製造ソリューション事業本部

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3Dプリンティング関連イベントから学んだ「役割の変化」は?掲載日:2023/10/13

9月末から年末年始にかけて、国内外各地で3Dプリンティング関連のイベントが多く開催されます。その中で参加して学んだことの中に、「3Dプリンティングの役割の変化」がありました。それはどのようなことかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

秋のイベントで学んだ「3Dプリンティングの役割の変化」

10月に入り、東京でも急に冬の寒さを感じる日があり、本当に快適な秋の気候が短くなってしまうのはとても残念です。それでも10月から年末にかけて国内外で大きなスポーツイベントが多く行われ、テレビ観戦含め楽しみたいと思っています。

さて、3Dプリンティングにおいても9月末から年末年始にかけて、国内外各地でイベントが多く開催されます。筆者も出展者、講演者もしくは参加者として、既に参加または参加予定のイベントが多数あり、コロナ禍前以上に多くの情報収集交換が出来そうで、こちらも楽しみにしています。その中で既に参加したイベントの中で学ぶことがたくさんあり、その中のいくつかをご紹介したいと思います。

みなさんの中でも行かれる予定の方がいらっしゃるかと思いますが、世界最大規模のAM関連展示会「Formnext」が11月7日 ~ 10日にドイツ フランクフルトで開催されます。筆者も2019年までは毎年参加しこのコラムでもお伝えしてきましたが、残念ながら昨年同様今年も参加しない予定です(昨年についてのコラム記事はこちら)。その代わりプレイベントであるFormnext Forum Tokyo2023には参加してきました。その中で、ドイツから来日されたVDMA(ドイツ機械工業連盟)のDr Markus Heering氏の講演がありました。まず、これまでの海外講演者は、言わばAM の「中の人」が多かったと思いますが、ドイツ機械工業連盟は3600もの会員企業、36の業界団体を持つ「機械全体」の団体で、つまりドイツでは既にAMは工作機械のひとつとして位置づけられ、これまでと産業の中での「役割」が変わっていることが伺えます。また、VDMAの中には200社による「AMワーキンググループ」があり、研究、教育、他の産業機械とのデータ通信規格化などを行っているそうです。

次にVDMAが製造企業に今年秋に行った、AMについてのアンケート結果報告があり、AMで使われる材料は40%が金属、38%が金属と樹脂両方、18%が樹脂とのことで、単純比較はできませんが、感覚的には日本より金属の割合が高いのではと思います。ここでも、ドイツではAMは「金属を加工する役割」に変わってきていることが考えられます。

また主な用途は試作が44%、部品生産が29%と、これは日本とも近いと感じます。一方、AMによるプラスの影響がある分野は新用途が63%、開発が41% 新市場開拓が35%とのことで、コストダウンやカイゼンより、新しいものづくりにAMを使う傾向が見られます。またAMの課題はコストが72%、技術開発が64%、その他新しいアプリケーション開発、安定性・再現性があり、これは日本含めたその他の地域と大きく違わないように思います。

講演の中で「AMで何を作るか」の話題の中で繰り返し出てきたキーワードがありました。それは「イネーブラー」です。日本ではあまり馴染みのない言葉ですが、英語Enablerの意味は「可能にするヒト、モノ、コト」と言えますが、Markus氏はAMで作られている、または作るべきモノのひとつとして「イネーブラー」と述べられていました。この意味は、「製品や製造、ビジネスモデルにおいて、出来なかったことを出来るようにする製品・構成部品、生産機械・型・治工具構成部品」と解釈しています。特に国内ではAMで作るべきもの、AMの役割について、作るモノ単品中心に焦点が当たることが多く、例えば型や切削を使わないことによる製造時間とコストダウン、構造と重量の最適化形状などが挙げられることが多かったように思います。それに対し、

ある製品や製造、ビジネスモデルおいて「イネーブラー要素部品」は何か
→イネーブラーにするために適した形状と材料は何か
→それはAMなら作れる可能性があるとなった場合にAMを使う

と考えてみることは大事で、「イネーブラー」を作るという、ある意味AMが発明されたときから期待された役割の重要度が一周回って変わってきているのではと考えています。みなさんはどうお考えでしょうか?

最後にMarkus氏は、これからAMが使われる分野として、先進エンジニアリング、サプライチェーン、サステナビリティ、水素というキーワードを挙げられていました。

展示会出展の結果とお知らせ

前回のコラムでお伝えしました、「第26回 関西 設計・製造ソリューション展(DMS関西)」に弊社丸紅情報システムズ株式会社が出展し、筆者も参加してきました。ブースでは、バインダージェット方式金属3Dプリンター Shopシステム (Desktop Metal社) のプリンターの他に、最新型ハンディスキャナ T-SCAN hawk2 (ZEISS社) やAR目視検査 SuPAR (CDMVision社) など、新しいデジタルツール製品も展示紹介しました。

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大変多くの方と直接お会いし、今直面されているものづくりの課題を直接うかがうことが出来ました。中には前回のコラムでお伝えした、筆者の「AM量産メガネフレーム」を実際に見たいと来ていただいた方もあり、大変ありがたいことでした。

またその中で、3Dプリンティングにも大いに関係する、ソニー株式会社様の設計デジタル変革についてのセミナーを受講しました。長年多くの努力で様々な課題や困難を乗り越えられた経緯は大変勉強になりましたが、設計デジタル推進のポイントとして、いくつかのキーワードがありました。

・マネジメント体制=進捗の見える化 マネジメント理解=スピーディーにジャッジ
・背景、目的、必要性を正しく理解
・デジタル空間を通じての協業へ

言うまでもなく、要求、機能、構造のデジタル化、MBD含む設計デジタル変革があってこそ3Dプリンティングが有効になり、逆に3Dプリンティングがデジタル変革の「イネーブラー」にもなり得、それも変わってくる「役割」のひとつだと思いました。

最後に弊社丸紅情報システムズ株式会社が出展する展示会がありますのでお知らせします。

オートモーティブワールド 第6回[名古屋]自動車部品&加工EXPO

開催日時 :2023年10月25日(水)~2023年10月27日(金) 10:00~17:00
会場   :ポートメッセなごや 新第1展示館(〒455-0848 名古屋市港区金城ふ頭2-2)
ブース番号:1-38
参加費  :無料(事前登録はこちらの主催者ウエブサイトからお願いします。)

出展製品
【Stratasys社 3Dプリンター】
・FDM方式ハイグレードシリーズのエントリー機種/F170
・光硬化インクジェット方式マルチマテリアル対応のエントリー機種/J35 Pro
【Desktop Metal社 金属3Dプリンター】
・造形・焼結の2ステップで簡単に金属モデルを生産/Studio System2
【ZEISS社 3Dスキャナ】
・高精度・コンパクトスキャナ/GOM Scan1
・高精度 工業用ハンディ3Dスキャナ/T-SCAN hawk 2

筆者もブースにいる予定ですので、ぜひお立ち寄りください。

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