摩擦などをデータで記録でき、次のデザインの改良に活かせるとのことです。

Stratasysの記事
https://www.stratasys.com/explore/blog/refream?returnUrl=%2Fexplore%3FPage%3D1%26Phrase%3D%26ResourceTypes%3D%257BF95BC16E-473D-4ED5-BD2F-FD4322C45EA6%257D

このような物理現象や生体信号をデジタルデータで取得記録し、それをAIで「人が使える」情報にするデバイスを快適に、またはファッションとして身に着けることが3Dプリンティングによりできるようになることは小さな変化かもしれませんが、数年後の社会の大きな変化になるかもしれません。

世界の社会や製造を取り巻く経済はますます複雑になり、予測して計画を立て、実行していけばそれに近くなるという従来型のモデルは成り立ちにくく、テクノロジーの進化も予測は難しいとすれば、今出来る範囲で「現物」による小さな変化を多く頻繁に起こし、そのなかでバタフライエフェクトになりそうなモノやコトを見つけていくような動きがみられ、3Dプリンティングはそういう動きに合った道具なのではないかと、あらためて思いました。

TCT Japan 2022 展示会のお知らせ パネルディスカッションの追加情報も

前回のコラムでもお知らせしましたが、今年最初の展示会としてTCT Japan 2022が下記の通り開催され、弊社丸紅情報システムズ株式会社もブース出展いたします。加えて追加情報として、筆者も企画とファシリテータとして登壇することになりましたパネルディスカッションが1月28日(金)に開催されることが急遽決まりました。「蝶の羽ばたき」が見つかるかもしれませんので、感染防止対策の上で、ぜひご参加ください。

【開催日時】
2022年1月26日(水) ~ 2022年1月28日(金) 10:00~17:00
【会場】
東京ビッグサイト 東ホール(当社ブース番号:3T-10)
【主催】
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
イベント公式サイト https://www.tctjapan.jp/index.html

また2022年1月26日(水) 13:00-13:30  TCT Introducing ステージ(東3ホール)出展者セミナーにて筆者が講演致します。登録不要無料ですので、ぜひご参加ください。
Stratasys (樹脂) Desktop Metal(金属);3Dプリンティングシステム製品・材料と活用事例の最新情報

2022年1月 28 日( 金) 10:15‐11:30  TCT Conferenceステージ(東 3 ホール )にて、 「 ビジネス志向で考えるAM活用 」をテーマにパネルディスカッションが開催されます。

参加は無料で事前登録が必要です。パネリスト、事前登録はこちらをご覧ください。

これまで日本の3Dプリンティングの活用が欧米亜の先進地域より遅れていると言われていて、その要因と対策について装置・材料のQCD、または設計(DfAM)の視点や海外事例から情報意見交換したりするイベントは多数あったかと思いますが、ここでは敢えて「ビジネス」の視点から、3Dプリンティングを利用する立場、規格や品質管理を教育する立場、装置やサービスを提供する立場の有識者の皆さんに、「日本での実際のところ」の情報意見交換をしていただこうと企画しています。これにより何か「ひとつの答え」を出すことは考えておらず、それぞれ違う事情のみなさんが3Dプリンティングをどうビジネスに活かすかを考える視点ときっかけを提供できればと思っています。

上記の展示ブースや出展者セミナーでも紹介する予定で、日本でもこれから販売されるStratasys社の新技術による新製品「Origin One」「H350」について、海外ユーザーの使い方を紹介する動画が最近公開されましたので、ご紹介します(どちらも英語のみ 音が出ますのでご了承ください)。

Origin One スノーボードビンディング実用部品の例

H350 競技用自転車サドル実用部品 マスカスタマイズ製品の例

このどちらの例も3Dプリンター装置や材料は成り立つ要因ではありますが、例えば人や使い方で異なるサドルへの荷重を計測できる技術、そのデータから最適な形状を設計するシミュレーションやソフトウエア技術があってこそという視点で観ることは大事です。またどちらも一つの小さな部品の例ですが、全く違う製品の中にもこのようなバネやクッションの機能を持つ部品はたくさんあり、それらの性能を向上したり、マスカスタマイズ化したりしたらその製品の魅力や価値が上がるかも? と考えてみていただくきっかけになればと思います。

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