ロボティクス分野 3Dプリンター活用事例
早稲田大学のロボットと言えば「2足歩行」。そう言われるくらい伝統的に2
足歩行ロボットを研究してきたのが早稲田大学だ。
1960年代に日本で初めてロボット研究を始めたのが加藤一郎教授であり、
その後をついで研究を進めているのが、高西淳夫教授である。
今日では様々な企業・学校で研究されている2足歩行ロボットだが、早稲田
大学のロボットWABIAN-2R:ワビアン・ツー・アール(WAseda BⅠpedal
humANoid No.2 Refined)は他と一線を画する特徴がある。人と同じよう
に膝をまっすぐにして歩くことができるのだ。骨盤を持たせることで実現して
いるという。また動きだけでなく人の情動も表現することをめざして、フルート
やサックスを華麗に奏でるロボットなどを開発している。近年ではさらに、医
療・福祉用ロボットの研究開発にも取り組んでおり、医学部学生や初期研
修医向けに開発した「縫合手技評価シミュレータ」は、縫合のシミュレーショ
ンや評価ができる優れ物で、すでに商品化されているほどだ。
「ロボットなどをつくる場合、旋盤やフライス盤などを組み合わせて加工す
るのが一般的でしたが、3D CADを使うようになると、CADデータ
から直接立体モデルを造ることができる3Dプリンターが欠かせな
くなりました。またすぐさまトライ&エラーが行えるのも研究開発
に欠かせない点です」
ロボット製作で必要となる部品に3Dプリンターを積極的に活用していたが、
近年とくに3Dプリンターが大きな役割を果たしているのが「型」としての利用
だ。「唇や手などやわらかい材料をロボットに使うときは型をつくって成形し
ます。ただ、金属の材料の場合、不必要に硬くて手間もかかってしまう。樹
脂を使う3Dプリンターなら手軽にスピーディにでき、ABS樹脂なので型として
も十分な硬さ、耐熱性がある。とても重宝しています」
実は3Dプリンターは他社製品も所有しているが、高西教授はDimensionに
は2つのアドバンテージがあるという。「1つは何年経っても変形がまったくな
いこと。もう1つが中空にするアルゴリズム。カートリッジの値段は2機種とも
ほとんど変わりませんが、そのアルゴリズムによって無駄に材料を使わない
ようになっているんです」
日々トライ&エラーを繰り返しながら、人に限りなく近いロボットをつくること
をめざしている高西教授。スピーディな開発、そして実証確認のためにも3D
プリンタの存在が欠かせない。