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コンシューマー分野 3Dプリンター活用事例

公立はこだて未来大学 様 ・ 株式会社Cerevo 様


株式会社 Cerevo
代表取締役 岩佐 琢磨 氏
公立はこだて未来大学
システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科 准教授 / 科学技術振興機構さきがけ研究者(兼任) 塚田 浩二 氏

多品種少量生産時代の胎動
3Dプリンターによるものづくり革命

多品種少量生産というものづくりの新しい流れ

「人参も食べてね」、小さな子供に言葉で説得するのは難しい。でも、食べ物や噛む回数によってフォークが様々な音を奏でたら、好き嫌いの多い子供も食べるのが楽しくなるに違いない。製品の名はEaTheremin(イーテルミン)。開発したのは、公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 准教授 塚田浩二氏の研究チームだ。日常生活に適したユーザ・インターフェースを探究し、次々とアイデアをかたちにしていく塚田氏にとって大きな課題となっていたのが量産化だった。 「製品の販売が目的ではありませんが、ユーザ・インターフェースに関わるものづくりを行っているため、できるだけ多くの人に使ってもらって社会の判断やユーザの意見を取り入れて改善することも重要です」 塚田氏は、プロダクトに特化したクラウドファンディング「Cerevo DASH(セレボダッシュ)」に着目し、自らものづくりの新しい流れを体験しながら量産化の道を拓くべく、EaThereminをCerevo DASHのサイト上で公開し支援者を募集することにした。




アイデアをかたちにするスピードが競争力となる

Cerevo DASHを運営する家電ベンチャーのCerevoは、大手家電メーカーの企画開発部に所属していた岩佐琢磨氏が2007年4月に一念発起し設立した。「ほとんどの家電製品は大手メーカーがつくっています。洋服などに比べて家電製品の選択肢は非常に限られたものです。洋服のように家電をもっと多様化させたい。1人ひとりのユーザのニーズに応える家電をつくることで、世界中の人々の生活をより便利で豊かにしていければというのが会社設立の目的です」(岩佐氏)

Cerevo DASHで支援者を募集する場合、写真やビデオによるプレゼンテーションをサイト上で行うため、試作品の完成度は重要なポイントとなる。塚田氏は2008年に、アイデアをかたちにするのに金型を外注していてはコストも時間もかかってしまうことから、その解決策として3Dプリンター「Dimension Elite(ディメンジョンエリート)」を研究室へ導入した。EaThereminの試作品も3Dプリンターでつくったが、大人でもサイズが大きく持ちにくい。子供が使ってストレスを感じないサイズはどのくらいだろう。「このくらいでどうだろう?」と指でサイズを示す岩佐氏。塚田氏はCADデータを修正し3Dプリンターに入力。1時間後、改善された試作品を手に再び議論が始まった。
「試作品をつくってユーザの意見を聞いて改善していく。このプロセスがものづくりでは大切ですが、その場で意見を交換して試作が行える。アイデアをかたちにするスピードは、開発期間の短縮だけでなく完成度を高める上でも重要です」(塚田氏)
Cerevo製品の試作も3Dプリンターを使用しているという。「資金がない。スピードが勝負。この2点は家電ベンチャーの特徴です。従来、金型をつくって試作していたのに比べ、3Dプリンターなら1/10の価格、数日を要した納品時間も数時間です。このスピードはベンチャーの強みを伸ばしてくれます」(岩佐氏)

ものづくり革命の最前線で挑戦を続けるCerevo DASH。この1年間で目標の投資金額を達成できたのは4件、支援者の手元に届いているのは2商品(2013年5月現在)である。EaThereminは目標の投資額を達成できなかったが、量産に向けて知見が得られたメリットは大きいと塚田氏は話す。「今後、Cerevo DASHといったクラウドファンディングが上手く機能するようになると大きな市場を生み出す可能性は大いにあります。そこでは3Dプリンターを自在に使いこなすクリエイターが活躍していることでしょう」
2012年、新たな産業をつくりだすための第一歩としてアメリカのオバマ大統領は全米1,000の学校に3Dプリンターの導入を開始した。「小学校の図工の時間で3Dプリンターを使う授業ができると、ものをつくるという考え方が大きく変わると思います。手づくりとデジタルものづくりの両方を知ることが、これからは大切です」(塚田氏)

EaThereminはいまも改善が続けられており、最新バージョンでは、食べるとドレミファソラシドの音が奏でられるという。研究やものづくりに終わりはない。その道は未来に続く。



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