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「1歩下がって考える」3Dプリンティングの設計とは?掲載日:2023/05/24

このコラムでも3Dプリンティングで作るモノの設計やDfAMについて何度もお伝えしてきましたが、その前提となる大事なキーワードを最近参加したオンラインイベントで学びました。それは「1歩下がって考える」ですが、どのようなことかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

関西メタルジャパンに出展してきました

最近東京では夏のような暑さや、数か月前のような雨の寒さがコロコロ変わる日が続いていて、梅雨前のちょうど良いさわやかな天気が昔より少なくなった気がします。それでもこの時期は観光に良い季節なのもあってか、新宿駅の朝夕も海外からの旅行者で急に混み始め、出張ときの指定席やホテルも取りにくく、料金も上がってきて困ることもありますが、経済にとっては良いことで、「日本に来て、お金を使ってくれてありがとう」と思えば気も楽になります。

さて、前回のコラムでお伝えしたとおり、弊社丸紅情報システムズは5月17日(水)~19日(金) までインテックス大阪で開催された関西メタルジャパン(高機能金属展)に出展しました。ブースでお会いできた方には、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。この3日間も2日目は真夏のような暑さ、3日目は朝から雨で、そのせいか少し来場者が少なかったような印象でしたが、今回は特に韓国からの来場者が多かったことから、アジア各国の方々もアフターコロナで早速精力的に動かれていることを実感しました。

ブースではDesktop Metal Studioシステムプリンターの実働展示や、先日のコラムでお伝えした、名古屋特殊鋼様が国内で初めて導入されたShopシステムのサンプルなどを中心に、Stratasys 樹脂3Dプリンターもサンプル展示を行いました。
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またご来場いただき、Shopシステムにご関心を持っていただいた方々には、弊社所有のShopシステムと17‐4PH(SUS630)材料で作ったコイン型のサンプルをお持ち帰りいただきました。
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これは筆者が、Shopシステムの特徴をお伝えでき、かつ重くなく、ポケットやカバンに入れて邪魔にならないように考えて、設計したものです。また写真の左は焼結後そのまま、右は弊社のエアブラスターで表面磨き仕上げをしたものです。設計直径はφ40㎜ですが、Shopシステム付属ソフトウエアで、Desktop Metal社が研究の結果設定した標準の焼結収縮補正率で自動拡大した形状でプリント後、専用ファーネス(焼結炉)で焼結したもので、外径を測定していただければ、標準の寸法誤差範囲をお判りいただけます。また、プリント時のサポート構造がいらないこと、小さい粒径の粉末と高解像度プリントヘッドのより、強度等方性と軽量化を両立する細かい複雑ジャイロイド形状と平滑な平面、曲線面はなめらかでエッジはシャープな凸文字なども実際に見て触っていただくことができるサンプルです。弊社ショウルームにお越しいただいたり、6月21~23日 東京ビッグサイトで開催予定の次世代3Dプリンタ展弊社ブースでも差し上げることができると思います。

「1歩下がって考える」設計

先日5月17日に群馬積層造形プラットフォーム(以下GAM)主催の「GAM技術報告会」がオンオフ併用で開催されました。上記展示会開催時間と重なっていましたが、国内で少しずつ増えてきた3Dプリンティングの人材育成と、企業や公的機関が共同で3Dプリンティングの活用実践と経験共有ができる「場」として、素晴らしい組織づくりと活動をされてこられたGAMでの参加企業の取り組みを拝見できる貴重な機会でしたので、展示会場からオンラインで参加しました。こういったことができるのも期せずして普及したオンラインの良いところだと思います。その中で、冒頭に山本群馬県知事が会場で、群馬が新しい製造をリードする地域になることを目指し、GAMにも大いに期待し、積極的に支援する旨のご挨拶をされました。弊社のDesktop Metal Studioシステムご導入事例でもご紹介した、長野県坂城町「さかきテクノセンター」様でも、町長ご自身がセミナーに参加、3Dプリンティングを理解され、地域製造業の神事術活用支援を推進されていましたが、このような地方自治体の首長は少なく、これから各地に増えるきっかけになるとよいと思いました。

GAM活動報告の中で、これも良い取り組みだと思ったのは、「探索マップ」という、「金属積層造形をものづくりに実装し、新たな価値を生み出すための旅路」を図式可視化されたということでした。ここでは詳細はお伝え出来ませんが、目指す価値と実現の方策、乗り越えるべき課題とその成果を様々な異なる立場の方々と考え、明示して方向とステップを共有し、実装を進めるモデルは、多くの企業の参考になると思いました。

また、今年1月に発表されましたが、フランスの国立産業技術センターであるCETIMがGAMに加入されたとのことで、CETIMの代表の方もご来場、講演をされました。CETIMは以前から3Dプリンティングの研究と実用を欧州でリードされている機関の一つで有名ですが、その方のご発言で大変勉強になったことがありました。それは、3Dプリンティングで実用品を設計するのが難しい、普及しないという課題に対し、

「まず(形状設計から)1歩下がって機能から考えることが大事」

ということでした。これはこのコラムでも過去にお伝えした「要件定義」にもつながることですが、往々にして既存工法・材料による既存設計をスタートとして、それを3DプリンティングでQCDカイゼンや、3Dプリンティングを活かす設計を行いがちですが、その前に1歩上流に立ち返り、その部品や装置の機能を検討定義し、それをスタートとして設計するという意味と解釈し、その通りだと思いました。逆に言えば、そのように1歩下がって考えるきっかけとなるのが3Dプリンティングの価値でもあり、また機能優先で考えた形状が製造できる可能性を作れるのが3Dプリンティングであるとも言えます。みなさんもそれぞれ、「1歩下がる設計」についてあらためて考えてみてはいかがでしょうか?

JAMMオンラインイベントのお知らせ

前回のコラムでもご案内しましたが、3Dプリンティングに関わる方々の交流オンラインイベント「JAMM(Japan Additive Manufacturing Meet-up)」の13回目が5月26日(金)に下記の通り開催されます。筆者も企画から参加していますが、今回は「サステナビリティ」に関する講演とディスカッションが行われる予定です。全体の時間は長いですが、入退場は自由ですし、聞きたい部分だけの参加でも結構です。ぜひみなさんのご参加をお待ちしています。

イベント詳細:https://sharelab.jp/event/jamm-13-230526
参加申込フォーム:https://news.sharelab.jp/jamm-230526/

実は上で書いた展示会の間でも、「3月のJAMMに参加しました」「再開してよかったです」と直接おっしゃっていただいた方がいらっしゃいました。とてもありがたいことで、こちらも励まされました。このような地域関係なく、3Dプリンティングに関わる人々とのつながりを増やすきっかけにしていただければと思います。

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