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Formnextに見る3Dプリンティングの現実と未来は?掲載日:2022/11/22

3Dプリンティングの世界最大規模展示会「Formnext」がドイツで3年ぶりにコロナ禍前の元の形で先週開催されました。筆者は今回行けませんでしたが、日本からも多くの方が参加されたようですが、期間中からネットを通じ多くの情報が発信されました。それらに見る3Dプリンティングの現実と未来は…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

2022年のFormnextはどうだった?

最近は日によって、または朝夕と昼、地域によって温度差が大きい日が続きますが、年末恒例のいろいろな情報も届き始めました。ところで11月23日は勤労感謝の日ですが、若いころ居酒屋で隣のおじさんに「勤労感謝の日ってなんだと思う?」と振られ、酔った勢いと適当な思い付きで「勤労できることに感謝する日ですかねぇ」と答えたらむちゃくちゃ褒められたことを思い出しました。3Dプリンターが無かったら筆者は今日働けなかったので、いつもより感謝を込めて書きたいと思います。

このコラムでも毎年お伝えしてきましたが、3Dプリンティング産業の世界最大規模の展示会「Formnext 2022」がドイツ フランクフルトで2022年11月15-18日に開催されました。

ホームページ https://formnext.mesago.com/frankfurt/en.html

筆者は現地に行けず残念でしたが、日本からも多くの方が参加されたようで、期間前、期間中もネットを通じ国内外でかなり多くの情報が発信されました。会場の雰囲気を少しでも感じていただければと思い、以下にStratasys社が公開しているデイリーダイジェスト動画をご紹介します。(BGM音声あり)

また、今回海外ニュースで複数報道されていたのは、Stratasys Origin Oneとロボット含めた装置による、無人自動生産の実動コンセプトファクトリーで、動画を含めた紹介はこちらをご覧ください。またこちらのStratasys社ブログでは工程を下記のように説明しています(筆者和訳)。

①紫外線硬化性樹脂パーツをOrigin Oneプリンターでプリント
②プリント後アームロボットがパーツが付いたままのビルドヘッドプリンターから取り出し
③ビルドヘッドは自動的に2次洗浄装置に移送され、洗浄、紫外線硬化
④処理後のパーツはビルドヘッドから分離され、容器に収納
⑤きれいにされたビルドヘッドは自動的に次のプリント待ちのプリンターへ取り付け

このような自動で多種変量部品を生産するシステムは海外大手3Dプリンターメーカーはほぼ全て研究から実証実験を行っていて、逆に言えばそのような生産設備を作るのに適しているのが3Dプリンティングとも言えます。Formnextでは、主に海外メーカーが現状販売、または新発売する製品だけではなく、近い将来のあり方や、メーカーが目指す方向を実際の装置やサンプルで展示をすることが多く、もちろん過去にも市販されなかったりしたものもありましたが、実際に見ることが新しいアイデア、ビジネスを生む好循環につながると思います。


Formnextに見る3Dプリンティングの現実と未来は?

これから国内でも実際に行かれた方々から、個々の製品や活用事例などの情報提供発信があると思いますので、詳しくはそちらにお任せするとしまして、筆者が読んだいくつかの海外メディアの「総評」から3Dプリンティングの現実と未来について「なるほど、うまいこというなぁ」と思った点をいくつかご紹介します。

Formnextのホームページでも見られますが、最近「fAMmily」と表現することがあり、今回の展示会場でも旧交を温める姿が多くみられ、世界的な3Dプリンティング関係者は単なる競争から「つながり」の重要性の再確認する記事が多くありました。

一方、これまでは展示会全体が「加熱」気味で、将来性に期待する「投機家」が展示会に注目し、そのお金が3Dプリンティング界に流れ込んでいたものが、今回はそれが減り、実ビジネスとして利益を求める「投資家」がより厳しい評価や判断をし始め、熱が冷めつつある印象も見られたとありました。また毎年多数の新興企業が多数出展しても、翌年には消えている企業も多い現実も見えたようです。

ある記事では、ドイツ フランクフルトでは12月に伝統的なクリスマスマーケットが開かれ、筆者も独特の雰囲気とホットワインを楽しんだことがありますが、今回の展示会をそれになぞらえて、「たくさん見られるけど本当に欲しいものは売っていない」「もらっても結局しまわれたままで使われないモノに似ている」、また「装置の大型化が目立ち、これが買える大企業だけのための展示会になっている」との冷めた厳しい見方もありましたが、ある意味現実を示していると思いました。

また、3Dプリンティングの活用普及成長のための提言として、今の売り手が買い手に言っていることは、インターネットで言えば「他のウエブサイトを見て楽しむ前に、まず自分のウエブサイトを自分でがんばって作りましょう」と言っているのに近く、それでは大きく普及しないと例えていました。まず多くの人が買いたい、買えるモノを作って売る場をもっと増やすことが先決で、おそらく全世界でも3Dプリントサービスは多く見積もっても1000以下で、少ないことも課題とのことでした。どれも筆者にとっても耳の痛い、でもすぐ解決できない話ではありますが、3Dプリンティングが知られ、実際に使われ、製造機械として期待されるから見えてくる現実だと思いますし、課題が共有されれば明るい未来が見えると思った今年のFormnextでした。みなさんも様々な機会にFormnextからの情報に触れ、それだけではなく社内外で共有してみてください。


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