製造ソリューション事業本部

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Formnextから知るAMの今とこれからは?掲載日:2023/11/21

11月7~10日にドイツで開催された世界最大規模のAM関連展示会「Formnext2023」には行けませんでしたが、ネット経由でも多くの情報を得ることが出来ました。規模は昨年を上回る回復ぶりでしたが、中身は変化があったように見えました。それは…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

Formnext2023はどうだった?

やっぱり東京にも冬が突然やってきました。日中半そででも過ごせた週の土日にコート無しでは寒い気温になり、通勤電車の乗客の服装も週明けでガラッと変わりました。気温差も体に応えますが、インフルエンザも流行っているようなので、みなさんもご自愛ください。

本題の前に話題をひとつ。ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、11月16日にNHK総合で放映された番組「サラメシ」では、ゴルフクラブメーカー「本間ゴルフ」様の社員食堂が特集のひとつでしたが、その中でゴルフクラブの開発や製造の様子も詳しく紹介され、特にドライバーヘッドの開発では、職人の方が構えた時の見た目という感覚を大事にされ、手作業で作られる木の模型を3Dスキャナでデジタル化、それを基にCAD設計された形状を3Dプリンターで出力、それを職人の方が見て合否を判定される工程も写っていました。番組は11月23日(木) 午後0:15 〜 午後0:40に再放送があり、ネットでも見逃し配信もあるようですので、興味のある方は下記ウエブサイトを参考にご覧になってください。
https://www.nhk.jp/p/salameshi/ts/PVPP6PZNLG/episode/te/G7MZ6JKKG5/

また、この工程は2017年にこのコラムでもご紹介しました弊社のユーザー事例動画でもご覧いただけます。

さて、前回のコラムでもご紹介しましたが、11月7~10日にドイツ フランクフルトで世界最大規模のAM関連展示会「Formnext2023」が開催されました。 筆者は行けませんでしたが、ネット経由でも多くの情報を得ることが出来ました。2019年については当時このコラムでもお伝えしましたが、その時より多い出展数約860、来場者数30,000人以上と、規模は過去最大だった昨年を上回る回復ぶりと主催者の発表はあった一方、海外メディアのレポートでは、ブースサイズが全体に小さくなっていたこと、イスラエル企業の欠場などもあり、展示総面積は減ったのではとのことでした。

ブース展示ではStratasys社が新FDMプリンターシステム「F3300」(発売は来年前半予定 下写真は外観)を発表するなど、各社から新製品、新材料の発表もあり、まだまだ製品研究開発が活発に行われていることはこれまでと変わりませんが、ドイツを中心とした欧州のAM市場とユーザーの使い方の「今とこれから」を反映した「変化」があったように見えました。

img_3D_20231121_02.jpg

ある海外記者が感じたことの記事として、『会場全体の雰囲気が、以前はAMに対する期待による「過熱」「喧噪」から、この展示会にこれからを賭ける企業などにより「重く真剣」な雰囲気に変わり、いわゆる「派手なラッパ」を吹く音は減り、意味のあるつながりを作る傾向は増えていて、「気楽なひやかし的」な人は減り、既に利を得てAMに関心の高い人が増え、製造産業全体の低迷から業績の苦しい企業もあれば、防衛や医療から流れてくる投資により成長する企業もある』というようなことが書かれていて、よく実態を表していると思いました。また今回北欧出展エリアや環境対策先進地域として知られるノルウェー、フィンランド、スウェーデンのAM事情についての講演もあり、特にサステナビリティ実現に、輸送や材料消費と廃棄物が少なく、再生可能エネルギー電力を利用しやすい3Dプリンティングへの期待が高く、これから積極的な活用が見込まれるとのことでした。

次に筆者がニュースや会場内講演をオンラインで見た範囲での変化は、これまで講演する方は、プリンターメーカー、コンサルタントなど「売り側」の人が多かったのに対し、今回は「使う側」の活用研究者、製造企業、軍関係の方が増えたこと、産業も従来の航空宇宙、医療、輸送機器(自動車、鉄道)に加え、ファッション(ファブリック含む)、建築、船舶からの方が増えた印象的でした。以前は詳しいことがわからなかったダイムラーバス社のAM活用も、既に多くのスペアパーツのAM製造によるデジタル在庫、ユーザーへのオンライン販売とオンデマンド地域分散製造を構築しただけでなく、自社のノウハウや社内専門チームの人材を活かして、社外へのAM製造プロセス構築支援サービスビジネスを立ち上げていたこともわかりました。

ニュースからも、これまでは装置メーカー間の吸収合併、パートナー契約が多かったのに対し、装置メーカー、ソフトウエアメーカー、材料メーカー、エンジニアリングサービス会社、ユーザーなどの間で連携する発表が増え、一般に競合あるいは売り手と買い手という関係で分断されていた企業同士が協働するという、いままで起きなかったことが起きる転換点に来ているとも言え、これから日本でも起きる、または必要になるのかもしれません。また出展製品の傾向としては、樹脂、金属、建築材料も大きなプリンターの新製品が目立ったこと、また「プリントすれば出来る」という戦略に頼り続ける3Dプリンターメーカーがある一方、実際ユーザーは3Dプリンティングでモノを作るには、経験、ソフトウエア、トレーニング、工程整備など含め複雑な作業であることを知り、それを乗り越えて使いこなすユーザーはあるものの、多くは助けを必要とされていることが分かったメーカーは、導入運用しやすいパッケージ化を提供する傾向もあったようです。

Formnext2023について今後国内でも様々な情報提供や議論の場があると思いますので、みなさんもそれらの機会を利用され、世界の動向から拡げた視点で自社の3Dプリンティング活用を考えられてみてはいかがでしょうか。

九州ものづくりワールド出展のお知らせ

弊社丸紅情報システムズ株式会社は、下記展示会に出展します。筆者も九州のイベントに久しぶりに参加する予定ですので、多くの方のご来場をお待ちしております。

九州ものづくりワールド 設計・製造ソリューション展

開催日時: 2023年11月29日(水)~2023年12月1日(金) 10:00 ~ 17:00
会場: マリンメッセ福岡 B館 (〒812-0031 福岡県福岡市博多区沖浜町7−1)
【設計・製造ソリューション展】小間番号3-10

出展製品
・金属3Dプリンター Studio システム2 (Desktop Metal社)
・3Dプリンター Origin One(Stratasys社)
・3Dプリンター J55 Prime (Stratasys社)
・高速ハイエンド3Dスキャナ ATOS 5(Zeiss社)
・最新型ハンディスキャナ T-Scan hawk2(Zeiss社)
・協働ロボット型自動計測システム ATOS Q & GOM ScanCobot(Zeiss社)
・ハイエンドCAD/CAMシステム Tebis(Tebis社)
・金型製造業向け生産管理 ProLeiS(Tebis社)
・NCデータ最適化 NCBrain(NCB社)
・XR エンジニアリング・ワークスペース Hololight Space (Hololight社)新製品

参加費:無料 丸紅情報システムズからのe招待券(電子版招待券)はこちらからです。

JAMM#15オンラインイベント開催のお知らせ

これまでもこのコラムでご案内してきましたが、3Dプリンティングに関わる方々の交流オンラインイベント「JAMM(Japan Additive Manufacturing Meet-up)」の15回目が12月1日(金)に下記の通り開催されます。筆者も企画とパネルディスカッションに参加しています。今回はFormnextに行かれた方からのご講演も予定しています。全体の時間は長いですが、入退場は自由ですし、聞きたい部分だけの参加でも結構です。ぜひみなさんのご参加をお待ちしています。

イベント詳細と参加申し込みウエブサイト https://sharelab.jp/event/jamm-15-231201

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