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建設分野 3Dプリンター活用事例

「マテリアライジングⅢ ‒ 物質と情報とそのあいだ」 様


「マテリアライジングⅢ ‒ 物質と情報とそのあいだ」
京都市立芸術大学 美術学部 特任講師 砂山 太一 氏
京都市立芸術大学 美術学部/大学院美術研究科 陶芸器研究室 教授 重松あゆみ 氏

デジタルファブリケーションが広げるアートの世界
人の手による工芸的な美しさと3Dプリンティングが融合

デジタルファブリケーションをめぐるアートの可能性を探る

近年高まりを見せているデジタルファブリケーションをめぐる美術、デザインの 可能性を探るマテリアライジング展。これまで国内外の工学、建築、数学、生命 科学、美術、プロダクトデザインの第一線の研究者が出品し大きな反響を得てき た。第三弾となる今回は、東京藝術大学大学美術館陳列館から京都市立芸術大 学ギャラリー@KCUA へと舞台を移し「マテリアライジングⅢ ‒ 物質と情報とそ のあいだ」と題して開催(2015年5月16日~6月21日)された。
デジタルファブリケーションとは、物質を情報化したり情報を物質化したりする 技術の総称である。日本国内でもレーザーカッターや3Dプリンターなどのデジ タルファブリケーション技術が注目を集めており、普及のための環境整備や啓発 活動が盛んに行われている。丸紅情報システムズは、3Dプリンティングの新しい使い方の発掘と周知を目的 にマテリアライジング展に初回から協賛している。
今回、同展示会に参加した「デジタルファブリケーションによる3Dアーカイブの 基礎的研究」(平成25年度 京都市立芸術大学 特別研究助成プロジェクト)をサ ポート。同プロジェクトは、デジタルファブリケーション技術を造形・工芸分野に 応用し、立体造形物の3Dアーカイブのための基礎的研究を行っている。
従来、工芸作品などは画像や図面などでしかアーカイブ化できなかったが、デジ タルファブリケーションの技術により造形物のフォルムや表面を正確にデータ化 し保存できることに加え、3Dプリンターでコピーを作成し研究材料として利用 することも可能となる。
丸紅情報システムズは展示作品の中で、京都市立芸術大学 美術学部/大学院 美術研究科 陶芸器研究室 教授 重松あゆみ氏の作品と、京都府立芸術大学 中原 浩大教授の作品に対し、Objet500 Connex3によるマルチカラーを使って造形 協力を行った。重松氏の作品は、人の


@KCUA全景

中原氏展示作品 Polyjet製



中原氏展示作品 Polyjet製


人の手による造形と3Dプリンターにより新たなアートが生まれる

重松氏は、多数の受賞歴を持つ著名な陶芸作家であり、京都芸術大学で教鞭も 執っている。これまで手で細い粘土を層のように積み上げて形を作り、焼き固 め、彩色する方法で美しい作品を作ってきた。今回、展示した陶器の作品では、複 雑な空洞を持つ「殻」のような形を作っている。手で作ることの美しさや良さにこ だわり表現を続けてきたため、「工業製品のようにソフトウエアや3Dプリンター で制約されたカタチが、簡単にコピーで作られることに抵抗感を抱き、また、そ れが広まることに脅威も感じていました」(重松氏)。
今回、重松氏は、京都市立芸術大学 美術学部 特任講師 砂山太一氏の協力を得 て、初めて3Dプリンティングによる作品を制作し出展した。まず、重松氏が粘土 でラフな形状を作り砂山氏に渡す。砂山氏は、その形状をねじれたパイプの点対 称形状であると解析し、数学とプログラムによりデジタルポリゴンデータを作 成、さらになめらかなスプラインカーブでつなぎ、空洞化するための厚みを作っ た。砂山氏により3Dデータ化した作品をSTLファイルで出力し、丸紅情報システ ムズでPolyjet方式プリンターのObjet500 Connex3を使い、VeroClear (透 明)材料で造形、仕上げを行い完成させた。 完成した作品を見た重松氏は次のように語る。
「私は、手によって直接粘土で形 態を発想していますが、粘土の紐造りという作り方は積層による3Dプリント出 力と同じプロセスをたどっています。デジタルファブリケーションの技術を工芸 の手の思考からアプローチすることで、自然素材の意義や手で作ることの意味 を問い直したい。また、表裏を持つ中空の構造物陶器では外から見えない空洞 も透明な樹脂で見えることに加え、持った感触も陶器とは違うことは新しい発見 でした。3Dプリンターの積層の跡も良いですね。」
重松氏の人の手による工芸的な美しさと、3Dデータに置き換える砂 山氏の才能と技術、そして、現物の形にする3Dプリンティングが融合したことで新しい作品が生まれた。砂山氏も「手で作った陶器の作品と、 3Dプリンターで造形した透明樹脂の作品の両方を展示したことにより対比ができました。来場 者からも多くの反響がありました」と語る。
重松氏の3Dプリンティ ングによる作品からは、人の手だから作り出せ る造形力とデジタルファ ブリケーションが出会っ たことで生み出される 新たなアートの可能性 を強く感じる。



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