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コンシューマー分野 3Dプリンター活用事例

株式会社アンノデザインオフィス 様


株式会社アンノデザインオフィス
阿武 優吉 氏

3Dプリンターでしかできないアートワーク
生活に身近な製品のデザインの可能性を拓く

データによる販売、在庫不要のものづくりを可能にする3Dプリンター

「ニューヨークの美術館で見た3Dプリントドレスには度肝を抜かれました。これ までとは違うものづくりができる可能性を強く感じました」とアンノデザインオ フィスの阿武優吉氏は話す。
玉川大学工学部電子工学科を卒業した同氏は、大手玩具メーカーに勤務しプラ モデルの設計に携わった。もっと多くのジャンルを手掛けたいという思いから、 ロンドンのセントラル・セントマーチンズ大学院(ロンドン芸術大学院)に3年間留 学し、インダストリアルデザイン科で工業デザイン研究を行った。
帰国後、父親が経営する工業デザイン会社に工業デザイナーとして勤務。2010 年に独立し、アンノデザインオフィスを設立した。現在、雑貨から文房具、調理 器具、電気製品、玩具、家具、照明、産業機器などの外観デザイン、内部機構デ ザインを行っている。クライアントからの依頼ではなく、デザイナーが独自に 自社製品を作ろうとすると非常にハードルが高い。利益をあげるためには大 量に製品を作り販売しなければならないからだ。だが、3Dプリンターで造形し た製品であれば、データによる販売も可能となり在庫を持つ必要がない。


帽子型ランプ「Magical Hat」(左)
金型では抜けないアートワークの「Dress」(右)

シェードに収納スペースがある
フレキシブル有機EL照明「Lounge」



海外の展示会でも好評を博した「Flame」


3Dプリンターでしかできないものづくり

3Dプリンターに関心を持った阿武氏は、丸紅情報システムズ(MSYS)のショー ルームをデザインした知り合いのデザイナーからMSYSを紹介された。MSYS ショールームで切削加工も組み立てもすることなく、1度の3Dプリンティングで 造形サンプルが動くのを見たとき、ものづくりの新しい可能性を見出したという。
「3Dプリンターでないとできないものを作りたい。父がマイナスイオンを発生 するLED電球の特許を持っていたこともあって、組み立てていないのに可動し、 部品が外れないというシェードを思いつきました」
同氏が初めて3Dプリンターで造形したのが帽子型ランプMagical Hatだ。LED からマイナスイオンが発生するという特長から、空気を吸いながら犬と散歩して いるシーンをイメージしてデザインしたという。犬のリングは動くけれど外れる ことなく影絵が曲面にできる。また、照明器具をデザインした経験を生かし、熱 問題への対応などもデザインに織り込んでいる。
「新宿のショールームで展示したところ反応は良かったのですが、積層跡が縞の ように浮き上がる点が一部の人に不評でした。3Dプリンターでしかできないこ とにこだわっていたため、積層跡を磨くのではなく、逆に生かすデザインを考え 始めました」
積層跡が照明で透けると「布」のように見えることに気づいて作ったDressは、柔 らかい明かりが魅力的だ。
「12枚のプレートが動くが外れない。金型では抜けな いアートワークです。2014年の東京デザイン照明展で展示して好評を博しまし た。3Dプリンターのブームと合致し、その展示会で有機ELを輸入する会社と知 り合い、照明器具開発の話がまとまりました」
フレキシブル有機ELの特長を生かすために、シェードの中の曲がったスリットに 有機ELパネルを差し込む方式を考案し、デザインしたのが2015年のLounge だ。
「このデザインは、金型や切削ではできない。明るさを調整できる回転機構 や、影絵ができるレリーフを内側に入れるなど様々な工夫をしています」
Loungeは、3Dプリンターを活用することで新しい購入方法も実現している。顧 客は、有機ELなどの照明器具を商社から買い、シェードに関しては3Dデータだ けを購入する。そのデータを使って3Dプリントサービスを利用して作るか、顧客 自身が所有する3Dプリンターで作るかの選択は自由だ。従来の製品のように金 型を変えるといった手間暇をかけることなく、各自で模様や名前を入れるなどの カスタマイズも可能となる。(販売WEBサイト //www.anno-design.co.jp/annodesign_3D.htm)
Loungeをきっかけに知り合った国内有機ELメーカーから、海外向けに有機ELを 宣伝するためにインパクトのあるデザインを求められて生まれたのが「Flame」 (炎)だ。
イタリアのミラノで開催された町ぐるみのアートデザイン展示イベント に出展したところ、「どうやって作ったのか?」と驚かれたという。「国を越えて誰で も驚く3DプリンターならではのFlameの形は、ニューヨークのライティングフェ アインターナショナルに出展した際も非常に反応が良かったです。これからのビ ジネスの拡大に期待しています」
同氏は3D CADの講師もしており、3D CADデータを使って3Dプリンターでも のづくりを行うことの可能性を伝えていきたいという。
次の展開について「ファッ ションや食品などの生活に身近なシーンで、工業分野の枠を越えたものづくりに 3Dプリンターを使いたい」と話す。3Dプリンターを使った今までにないデザインが暮らしを豊かに彩って いく。



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