製造ソリューション事業本部 03-4243-414303-4243-4123

製造ソリューション事業本部

TEL : 03-4243-4123

ロボティクス分野 3Dプリンター活用事例

株式会社イクシスリサーチ 様
株式会社くいんと 様


株式会社イクシスリサーチ
代表取締役 山崎 文敬 氏
株式会社くいんと
代表取締役 月野 誠 氏

「軽くて強い」点検ロボットを開発せよ
位相構造最適化+DDMで理想形にたどり着く

相反する要望を叶えるべく3Dプリンターを選択

目の前には、越えなければいけない2つの壁があった。 1つは「軽くする」こと。もう1つは「強さをもっている」こと。この相反することを 実現すべく、3社が集まっていた。株式会社イクシスリサーチ、株式会社くいん と、丸紅情報システムズ株式会社である。
イクシスリサーチは、建物道路、トンネル、橋、大型タンクなど、社会インフラの点 検用の特殊ロボットを数多く製作する会社。くいんとは、「夢のあるCAEを日本 から」を社是に、計算力学関連のソフトウエアの開発・販売を行い、 「OPTISHAPE-TS」という自動車や重工業関係の企業に好評な構造最適化ソフ トウエアを有する。
3社がめざしたのは、道路橋脚下にある、点検用通路を自走するロボットの製作。 点検用通路を有線リモートコントロールで自走し、橋の裏側から写真を撮影して 点検作業を安全かつスピーディに行うロボットだ。
問題は、ロボットの搬入方法だった。作業用の細い階段を人の手で抱えて上り下 りをして運ばなければならないために、重量のあるロボットは不可。何よりも軽 さが求められていたのだ。もう1つ、点検用通路は道路から落ちてくるゴミや石 が散乱している。そうした障害物を乗り越えられる「強さ」が求められていた。 軽さと強さ。この相反する2つの要望を実現するには、アルミや鉄鋼を切削加工 する従来のやり方では実現できない。そこで3社が出した答えがDDMだった。 くいんとの月野誠社長はこう語る。
「コンピュータシミュレーションは、最適構造を導き出してくれますが、従来の製 造方法だと中空や型抜きができないといった制約がありました。でも、どんな形 状でも自由に造形できる3Dプリンターなら最適構造をそのまま形にできる。構 造最適化技術との相性がバッチリだと思いました」


初期設定形状(左)と最適化結果(右)



完成したArumadilo


構造最適化で目標より2kg近くも「減量」

イクシスリサーチが、ロボットの基本構造を3D CADで設計。採用したのは「ロッ カーボギー構造」と呼ばれるもの。障害物を乗り越えるために、惑星探査機など でも採用されている構造だ。
次に、くいんとが脚に加わると想定される13種類の荷重拘束条件と材料機械物 性値をOPTISHAPE-TSに入力し、不要な部位を取り除いたり、細すぎる部位は 肉盛りにするなどの修正を加え、脚の最適化設計を行った。
最後に丸紅情報システムズがそのデータを受け取り、3Dプリンター「FORTUS 900mc」によって約1週間で生産。使用した材料は、機械的強度と難燃性にすぐ れたULTEM9085樹脂である。それをイクシスリサーチに渡し、電子部品が組 み込まれてロボットは完成した。片側の前後の脚の合計重量は、目標だった5kg に対し3.14kg。2kg近くも“減量”することができた。 イクシスリサーチの山崎文敬社長は感慨深そうに語る。
「インフラ点検ロボットは、超少量多品種が求められていて、確実に現場で動作 するロボットを効率的に開発しなければなりません。これまでは、設計者の暗黙 値や経験値に頼っていましたが、それらに頼らなくても作れることが確認できた 今回のプロジェクトの意義は非常に大きかったと思います」
くいんとの月野社長は、「3Dプリンターを使えば、微妙な膨らみやへこみまで、 最適構造をそのまま現物として表現することができる。最適構造は、ときに美し さすら感じさせてくれます」と語る。
DDMと構造最適化技術のマッチングの良さから、「今後も3社でロボットをどん どん開発していきたい」と前向きな姿勢だ。ちなみにロボットには名前がつけら れている。その名を聞くと多くの人が「なるほど」と思うはずだ。 「Arumadilo(アルマジロ)」である。



分野から活用事例を探す

最新の3Dプリンター活用事例公開中!ものづくり革命ダウンロードもこちら


TOP