GOM 3D測定システム活用事例

ATOSで樹脂金型設計の最適化

キーワード
  • プラスチック
  • 樹脂金型
  • シミュレーション
少ないループ回数で、より良い金型を

ドライバーが坂道で急発進する際に、マニュアルでパーキングブレーキを引く心配がなくなったのは、ドイツのアンスバッハに拠点を置くOechsler社によって開発された製品のおかげである。

1990年後半、バーバリアン地方のプラスチック会社:Oechsler社は電子パーキングブレーキ(EPB)のアクチュエーターを開発した。これは、増え続ける自動車の従来のマニュアルブレーキに取って換わるものとなった。アクチュエーターのコアはプラスチック製のギアボックスである。特許を取得したデザインは、定重量を維持すると同時に厳しい性能要件を満たす為に、高機能材料を使用している。

Oechsler社―精密さと共に150年

「今日、EBPは我々の最も主力の製品である」とMarco Wacker博士は言う。彼は、Oechsler社で技術と革新のトップであり、役員でもあるが、更には複合繊維材料について博士論文を書いたプラスチックの専門家でもある。

創立150周年記念の際、Wacker氏は自社の強みについて尋ねられた時、“精密さである”と挙げた。 「当社の製品のほとんどは、自動車産業、医療技術、スポーツ用品、電気通信及び他産業用のギアである。我々は、単品・アセンブリ品問わず、ギアやハウジングを提供している。」 Oechsler社は、顧客に沿った仕様の開発、シミュレーションを組み合わせたコンセプトデザインから、金型製作や部品生産に至るまで、全て自社にて提供をしている。

光学式測定システム:ATOSを使用した意思決定

アンスバッハにある本社では400以上の様々な素材を年間6000トン生産しており、これらの材料の80%以上が強化繊維で占めている。
「これらの材料はとても反りやすい傾向があり、特に、この傾向は、低い壁形状を持つ製品に見られる。」とWacker氏は言う。
これまで、これらの製品の測定は接触式測定機で行っていたが、多くの問題を抱えていた。金型に施された修正情報は、測定データには常に反映されていなかった為である。更には、接触式測定機では必要箇所のポイント測定のみであるため、あまりにも多くの測定時間を要することに気が付いた。

接触式測定機用の定盤での3次元点測定では、座標の集合体という抽象的な形状の情報のみ得られる。また、オペレーターはその測定情報を3Dシステムに都度フィードバックをするという手間が生じていた。
「デジタルの時代において、接触式測定機はもはや意味を成さないのである。」とWacker氏は言う。 それ故、彼らは2012年に、接触式測定機に取って代わる方法を探し始めたのである。

ATOSでの測定の様子
複雑なプラスチック成形型
異なる素材での成形具合の比較
金型修正前後での穴位置のずれの比較
フリンジプロジェクション技術を用いた測定手法:
数秒でのスキャニングが可能に

システム検討の為、綿密なベンチマークが行われたが、その過程では同形状部品の550箇所もの測定点を6回も測定する必要があった。
ATOSと同じく検討していたCT装置と、ATOSのフリンジプロジェクション技術は、測定のスピードと精度はほぼ互角であった。しかし、Oechsler社が組み込みやリードフレームのような多くの混合部品を生産しているという点が、ATOS Triple Scanを選んだ明確な要因となった。

個々のポイント測定のみ行う代わりに、光学式3次元測定は、完全な部品形状を高密度で取得することができる。測定対象物に投影されたフリンジパターンは2つのカメラで撮影されて、数百万の測定ポイントからなる非常に詳細な画像データは、わずか数秒で取得される。またGOM社のソフトウェアでは、3次元座標もピクセル単位で計算することができる。

自由局面形状と幾何形状を表現する為に算出されたポリゴンメッシュは、図面と位置あわせが可能であり、また直接3D CADデータと重ね合わせることで形状と寸法解析を可能とできる。また、接触式の測定機に比べ、高速に全体部品表面を測定することができる。

シミュレーションとATOSの相互補完

部品設計後、コスト算出をする必要がある。顧客からGOサインを得られると金型製造部門によって金型設計がなされ、解析部門ではモールドフロー社のソフトウェアを用いて流動解析を行う。その解析は、反り予測も含め、Oechler社が使用する全ての材料に非常にすぐれた結果を提供している。
「これが現在私たちの金型ではわずかな反りしか生じない理由である。」とWacker氏は言う。さらに改善を繰り返すことにより、社内管理体制を構築できたのである。
まず始めに解析のスペシャリストは長年の経験に基づいて解析システムに工程パラメータを入力する。射出成形機のオペレータはそのデータを受け、必要であればパラメータを修正、もしくは経験に基づいて金型を製作する。多くの場合、オペレータはATOSを用いてプラスチック製品を測定し、結果を解析に戻している。

一方、解析スペシャリストはどのようにプロセスが技術の専門家によって調整されているのかを学び、このフィードバックに基づき、彼はその洞察を次の解析に取り入れる為、解析モデルを再び改善することができている。
研究開発部門の一員でありATOSを担当するBirgit Hauf氏は「一歩一歩、私たちは図書館のように経験を積んでいる。長い目で見れば、これら作業は繰り返しの測定をより簡素化するものとなるだろう」と推測している。ATOSは社内の管理体系の重要な要素となっている。

3Dスキャナは材料比較にも卓越

Oechsler社では、素材の比較にATOS Triple Scanを使用している。 例えば、「A社からのPBT GF 30が、必ずしもまた別のメーカーからの PTB GF 30と同じように作用するとは限らない。」とWecker氏は述べている。 ATOSは試作段階において、ある材料が参考材料と同様に作用するのかどうか、また調整する必要があるのかどうかを、迅速に決定することを可能にしている。
時より形状部品では、成形がクリティカルな部分が生じることがあり、板厚は最も薄くなってしまう。例として、10社あるメーカーの間では、考慮すべきバリエーションが多数存在していて、パラメータの変更だけでは修正可能ではないケースもある。最後の手段として、金型を修正することしかできていないのである。これにより上流工程で金型リリースをする際に、いくつか異なる他の素材を試してみることができなくなってしまっているのである。ATOSでは作業量を大幅に削減し、迅速に結果を確認することができるため、特にプロジェクトにおける試作段階で重要となっている。

必要な精度に到達するまでのフィードバックがゴール

設計、金型製作、生産部門は、ATOSでの測定結果に基づいて、実施可能な修正について議論をしている。 Hauf氏は「金型製作者と協力して、私はCAD上で修正レポートを作成する。金型は修正され、再度試作されるのである」という。

この管理体系は、要求精度に到達するまで繰り返される。R&D部門のトップである、Krauß氏は、「ATOSから得られる情報のおかげで、改善部分が分かり、新しい部品製造においては平均3回の繰り返しで済んでいる。接触式の測定機では、多大な労力を費やし、複数回繰り返し行って最終的な金型外形にようやくたどり着く。」という。またWacker氏は「私たちの目標はこのループは1回で済ませることである。」という。

GOM Inspect:包括的な評価(総合評価)の為の、フリーソフトウェア

Oechsler社では、測定データの評価と可視化のために無償版検査ソフトウェアであるGOM Inspectソフトウェアを使用している。このソフトウェアは、フリンジ投影タイプのスキャナー、レーザースキャナー、CT、その他の3Dデータの評価と編集を可能としている。また、測定結果との共同評価のための3Dビューワとして使用することもできる。 Hauf氏は「GOM InspectソフトウェアはGOMシステムに限定されるものではない。私たちはこのソフトウェアを、CAD比較、寸法検査、2D断面などのさまざまな評価に使用している。これはとても汎用性の高いツールである。それゆえ、測定において部門ごとに直接関与するだけではなく、見習社員や時にOechsler社の管理部門でさえ、このソフトウェアを使用している。」と述べている。

次の優先順位として、測定の自動化

Oechsler社では1年間で約80の金型が製造されて、そのうち35の金型はGOMシステムを用いて検証されている。 プロジェクト全体の責任は、未だ研究開発部門にあるが、Wacker氏は技術部門へ移行することを検討している。この新しいATOSを用いた技術が、今では部門において広く受け入れられていることがわかっている為である。
また、中期的にはATOSでの測定を半自動化し、いくつかの箇所は完全に自動化される見込みである。そして大きな時間短縮と生産工程に恩恵を与えてくれるであろう、と期待している。

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