製造ソリューション事業本部

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6月の設計・製造ソリューション展 (DMS) はどうだったのか?掲載日:2018/07/03

3Dプリンティングの「?」や「!」ついてお伝えするコラムです。

先回お伝えした通り6月20日(水)から「設計・製造ソリューション展(DMS)」が東京ビッグサイトで開催されました。今回も、特に3Dプリンターゾーンは多くのお客様にご来場いただき、活況でした。どうだったかをもう少し詳しくお伝えすると…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

今年も「設計・製造ソリューション展(DMS)」は梅雨の真っただ中での開催でしたので、前週の天気予報は雨の時間が多いようでしたが、20日(水)は少し降ったものの、後の2日は天気が良く助かりました。

筆者は丸紅情報システムズブースに3日間いましたが、ほぼ途切れることなく多くの方にご来場いただき、様々なお仕事をされている方々と直接お話が出来ました。この場をお借りしてご来場いただいた皆様に御礼を申し上げます。ありがとうございました。「うれしい誤算」で、他のブースを見に行く時間がほとんどとれませんでしたが、伺ったところでは3Dプリンターエリアは他と比べて混んでいたとのことで、加熱ブームが落ち着いた後、また関心を持たれる方が増えてきていることを実感しました。

特に今回初めてプリンターとサンプルを展示した、新しい金属3Dプリンター「Desktop Metal Studioシステム」のコーナーは、常にご覧になる方でにぎわっていた印象で、あらためて「金属3Dプリンター」へのご関心が高いことを認識しました。

 

一方樹脂3Dプリンターの方も、新製品、新材料発売発表もあり、Stratasys社3Dプリンターや新しいサンプルを数多くご覧いただきました。

F900(Stratasys FDM 最上位機種)

これまでも販売しておりましたFortus900mcの名称がF900に変わり、実用部品少中量生産に求められる機能が追加されました。

J750 Vero Vividカラー新材料

ドイツ AUDI社がStratays社と共同開発し、既に自動車リアコンビネーションランプカバーの試作に使い、大きな時間工数短縮に成功した事例を公表している新材料で、これまでできなかった明るい赤、黄色が表現できるようになりました。

 

シリーズトークショー「1歩先の3Dプリンティングへ」

今回筆者の方でブースステージにて

シリーズトークショー「一歩先の3Dプリンティングへ」

を企画担当しました。

ゲストスピーカーの皆様

「形状最適化設計ソフトウエア(HiramekiWorks)と使い方」
構造計画研究所 三笠 睦実 様
「形状最適化設計ソフトウエア(Fusion360)と使い方」
オートデスク 藤村 祐爾 様
「Stratasys 製造治工具や補修部品製造への3Dプリンティング活用事例」
ストラタシスジャパン Jay Beversdorf 様
「DesktopMetal Studioシステムの紹介」
DesktopMetal C K Kan 様

左 Jay Beversdorfさん 右 筆者

上の写真の回では、特にStratasys FDMによる製造現場における治工具、生産機械の実使用部品として活用されている最新事例として、以前のコラムでもご紹介した、オランダのチョコレートメーカーThe Chocolate Factory社の事例を、旧来の金属部品(下写真青枠)と、置き換えたNylon12CF材料による樹脂部品(下写真白枠)を実際にお見せしながら、置き換えることで生産停止時間の低減など様々な利益が得られたことをご紹介いただきました。

また、路面電車の運転席アームレストやフロントバンパーの実使用交換部品を難燃性樹脂ULTEM9085で造形して鉄道会社に供給することで、修理までの時間短縮、修理部品の在庫削減などの大きな効果を上げたドイツSiemens Mobility社の事例も紹介していただきました。日本語字幕付きのインタビュー動画はこちらをご覧ください。

それぞれの回で、予想より多くの皆様に3Dプリンティングを実用部品製造に使っていただくためのヒントや設計の仕方について最新情報をお伝え出来たことは、とても良かったと思います。またより良い方法を考えて、お届けしていきたいと思います。

 

Stratasysブースでも新しい活用事例が!

同じ3Dプリンターゾーンで出展されていたストラタシスジャパン様のブースも例年以上に多くの方でにぎわっていました。
その中で、国内外の新しい活用事例が展示されており、いくつかご紹介したいと思います。

フォークリフト塗装マスキング治具

こちらは株式会社豊田自動織機様の活用事例で、 お客様のご要望ごとに異なる塗装のマスキングを、従来手作業のケガキを書いて行っていたものを、片手で簡単に持てる治具をF900プリンターでABS樹脂により置き換えることで、作業時間を1時間から10分へ削減されたそうです。加えて、トポロジー最適化ソフトウエアにより形状最適化した結果、最終的に0.3kgまで軽量化し、コストダウンと作業負荷軽減に成功されたそうです。

CFRP花瓶 オートクレーブ成形型

こちらはCFRP加工に高い技術を持たれている株式会社UCHIDA様のご提供によるもので、Fortus450mcによるULETM1010材料で型を造形後表面にコーティング、研磨加工を施し、CFRPプリプレグを積層後にオートクレーブで加熱硬化されたそうです。

従来のマスター型から反転成形して成形型を起こす製法(カーボン型)と比較し、直接成形型形状での型出力が可能となり、工程、時間が削減でき、人が行う作業が減り、3Dプリント中に別の作業をすることも出来たとのことです。

外科手術練習模型 成形型

Stratasys Polyjetプリンターで樹脂射出、金属シートプレスの樹脂型を短時間で作る「デジタルモールド®」で有名な有限会社スワニー様が、今回新しい活用方法として、人の臓器の外科手術のシミュレーションや練習するための模型の成形型と模型を展示されていました。人体のCTスキャンデータから3次元データを作り、それを基に血管はカラープリンターで造形、軟組織の形状を3次元設計、3Dプリントし、長野県の食品メーカー「伊那食品工業」の寒天を応用した材料を充てん冷却して固化すると、臓器に近い柔らかさがが再現できるとのこと。切る感触も実際に近く、従来使われていた動物の臓器から置き換えることができるとのこと。このような型は切削加工するには時間と工数がかかるので、手術までの限られた時間で作る方法として役立つと思われます。

このように、3Dプリンティングが実際に機能する治工具、型、実用部品に多く使われるようになってきたことが分かりました。

見せる方も見る方も、展示会は終わってからが大事!

このように6月のDMSは盛況のうちに幕を閉じましたが、筆者も見せる立場、または見る立場で数多くの展示会に参加してきましたが、もちろん会場で多くの情報を出したり得たりすること以上に、「終わってからどうするか?」が大事です。「言うは易し」でなかなか難しいのですが、展示会の情報は「広く浅い」ものが多いので、情報を整理して、重要度や緊急度によって優先順位をつけて関係者への共有や、情報の深堀りを間を開けずに行うことで得た情報を役立てることができますので、DMSに来ていただいた方も、来られなかった方も、役に立ちそうな情報があれば、ぜひ提供者に直接問い合わせをして、情報を活かされることをお勧めします。

弊社の展示に関するお問い合わせは直接担当者か「お問い合わせページ」からご遠慮なくお尋ねください。

2018年07月11日(水) ~ 2018年07月13日(金)からポートメッセなごやにて開催される「人とくるまのテクノロジー展 2018 名古屋」にもブース出展致します。これから年度末まで様々な展示会に出展予定ですので、ぜひご来場の上、最新の3Dプリンティング情報を得て、お仕事にお役立ていただければと思います。

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