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医療分野 3Dプリンター活用事例

リッツ美容外科 様


東京院 廣比 利次 院長

世界的に認められた技術と患者の心に寄り添う治療で、全ての患者の悩みに応える
最高峰の美容医療と安全を支える最先端のテクノロジー

より身近になった美容外科手術
その中でも一線を画す稀有な存在の美容外科クリニック

近年、美容外科治療も身近なものとなりつつある。数多くの美容外科やその利用者が増加し、街を歩いても、テレビや雑誌を見てもおそらく美容に関するクリニックやそれらの治療に関する情報を目にしないことはないだろう。「プチ整形」と称されるような比較的簡易的な治療法も含めて美容治療がより身近な存在となり、費用的にも比較的気軽に受けられる治療を提供するクリニックも多い。


リッツ美容外科 東京院の廣比利次院長



恵比寿駅のほど近くに拠点を置くリッツ美容外科は、豊富な医療経験をもつ医師が本格的な美容外科治療を提供する美容形成外科である。同クリニックは二重手術などをはじめとした眼、鼻やボディケアなど幅広い施術はもちろんだが、日本国内では数少ない顔面骨切り術と呼ばれる顔貌に大きな変化をもたらす美容外科手術を主軸とし、かつ入院設備も備えた最高水準の美容医療を提供する美容外科である。

高難易度の骨切りによる美容外科手術
そのリスクを最低限に抑えるための3Dプリント模型

同クリニックの院長である廣比利次氏は、美容外科分野において数々の論文発表や受賞実績をもつ実力派の医師として広く知られる存在。廣比院長は、自身がライフワークとする顔面骨切り治療を専門としており、その施術数は5,000件を超える。この顔面骨切り治療は、口腔内の数センチ程度の小さな切開部から施術対象部位にアプローチしなければならないため視界は狭く、その上、重要な神経、血管を傷つけないよう繊細な手技が要求される為、高い技術が必要とされる美容外科治療である。

美容クリニックが増加する中、その一方で重篤な合併症が存在することもまた事実である。まして顔面骨切りの外科手術は、より高い技術が求められるが故にリスクも高い。万が一治療中に神経系を傷つけてしてしまうことがあれば、患者には麻痺などの後遺症など残ってしまうことがありうる。2000年の開院当初は、多くはないが手術時に下歯槽管(かしそうかん)内を走行する下歯槽神経を損傷してしまうケースがあったという。その後まもなく、廣比院長は3Dプリント模型の活用をスタートする。当時は提携施設で撮影した患者のCTスキャンデータから頭蓋の形状のみを再現したシンプルなものだったが、それでも術前・術中に得られるメリットは大きかった。「それ(3Dプリント模型を活用し始めて)以来、下歯槽神経損傷は限りなくゼロに近づいた。」と廣比院長は言う。


より多くの患者へ最善の美容外科施術の提供を目指し、独自のシステムを構築

上下顎手術で行われるのは、主にルフォーⅠ型骨切り術、SSRO、オトガイ形成術と呼ばれる3種の術式である。これらの美容外科手術で共通する主たる課題は、患者によって骨の厚みや神経管までの距離・走行は千差万別で個人差が多いことであり、これが神経損傷の最大の要因となりうる。2013年に現在の恵比寿への移転を機に、さらに質の高い治療を目指しCT、セファロ、パノラマが撮影できるレントゲン装置も院内に設備。その後丸紅情報システムズ(以下、MSYS)のメディカルチームと連携することで、患者一人ひとりのCTデータをもとに、上下顎だけでなく神経管まで視認できる3Dプリント模型を迅速に作成できるフローを確立した。


F120 3Dプリンターで造形した下顎模型。神経管まで再現されたモデルをもとに、手術方針をミリ単位で術前に検討することができる。



この新たなフローにより作成した3Dプリント模型は、それまで使用していたSLS(粉末焼結)方式とは異なる、工業用のFDM方式3Dプリンターで作成。アプローチする手術部位の骨の厚みや神経管までの距離が何ミリなのか?該当部位の施術を行うためにどのツールが最適なのか?術前に全てを詳細に把握し、シミュレーションを行うことができる。一方で大きな決断をする患者に対しては説明用としてまさに「一見に如かず」のインフォームドコンセントを提供することができるうえ、さらに決定的なのは3Dモデルを手術室へ持ち込むことで視野の悪い手術中にも手にとるように手術部位を把握できることだ。
また従来、入手までには4週間ほどの時間を要することもあり、手術日待ちの患者が増えることに心を砕いていたが、新たなシステムによりCT撮影後、最短3日で3Dプリント模型を手にすることができるようになった。これにより、廣比院長は「血管・神経損傷などを起こさない」というだけではなく、「最大限の審美性」という結果を「より多くの患者へ」提供することができるようになったのである。


3Dプリント模型を手に、手術の方法や部位、アプローチ方法を細やかに説明する廣比院長。模型を使って説明することで、患者への明確な説明が可能。「大きな決断を伴う手術だからこそ、患者にベストな治療を。」



何物にも変え難い、患者と医師の安全。それを支える最新・最高のツール。

ベストな治療を目指すリッツ美容外科の技術を支えるのは、院内の設備やあらゆるツールの一つひとつにまで及ぶ。廣比院長の豊富な経験と高度な技術により生み出されたカスタムメイドの医療機器もあるという。3Dプリンターもその一つだ。
しかし、現実的には3Dプリント模型の医療現場の活用には国内外を見渡しても限定的であることが多い。往々にして、その要因は操作をする人や設置する場所など広範な意味でのリソースの確保という課題が背景にある。

2020年に入り、リッツ美容外科はMSYSとの連携サービスから更に迅速に多くの患者の3Dプリント模型を造形できる体制を構築すべく、工業用FDM方式3DプリンターF120を院内に導入。
現在では、患者来院後院内でCTを撮影し、DICOMデータをサーバー経由でMSYSへ共有。廣比先生のご指示のもとMSYSがデータ作成を行う、データ作成サービスを活用している。造形用STLファイルの準備ができ次第、ファイルはMSYSからクリニックへ送られ、リッツ美容外科院内にて3Dプリントを行う。これにより、院内の人的リソースをかけずにデータを作成でき、多くの患者の3Dプリント模型をタイムラグなく手に入れることができる。

昨今では模型の活用は、単純な頭蓋や顎模型のみではなくサージカルガイドなどへも拡がっているという。


手術前(左)と手術後(右)を示す3Dプリント模型。顔面骨切り治療は、もたらす結果も大きいが故に高い技術が求められる施術方法であり、繊細な判断と技術が求められる。



では、なぜ多くの医療機関で難しいとされている現場への3Dプリンティングの活用を、リッツ美容外科では長きにわたって積極的に進めているのか?質問に対し、廣比院長は全く躊躇することなくこう述べた。
「(3Dプリンティングを活用することで得られる)用途、ベネフィットを考慮したら、活用しないという選択肢があり得なかった。重篤な合併症を起こしてしまったら?患者さんはもちろん、医師である自身の精神的ダメージを考えたら、3Dプリント模型は絶対的な存在です。共に人生がかかっていますからね。」


リッツ美容外科院内に設置・運用されているFDM方式3DプリンターF120(左)と造形中の顎モデル(右)。
院内のスタッフが3Dプリント操作を行っている。



「患者と医師の安全を守れるなら3Dプリントを活用しない理由はないですよ」と明言する廣比院長。


美のために最高の施術を提供するリッツ美容外科。その求めるものは審美性だけではなく、心と身体の安全も守るという理念に基づいた最高の治療を、3Dプリンティングという最新ツールを活用して提供している。



参 照

DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine。
CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した標準規格。米国放射線学会(英語版)とアメリカ電機工業会が制定した規格で、異なる製造業者の医用画像機器間で画像転送を可能とすることを目的としている。

ルフォーⅠ型骨切り術:上顎移動術(LeFortⅠ型骨切り)
上顎の骨格自体が突出し、さらに歯茎が縦方向にも長い場合に、歯茎部分の上顎骨を水平に骨切りし、上の歯全体を上方に引き上げ、さらに後退させることもできる術式。

「骨切りライン」「上顎骨を固定」

SSRO:下顎枝矢状分割術
下顎前突症、下顎後退症、開咬症、下顎左右非対称などさまざまな顎変形症に適応できることから顎矯正手術の中ではもっとも代表的な術式。

オトガイ形成術
頤(下顎の先端のこと)を「オトガイ」とカタカナで表記。下顎の先端に行う様々な術式。
代表的な手術法に、主にオトガイの短縮あるいは前進に用いられる水平骨切り術がある。

オトガイ形成術

※ 出典:リッツ美容外科

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