ロボティクス分野 3Dプリンター活用事例
1991年に創立し、ソフトウエア開発からスタートしたサンビット。時代や環境の変化とともに、電気電子回路設計、機械設計開発、デジタルエンジニアリングと事業の幅を広げてきた。そんな同社が、新たな事業の柱にしようとしているのが「パラレルリンクロボット」と呼ばれる高速搬送ロボットだ。
「食品や医薬品などのパッケージを搬送することを目的に開発されたもので、近年は電子部品の実装などにも用いられるようになりました。当社はこのロボットを海外から仕入れて納品するだけでなく、お客様の用途に応じてカスタマイズして納める“ロボットのシステムインテグレーター”をめざしています。日本では珍しい取り組みですが、ヨーロッパでは歴史のある事業です」さっそくデモ機を開発することになるが、その際、同社が注目したのがStratasys社の3Dプリンターだった。
「高速搬送ロボットは、先端部に装着されるものをエア正負圧で吸着したり離したりする機構が大変重要で性能に大きく影響します。従来は切削加工でつくっていましたが重くなって肝心のロボットのスピードが遅くなってしまうという課題がありました。高速搬送ロボットは1時間に何個動かせるかという効率性が生命線。ドイツで実用化されていた樹脂積層造形ならエア経路も含めて1ピース化が可能で、剛性が得られる。そしてなにより軽いだろうと試してみることにしました」
軽量化の恩恵は予想以上だった。「動きが機敏になり、すぐに止まることができたり急に回ることができるようになりました。ネジ穴加工も容易にでき、市販のパッドなども取り付けられる。食品衛生法をクリアできる造形樹脂ができれば用途は一気に広がる」
「3Dプリンターは特性に合った使い方をすれば大変有効だ」と語る八谷氏。すでにDDMを視野に入れている。