自動車のNVH対策のための非接触3D振動計測

背景と目的

自動車の乗り心地の向上のためにはNVH(騒音・振動・ハーシュネス)対策が欠かせません。自動車の開発プロセスにおいては、車両を運転するなかで想定されるさまざまな環境を再現した実験を通して、こうしたNVHに関する評価と性能開発が行われます。

本事例では、路面が石畳や砂利道のような悪路を走行する際の、車両のハーシュネス(ガタピシ感)や振動を低減することを目的とした試験計測例をご紹介します。

車両加振試験機により電動バギーのタイヤ接地面を加振した際のシャーシおよびボデーの変位をARAMISにより計測し、特定周波数における実稼働解析(ODS)によりモードシェイプの評価を行いました。

計測条件と計測結果例

  • 使用システム :ARAMIS SRX 8GB / 600 frame MV 1200
  • 計測対象 :電動バギーのボデーおよびシャーシ
  • 加振条件 :正弦波・単一周波数 6.5 Hz
  • サンプリング速度 :200 frame/sec

測定の様子は以下の通りです。


結果は主に車両上下方向に着目し分析を行いました。FFTにより横軸が周波数、縦軸が振幅の周波数応答グラフを得たところ、6.5Hz, 12.8Hz, 19.5Hz, 25,7Hz, 32.3Hz, 38.3Hz, 45.2Hz, 51.5Hzでピークが見られ、これらモード周波数で特徴的なモードシェイプが得られました。

加振周波数である6.5Hzにおけるモードシェイプをみると、入力部位であるタイヤの動きが顕著になり、ボデーやシャーシなどほかの部位に特徴は見られませんでした。


6.5Hz

一方高いピークが得られた45.2Hzおよびその前後の38Hzのピークのモードシェイプは主にボデーのカウル後方部が、翼が羽ばたくような変形となることが分かりました。


45.2Hz

45.2Hzと他の周波数との相違は、ハンドル部分の挙動の有無が特徴となっており、45.2Hzの時にはハンドルの動きは見られなかった一方、38.3Hzのときではハンドル部分が大きく上下動していました。


38.5Hz

また同様に12.8Hzの時もカウル後方部が大きく上下に動作する周波数でした。
この時はタイヤも連動して動作していました。


12.8Hz

一方このときの車幅方向の動きを見ると、特にシャーシ部に組み付いたモータ部に大きな動きが見られました。


12.8Hz

25.7Hzおよび32.3Hzのときのピークでは、カウル前方部が大きく動いており、後方部は多少の動きは見られるものの、前方部ほどではないことが分かりました。

25.7Hzと32.3Hzの違いも同様にハンドル部分の動きの有無という点でした。


25.7Hz

19.2Hzの時はカウル前方にも後方部にも動きが見られました。特にこの時はタイヤの動きが大きいこともわかりました。


19.2Hz

さらに51.5Hzのときのモードシェイプはカウルの変形が主要なものであり、前方も後方も両方とも大きく動きが見られました。


51.5Hz
    これらの結果から
  • カウル部のバタつきの大きい部位に拘束を設け、乗り心地に対する振動の影響を低減する
  • モータ部の車幅方向の固定を増強しノイズやハーシュネスを低減する
  • といった対策を施すことが、乗り心地の向上に寄与することが示唆されました

従来法に対するARAMISのメリット

振動や変位を計測する場合、従来は加速度センサーを対象に張り付けて加速度を測定し、この値から変位や振幅を得ていました。これによる問題点は以下の通りです。

    [ 加速度ピックアップセンサー ]
  • 測定点数が多くなると準備工数が膨大 :車両全体の計測に準備だけで3~5日
  • センサーや配線の重量が無視できない :1~10g程度
  • 後処理にも多大な手間 :1日/1試験

これをARAMISに置き換えることで、劇的な工数削減と測定信頼性向上に貢献しました。

    [ ARAMIS ]
  • 準備時間 :30分
  • 測定ポイントシール :約0.1g / 配線不要
  • 結果出力 :リアルタイム~数分

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