コンシューマー分野 3Dプリンター活用事例
豊丸産業は、名古屋市に本社を構えるパチンコ台の製造・販売企業。創業は1960年で、すでに半世紀以上もの歴史がある。これまでに数多くのパチンコ台を開発しており、なかでも、華麗なる乙女たちの格闘プロレスをモチーフとした「CRセクシーフォール」シリーズは人気機種となっている。新しい機種としては、飲食店屈指の「餃子の王将」とタイアップした「CR餃子の王将2」シリーズが出ており、絶賛稼働中だ。 パチンコ台はパネル、ハンドルなどさまざまな部品からなるが、そのなかで役物の機構部分の設計に携わっているのが、入社6年目の杉浦宏介氏である。 「パチンコ台というとあまり機種が変わらないイメージがあるかもしませんが、1年に新機種を数機種出しており、新しい機種を出したと思ったら、休む間もなくすぐに次の新しいプロジェクトが待っているという状態です。そのため、少しでもスピーディに、なおかつコストを下げようと数年前に導入したのが3Dプリンターでした」 導入したのは「FORTUS400mc」。2009年1月に導入してから休みなく動いていており、「今や3Dプリンターは手放せない状態」だという。
「弊社ではパチンコ台を作るときには、ほとんどの部品を3D CADで設計しており、フル稼働に拍車がかかっています」 この背景には、3Dプリンターが“確かな結果”を出したことも大きく関係している。 「パチンコ台は風車、チューリップなど多くの部品があり、切削加工では時間とコストが膨大にかかり、社員にも会社にも負荷を与えていました。それが3Dプリンターを導入したところ、時間もコストも約半分に減りました。そのため、さらに3Dプリンターへの依存が高まっています」 豊丸産業では、形状確認だけでなく、モーターで動かす機構部品も含めた様々な部品を3Dプリンターで作り、そのまま球を打って機能確認するテストに使っている。 「市場に出す前に必ずテストしますが、球が通るところは研磨するなどして実機に近づけています。もし、不具合が見つかったとしてもすぐに修正ができるので、その部分でも切削加工より使い勝手がいいといえます」 「一部、レンズのような透明な部品をつくりたい場合のみに光造形で対応していますが、逆にいうとそれ以外はほぼ3Dプリンター1台で済んでいます。FORTUS400mcはワークサイズが大きいので、パチンコ台のような大きなものを造形したい場合にはサイズ的な利点がある。パチンコ台の新機種を出し続ける限り、今後もフル稼働は続くと思います」