学校・研究機関分野 3Dプリンター活用事例
学生・社会人による日本最大規模のロケット打ち上げおよび自律ロボット制御のアマチュア大会、能代宇宙イベントにおいて、筑波大学宇宙技術プロジェクトはハイブリッドロケット※1の打ち上げ実験に参加している。
今年は、高度制限10kmの海打ちに初挑戦するため、機体構造を一新。3Dプリンターで機体におけるチューブを結合する部分(カプラー)を製作したこともチャレンジの1つだ。
従来は、紙面上に図面を描き、旋盤などでアルミ材を加工していたが、自分たちの加工技術の限界、それに伴う設計の制限、さらに熟練者でも1点あたり4日程度の時間を要するなど非常に人力を必要としていた。それに対してオンデマンド生産サービスでは加工の手間はなくなりデータを送信するだけで1週間程で製作できる。CADで3D形状を考えたそのままがかたちになり、複雑な構造も容易に再現可能だ。
用途に合わせて材質も自由に変更できる。今回は難燃性、航空機部品用の造形材料ウルテム(ULTEM)※29085を使用した。
「今後、ノーズコーン(ロケットの先端部分)など工作機械では加工の難しいパーツを3Dプリンターで製作していきたいと考えています」(杉浦氏)
※1:ハイブリッドロケットは液体の酸化剤と固体の燃料を組み合わせたロケット
※2:ULTEM(ウルテム)9085はSABIC Innovative Plastics IP BV社の商標