利用方法

Raytacには、大きく分けて何もFWが書き込まれていないblankモジュールとすでに特定の動作のみに対応したFWが書き込まれたATコマンドタイプのモジュールがあります。 blankモジュールのアプリケーション開発の流れとATコマンドタイプのモジュールの使用方法についてご紹介します。

関連資料


  • 【Raytac】
  • Raytac blog
     レイタックの新製品情報や開発時の役立つ情報を発信

  • 【Noridc各種ドキュメント】
  • Technical Documentation
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  • Nordic DevZone
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     ソフトウェアに関するお問い合わせはこちらから 行います。英語での記載になりますので、ご注意ください。


ブランクモジュールの開発の流れ


ブランクモジュールの開発の流れ説明図

ハードウェアの準備


  • ハードウェアとしては、下記を用意します。
  • ・PC
  • ・Nordicの評価ボード or 顧客のターゲットボード、Raytac評価ボード
     ・初回の評価の場合は、Nordicの評価ボードでの開発を推奨
      ・SDKのサンプルプログラムはNordicの評価ボードで動作するように作られている為
  • ・書き込み機

ハードウェアの準備説明図

Nordicの評価ボードはデバッガを搭載しており、PCをUSBケーブルに接続するだけで書き込み、デバッグ、動作確認が可能です。また外部のデバイスへの書き込みも可能であり、下記のような接続方法にて書き込みを行います。

評価ボードの写真
※nRF53の書き込みが可能な評価ボードはnRF5340DKのみ

ソフトウェアの準備

大きく分けて下記2種類のSDKが用意されております。nRF52シリーズのお客様は、nRF5 SDKとNCSのどちらかを選択できます。Direction FindingやBluetooth LE Audioなどの新しいBluetoothの機能は、nRF Connect SDK(NCS)でサポートされます。

・nRF Connect SDK(NCS)
・対応デバイス:nRF52,nRF53,nRF70, nRF91
・Zephyr RTOS
・BLE, Wi-Fi, Bluetooth mesh, Thread, Zigbee, Matter, LTE
・BLEの新しい機能(BLE audio等)をサポート

nRF Connect Desktopをインストールし、その中でToolchain Managerをインストール、最新バージョンのSDKをインストールします。

ソフトウェアの準備説明図

・nRF5 SDK(レガシー)
 ・nRF5 SDKの他に「nRF5 SDK for Bluetooth mesh」「nRF5 for Thred/Zigbee」があります。
 ・対応デバイス:nRF52
 ・OSレス

nRF5 SDKは、NordicのSDKダウンロードサイト「nRF5 SDK ダウンロード」からダウンロードします。
開発環境については、SEGGER Embedded Studio「SEGGER Embedded Studio ダウンロード」をダウンロードし、インストールします。

NordicのSDKダウンロードサイト

デバッグ:スマートフォンアプリ

  • Nordicから複数のスマートフォンアプリが提供されており、開発時に使用頂くことができます。
  • nRF Connect for Mobile
     ・アドバタイズのスキャン、接続
     ・サービスとキャラクタリスティック一覧取得
     ・キャラクタリスティックのリードライト
  • nRF Toolbox
     ・UARTや心拍数、血圧、体温計等のプロファイルモニタ
  • nRF Connect device Manager
     ・ファームウェアアップデートの評価
スマートフォンアプリのデバッグ

デバッグ:PC ソフトウェア

  • nRF Connect for Desktop
    様々な機能が一つのアプリに同梱されているPC用のアプリです。PCにインストールすることにより、下記のような様々なアプリケーションを使用できるようになります。
  • nRF Connect Bluetooth Low Energy
    PCにNordicの評価ボードを接続し、開発中の機器のBLE通信の評価をPC上で確認するツール
  • nRF Connect Programmer
    Programmerを操作し、hexファイルのwrite,read,eraseを実施するツール
  • nRF Connect Power Profiler
    Nordicが提供するPower Profiler Kit IIを使用し、消費電流測定を実施するツール
PCソフトウェアのデバッグ
PCソフトウェアのデバッグ

ATコマンドタイプモジュールの使用方法

① ATコマンドタイプのRyacモジュールとは

  • RaytacにはすでにFWが搭載されたATコマンドタイプのBLEモジュールを用意しております。本製品を使用することにより、Raytacモジュールのソフトウェア開発を行うことなく、BLE通信を実現できます。

  • ・すでにRaytac社が作成したFWが搭載されており、FWの開発が不要
  • ・UARTインターフェースを使用してBLE通信が可能。
     ・外部のマイコン等からUARTに入力したデータをそのままBLEで送信。
     ・BLEにて受信したデータをそのままUARTから出力。
  • ・通信相手は1:1通信のみ対応。
  • ・設定変更はATコマンドにて設定が可能。(BLE接続する前に設定する)
  • ・下記3タイプのモジュールを用意
     ・slaveタイプ
     ・masterタイプ(USBドングルの形状の製品もあります。)
     ・slave/masterの機能を切り替えて使用できるタイプ
  • ・下記アンテナのタイプを用意
     ・chipアンテナ
     ・PCBパターンアンテナ
  • ・各国の電波法認証取得
     ・認証取得情報は各データシート参照

② ATコマンドタイプのRaytacモジュール使用イメージ

master側はRaytac ATコマンドモジュール・USBドングル・スマホのいずれかを使用することができます。

③ 主要ATコマンド例

評価時Tera Term等のターミナルサービスからATコマンドを送る場合はコマンド自体をコピー&ペーストで入力します。(キーボードで1文字ずつ入力すると時間がかかりすぎて1コマンドだと認識しません。)

writeコマンド

コマンド 内容 Default
AT+NAME デバイス名の設定
例:AT+NAME123 (デバイス名は123)
Raytac AT-UART
AT+PHYMODE2MBPS
(1M or 2M)
PHY modeを1M or 2Mbpsに設定 1Mbps
AT+TXPOWER4DBM
(4,0,-4,-8,-20)
RF TX Powerを+4 or … dBmに設定 +4dBm
AT+BAUDRATE9600
(9600,19200…,460800)
Baud rate 9600 or … bpsに設定 9600bps
AT+DCDCDIS
AT+DCDECEN
DCDCモードを無効(LDOモード)or
DCDCモードを有効(DCDCモード)
DCDC無効(LDOモード)
AT+XTALINTERNAL
AT+XTALEXTERNAL
内部の32kHzオシレータを使用 or
外部の32kHzオシレータを使用
内部32kHzオシレータを使用
AT+RESET 設定を保存する -
AT+DEFAULT 設定をdefaultに戻す -
AT+CONNECTINTERVALMODE0
AT+CONNECTINTERVALMODE1
AT+CONNECTINTERVALMODE2
connection interval
Mode0:min.20msec/Max.40msec
Mode1:min.8msec/Max8msec
Mode2:8msec ~1,000msec詳細設定
mode0

readコマンド

コマンド 内容
AT?NAME デバイス名
AT+PHYMODE2MBPS
(1M or 2M)
PHY modeを1M or 2Mbpsに設定
AT?PHYMODE PHY mode
AT?TXPOWER RF TX power
AT?BAUDRATE Baudrate
AT?DCDC DCDC or LDO
AT?XTAL 内部32kHzオシレータ使用有無
AT?CONNECTINTERVALMODE Connection interval mode
AT?CONNECTINTERVALTIME Mode 2の時のConnection interval time

④ ATコマンド使用方法例

  • UARTのdefault設定は9600bps。
  • UART PDピンをLowにし、UARTインターフェースを有効にすることによりATコマンドが送信可能。UART PDピンが未接続 or NCの場合はUART無効。
  • ATコマンドを連続で送る場合は最低250msec間隔を空けて送信する。
  • WriteコマンドのあとはReadコマンドを送信し、設定が反映されていることを確認する。
  • “AT+RESET”を送信し、すべての設定を保存する。
  • “AT+DEFAULT”を送ることにより、default設定に戻る。
  • BLE接続完了後はUARTに送信したデータがそのまま送信される。(UART PDはLowのままにする。)
  • BLE接続中にflash default pinがHighもしくはNCの場合はATコマンドは無効になる。Lowの場合はATコマンドが有効。BLE接続中に使用できるATコマンドはAT?ADCVALUE, AT+DISCONNECT, AT+SLEEP, AT+SETGPIOnnHIGH, AT+SETGPIOnnLOW and AT+SETGPIOnnOFF。

⑤ 評価用に用意されているスマートフォンアプリ[ nRF Toolbox App ]

slaveタイプのATコマンドタイプモジュールは、下記のようにスマートフォンアプリとBLE接続することができます。