製造ソリューション事業本部

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2022年の3Dプリンティングはどうなるか?掲載日:2022/01/06

今年最初の話題は毎年と同じく2022年の3Dプリンティングがどうなるかについてです。まだ新型コロナウイルス感染がどうなるかも見通せませんが、それを織り込んで社会や経済が変わり始め、その中で3Dプリンティングの今後も変わっていくと考えています。それはどのようなことかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

今年も宜しくお願い致します

2022年最初のコラムとなります。今年も引き続き3Dプリンティングの様々な情報や視点をお伝えしていきますので、宜しくお願い致します。同じことを繰り返すのは良くも悪くもありますが、毎年と同じく、最初の話題は今年2022年の3Dプリンティングがどうなるかについて、筆者の勝手な見通しをお伝えしたいと思います。

2021年を振り返りますと、昨年最初のコラムでは日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)の現状と課題、3Dプリンティングとの関係について、それらがコロナ禍で更に待ったなしとなる日本の製造業の労働生産性向上に有効で、どう使いこなすかが問われる年になると書きました。そこで参考とした経済産業省「DXレポート2」では「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進の必要性」が示され、更に昨年8月末にはそれを補完すべく、デジタル変革後の産業と企業の姿と施策を示した『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』が公表されました。ここでは、下図のとおり既存産業構造は「ユーザー=発注企業」はコスト削減、「ベンダー=受注企業」は長期安定収益によるWin-Winに見えるけれども「低位安定」によりデジタル時代の競争に負けてしまうジレンマがあり、それに対し、「デジタル産業は、市場との対話の中で迅速に変化する必要性や、1社で対応できない多様な価値を結びつける必要性からネットワーク型の構造」で、①~④に分類される構成企業は「データとデジタル技術を駆使して新たな価値を産み出すことが求められ」るとのことです。

引用:https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210831005/20210831005-a.png

その点では、3Dプリンティング界でも「Kansai-3D実用化プロジェクト」や「群馬積層造形プラットフォーム」のような動きや、オリパラの表彰台が大学と複数企業連携で作られたことは、それに近いことが昨年起きたとも言えますが、少なくとも公表されたケースはごく少数に限られたとも言えます。

2022年の3Dプリンティングはどうなるか?

2021年はとにかく目の前の新型コロナウイルスへの対応に追われざるを得ない年だったのに対し、2022年は感染が増える増えないも織り込んで、次の社会や経済に変わっていくような気配があり、例えばバッテリーEVに消極的と言われてきた日本の自動車メーカーが大きな方針転換を発表したり、電池開発へ巨額な投資を行ったり、半導体不足対策のため国を挙げて半導体製造を国内に戻すような大きな動きから、調理器具やお菓子メーカーが消費者と共同で試作開発し、出来た商品はこれまでより値段が高くても消費者が買うという小さな動き、またようやく電動キックスクーターを運転免許やヘルメット無しで一部歩道でも乗れるようになる規制緩和、外食産業や農業畜産業でのロボット、デジタル技術活用など、そのような報道を目にする機会が増えた気がします。筆者が年末年始に車で出かけた時もテスラを見かけることが明らかに増えました。

このようなことが起きてくると、モノそのものだけでなく、作る企業、作り方までもこれまでの常識が当てはまらなくなること起きて不思議ではありません。これまでは大企業が作るという常識が変わる例として、人の移動を高速化するための超音速旅客機開発製造を目的に設立されたアメリカの新興企業BOOM SUPERSONIC社があり、フライトシミュレータや実飛行試作機の多数の部品、機体製造治工具を、単にユーザーとしてではなく、Stratasys社と共同で開発設計製造している事例を昨年12月に自社ウエブサイトでYoutube動画も含め公表しました。
https://boomsupersonic.com/flyby/post/3d-printing-makes-the-grade?web=1&wdLOR=c18BC82D1-AC6D-4F2A-8198-25457F8AA14A

3Dプリンティングそのものでは世界的な動きとして、前述のような変化やサステナビリティという需要から求められる材料そのものや、その材料で作れるようにする技術、装置、制御の開発が盛んになってきており、日本でも研究開発に取り組む材料メーカーが急速に増えてきているようです。例として導電率、熱伝導率に優れた純銅・銅合金、機械強度と耐熱耐環境と軽量化、生体親和性に優れたチタン合金、植物を原料としカーボンニュートラル化に有利なナイロン11樹脂などの製品や活用が今年は増えると考えています。

3Dプリンティングに限らず、これまでデジタル活用や産業が日本で成長しなかった理由を「国が」「メーカーが」「販社が」「ユーザーが」など犯人捜しのように議論されることが多いように正直思いますが、そうこうしていると日本全体の国際的な競争力が下がっていく構図がもう現実になっているとも言え、解決にはこれまで常識の垣根を越えて「協働」をもっと増やしていくことが有効であり、その好例も出てきています。

オフィス家具などで有名な株式会社オカムラは慶應義塾大学SFC研究所 ソーシャルファブリケーションラボ(代表 田中浩也教授)と環境省の委託事業「バイオポリエチレン家具プリント製造実証事業」の成果に基づき、バイオマスポリエチレンを原料と3Dプリンターで作る椅子やテーブル「Up-Ring(アップリング)」を開発し、販売されるそうです。

https://www.okamura.co.jp/product/seating/3dprinterchair/

もう一つは弊社が協働に関わった例ですが、デザイナー/アーティスト
若田 勇輔 氏が「TOKYO MIDTOWN AWARD」グランプリを受賞した作品である指輪「hadawa」のネットでの一般販売を始められました。

https://hadawa.jp/

デザインから3Dプリンターでの試作、生産に至るストーリーは弊社ウエブサイトをご覧ください。

https://www.marubeni-sys.com/infinite-ideas/3dprint/wakata/

弊社では単に3Dプリントだけでなく、求められる色と質感を出すためのテクスチャマッピング方法の研究、またお付き合いのあった研磨専門企業の協力を得て、3者協働により実現に至りました。

2022年にこのようなビジネスや協働が国内でも多数起きることを、期待も込めて予測したいと思います。

TCT Japan 2022 展示会のお知らせ

2022年は3Dプリンティング関連でも人が直接会って話せるイベントが少しづつ戻ってきますが、展示会もコロナ前の「商品見本市」「商談」の場に戻るのではなく、「協働」の機会を生み出す場になっていくと良いと思います。

今年最初の展示会としてTCT Japan 2022が下記の通り開催され、弊社丸紅情報システムズ株式会社もブース出展いたします。

【開催日時】
2022年1月26日(水) ~ 2022年1月28日(金) 10:00~17:00
【会場】
東京ビッグサイト 東ホール(当社ブース番号:3T-10)
【主催】
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
イベント公式サイト https://www.tctjapan.jp/index.html

また2022年1月26日(水) 13:00-13:30  TCT Introducing ステージ(東3ホール)出展者セミナーにて筆者が講演致します。登録不要無料ですので、ぜひご参加ください。
Stratasys (樹脂) Desktop Metal(金属);3Dプリンティングシステム製品・材料と活用事例の最新情報

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