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金属組織制御のためのDIC・温度分布同時測定
東京工業大学・中田研究室では、金属組織制御のためのミクロ組織の研究が行われています。その中で、GOM社ARAMISとサーモグラフィの同時測定を活用し、金属組織の挙動を可視化しています。
新規加熱冷却装置を用いた電子基板のDIC・温度分布同時測定
本事例では、エスペック(株)様が開発した観察窓が不要な新方式の加熱冷却装置を用い、GOM社ARAMISによる3D DICとサーモグラフィの同期測定を行うことによって、実装基板の変形と温度分布の同時評価を実現した事例をご紹介します。
自動車のNVH対策のための非接触3D振動計測
GOM社ARAMISは非接触で対象の振動やモーションの多点同時計測が可能です。ソフトウエアは計測結果のFFT解析により、さまざまな製品の実稼働解析(ODS)によるモーダルシェイプを得ることができます。
自動車のNVH対策のための非接触3D振動計測
背景と目的
自動車の乗り心地の向上のためにはNVH(騒音・振動・ハーシュネス)対策が欠かせません。自動車の開発プロセスにおいては、車両を運転するなかで想定されるさまざまな環境を再現した実験を通して、こうしたNVHに関する評価と性能開発が行われます。
本事例では、路面が石畳や砂利道のような悪路を走行する際の、車両のハーシュネス(ガタピシ感)や振動を低減することを目的とした試験計測例をご紹介します。
車両加振試験機により電動バギーのタイヤ接地面を加振した際のシャーシおよびボデーの変位をARAMISにより計測し、特定周波数における実稼働解析(ODS)によりモードシェイプの評価を行いました。
計測条件と計測結果例
- 使用システム :ARAMIS SRX 8GB / 600 frame MV 1200
- 計測対象 :電動バギーのボデーおよびシャーシ
- 加振条件 :正弦波・単一周波数 6.5 Hz
- サンプリング速度 :200 frame/sec
測定の様子は以下の通りです。
結果は主に車両上下方向に着目し分析を行いました。FFTにより横軸が周波数、縦軸が振幅の周波数応答グラフを得たところ、6.5Hz, 12.8Hz, 19.5Hz, 25,7Hz, 32.3Hz, 38.3Hz, 45.2Hz, 51.5Hzでピークが見られ、これらモード周波数で特徴的なモードシェイプが得られました。
加振周波数である6.5Hzにおけるモードシェイプをみると、入力部位であるタイヤの動きが顕著になり、ボデーやシャーシなどほかの部位に特徴は見られませんでした。
一方高いピークが得られた45.2Hzおよびその前後の38Hzのピークのモードシェイプは主にボデーのカウル後方部が、翼が羽ばたくような変形となることが分かりました。
45.2Hzと他の周波数との相違は、ハンドル部分の挙動の有無が特徴となっており、45.2Hzの時にはハンドルの動きは見られなかった一方、38.3Hzのときではハンドル部分が大きく上下動していました。
また同様に12.8Hzの時もカウル後方部が大きく上下に動作する周波数でした。
この時はタイヤも連動して動作していました。
一方このときの車幅方向の動きを見ると、特にシャーシ部に組み付いたモータ部に大きな動きが見られました。
25.7Hzおよび32.3Hzのときのピークでは、カウル前方部が大きく動いており、後方部は多少の動きは見られるものの、前方部ほどではないことが分かりました。
25.7Hzと32.3Hzの違いも同様にハンドル部分の動きの有無という点でした。
19.2Hzの時はカウル前方にも後方部にも動きが見られました。特にこの時はタイヤの動きが大きいこともわかりました。
さらに51.5Hzのときのモードシェイプはカウルの変形が主要なものであり、前方も後方も両方とも大きく動きが見られました。
- カウル部のバタつきの大きい部位に拘束を設け、乗り心地に対する振動の影響を低減する
- モータ部の車幅方向の固定を増強しノイズやハーシュネスを低減する
従来法に対するARAMISのメリット
振動や変位を計測する場合、従来は加速度センサーを対象に張り付けて加速度を測定し、この値から変位や振幅を得ていました。これによる問題点は以下の通りです。
- 測定点数が多くなると準備工数が膨大 :車両全体の計測に準備だけで3~5日
- センサーや配線の重量が無視できない :1~10g程度
- 後処理にも多大な手間 :1日/1試験
これをARAMISに置き換えることで、劇的な工数削減と測定信頼性向上に貢献しました。
- 準備時間 :30分
- 測定ポイントシール :約0.1g / 配線不要
- 結果出力 :リアルタイム~数分
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