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「3D✖2.5Dプリンティング」で出来ることは?掲載日:2018/12/04

このコラムで「4D(4次元)プリンティング」についてお伝えしたことがありましたが、今回は「3D✖2.5Dプリンティング」についてです。先月11月20日に弊社丸紅情報システムズ株式会社名古屋支店にてセミナーが開催され、そこで紹介した新しいものづくりの方法ですが、それは何かというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

2.5Dプリンターとは?

このコラムで「4Dプリンティング」についてお伝えしたことがありましたが、そこでも触れたとおり「次元」というのはなかなか定義や理解をするのが難しいのですが、ここでは「2D=高さのない平面」「3D=縦横高さのある立体」と考えていただければと思います。

さて、みなさんはカシオ計算機様が独自に開発製造販売されている「2.5Dプリントシステム mofrel(モフレル)」をご存知でしょうか?展示会などでご覧になった方もいらっしゃると思います。

その技術や作る手順は上記のウエブサイトをご覧いただきたいのですが、なぜ2.5Dかというと、平面上の模様と色(2D)に加えて、小さい「凹凸(+0.5D)」を持つシートを作れることで、「見る+触れる」でより多くの情報と感覚を人に伝えることができるプリンターだからです。

作る工程は何段階かに分かれていますが、装置は下記のプリンターだけで全て数分で行うことが出来、オフィス内で使えます。操作タッチパネルが大きく、表示も分かりやすいものでした。

どのようなものが出来るかというと、まず下の写真をご覧ください。

どう見ても「たたみ」なのですが、これはmofrelで2.5Dプリントされた「シート」です。写真だと伝わらないのですが、たたみの目やヘリも実物のたたみそっくりな凹凸があり、触るとますます「たたみ感」が伝わってきます。その他、布地やその糸縫い目、牛・ワニなどの皮、木など、実際に表面に凹凸がある素材から、下の写真のように透明光沢フィルムを上から貼ることでCFRPや金属のような素材まで、実物に近い見た目と触感をもつシートを作ることができるのです。

もう一つ、家電製品に多く使われている、「ポチッ」と押した感触があるフィルム状の「メンブレンスイッチ」や、自動車のインストルメント操作ボタンパネルも、スイッチの凹凸、形状、色を含め量産品に近いものを再現することができます。

悲しいかな、写真ではこの質感、立体感がほとんど伝わっていないと思いますが、まさにこれが2Dと2.5Dが伝えられる情報量の違いです。

mofrelが大きな時間、コストと工数低減を生み出すのは「CMFデザイン」という分野です。CMFとは” COLOR(色)”、”MATERIAL(素材)”、”FINISH(加工)”の頭文字で、モノの表面性状(サーフェス)を構成するものです。欧米では古くから「CMFデザイナー」という専門家が多数いて、その重要性が認められていたそうですが、日本では最近ようやく知られ、広まってきたそうです。現状、CMFデザイン検討にはコンピュータの画面や写真だけでなく、特別な色で染色した繊維で織った布などを作り使うそうですが、それには相当な時間と工数がかかります。その点mofrelであれば、デザイナー自身がデザインしてすぐに手元でプリントできますので、時間とコストが低減できることはもとより、多くの種類のサンプルを作って評価できるので、評価品質や商品魅力の向上も図れることは想像に難くありません。

いち早く導入された自動車や家電の大手サプライヤー企業の事例も上記のウエブサイトからご覧いただけます。

3D✖2.5Dで出来ることは?

先月11月20日に弊社丸紅情報システムズ株式会社名古屋支店にて3Dプリンターをお使いのお客様を対象にしたセミナーが開催され、そこで初めての提案として、3Dプリント品の立体表面にmofrelのシートを貼ることで、よりリアルなCMFデザイン検討モックアップのサンプル展示と、カシオ計算機様によるプリントのデモンストレーション、紹介講演を行いました。

実はmofrelはプリントペーパー・プラスチックシート・PO(ポリオレフィン)シートの3種類が用意されていて、それぞれA4・A3の2サイズがあり、特にPOは引っ張ると5%まで伸び、裏に粘着剤もついているので、3Dプロント品の曲面に沿わせて貼り付けることができます。

それにより例えば自動車内装ダッシュボードCMF検討用モックアップを想定したサンプルや

センターコンソールリッドCMF検討用モックアップを想定したサンプルをカシオ計算機様に特別に作って展示していただきました。

これも現物を見て触れていただかないと良さが伝わらないのが残念ですが、凹凸のある2.5Dシートより更に立体的な表現になり、デザイナーのイメージが伝わりやすいと感じました。

現状弊社で販売している3Dプリンターだけ、もしくはそれに塗装やフィルムコーティングではここまでのリアルで自然な見た目と触感は作ることが出来ず、つまり3Dだけでも2.5Dだけでも出来ないサンプルが早く容易に、特にオフィス内で使いやすいStratasys F123シリーズとmofrelの組み合わせなら、デザイナー自身がオフィス内で作ることも出来ます。

mofrelのプリンターやサンプルは、カシオ計算機様のご協力により、弊社名古屋支店ショウルームでご覧いただくことができます。

3D✖2.5Dプリンティングにはもっと大きな可能性が!

上記の通り、3D✖2.5Dプリンティングの現状は「本物に近い」見た目と触感のモックアップを作れるという価値ですが、カシオ計算機様によると、今後もっと大きな可能性があり、それに向けての開発を進めていかれるとのことです。

例えばクルマのダッシュボードは、これまで「シボ」と呼ばれる梨地や皮革、織布に見えるような凹凸を金型に作り、樹脂成形品として作ったり、フィルムで木目調にしたり、高級車では天然の皮革や木を使ったりしていますが、5年後のクルマでは求められる見た目、触感は変わるはずです。そのために全く新しい表面性状を開発するのにmofrelは大きな役割を果たすとのことで、もうすでにその開発は始まっているとのことです。もちろん車以外でも、人が見て触れる製品の表面が変わることで、機能や商品価値が大きく変わることは想像できます。更にシートやフィルムに柔軟性、耐久性が出来たり、大きさが変わったりすると、3Dプリント品に貼って、実際に使う商品や部品を作ることも出来そうです。

つまり3D✖2.5Dプリンティングには、かけ算以上に大きな可能性が秘められています。もしご関心を持っていただいたら、弊社までぜひお問い合わせください。

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