CASE STUDY活用事例

Eaton Corporation

  • Eaton Corporation
    • 開発期間短縮
    • カスタム品生産
    • Studio システム

    Eaton社の自動車グループでは幅広い部品需要への迅速な対応が必要でした。Studio システム導入によるリードタイム短縮は、全く新しい設計を考える時間と方法をもらたしました。

00 概要

1911年に設立されたEaton Corporationは、航空宇宙、鉱山、医療、自動車などさまざまな市場でパワーマネジメントソリューションを提供する世界的なリーダーです。 9.7万人以上の従業員を擁するEaton社は、現在世界175か国でビジネスを展開し、210億ドル以上の年間収益を誇ります。

01 課題

自動車グループは、Eaton社の産業部門の一部で、乗用車から商用車まで、全体的な効率・性能・パワーを向上させるための幅広い部品を生産しています。

他の多くの自動車サプライヤーと同様に、Eaton社は自動車設計の素早い反復と世界中からの旺盛な部品需要に対応するために生産ラインのダウンタイムを最小化する必要性に迫られています。

大量生産のための工具や治具に加えて、Eaton社は世界中の顧客のために特注カスタマイズソリューションを生産しています。

Eaton社にとって課題は2つありました。製造ラインを迅速に再編成してダウンタイムを削減するにはどうすればよいのか、また、交通業界向けのカスタムパーツを開発するにはどうすればよいのか。

その答えを見つけるために、Eaton社のエンジニアはDesktop MetalとStudio システムに注目しました。

02 金型から交換部品まで

Studio システムの導入効果はすぐに表れました。

歯車の面取り工程で使用される空気圧式ジョーのセットから、比較的単純なプレスツールまで、多種多様な工具や治具を素早く手に入れられるようになったことで、エンジニアはツールのリードタイムを3~4週間からわずか5~10日へと60%以上も短縮することができました。

「Studio システム」は当社のインダストリー4.0 アディティブ・マニュファクチャリング(以下AM)戦略の鍵であり、当社のグローバルな製造エンジニアリングとツールルームチームのワークフローの一部となっており、私たちのグローバルな活動をサポートするために日々使用されています。

最大のメリットは、必要な製造デバイスを低コストかつリードタイムを大幅に短縮して製造できることです。

これにより、全く新しい設計の可能性が見えてきました。AMは設計や問題に取り組む際にチームに異なる考え方をさせることで、さまざまな設計の可能性を広げ、より迅速に問題に取り組むことを可能にし、社内の製造プロセス立ち上げに必要なリードタイムを短縮することで、より早く製品を発売することが可能になります。

エンジニアの一人は「AM活用する以前は失敗を恐れていましたが、AM活用を始めてからは失敗してもすぐに対応して、問題をより早く修正できます。」と語っています。



Alexandre Georgetti
製造戦略担当ディレクター
Eaton Corporation

同時にこのシステムは、大量生産される部品の工具や治具のコストを大幅に削減するのにも役立ちました。サイズや設計の複雑さにもよりますが、造形されたツールは平均して40~80%のコスト削減を実現しています。

従来の製造方法よりもはるかに低コストで速くツールを製造できるため、Eaton社は幅広い自動車部品を製造できるだけでなく、必要に応じて製造ラインを素早く再編成し、ダウンタイムを大幅に削減できました。

ダウンタイムの削減に加えて、AMによりEaton社の設計者は設計の複雑さを新たに追求し、オイルフィルノズルのように内部チャネルを含む部品を造ることができ、部品の試験をより早く実施できます。

Studio システムは、大量生産用の工具や治具に加えて、カスタム治具の製造にも適していることが分かりました。あるケースでは、Eaton社のエンジニアがイタリアで開発製品の試作品をテストするために、このシステムを使ってカスタム治具を造形しました。

Studio システムで部品を造形するようになると、Eaton社のエンジニアは工具や治具だけにとどまりませんでした。

他の製造施設と同様に、Eaton社は常に設備をメンテナンスし、ドアブラケットやチェーンガイドなどの部品が摩耗したり壊れたりした場合には交換しなければなりません。

交換部品を待っている間にダウンタイムが長くなるのを避けるためには、大量の交換部品を手元に置いておくか、割増料金を支払って従来の方法で急いで部品を作る必要がありました。

しかし、Studio システムは3つ目の選択肢を提供してくれました。

部品の3Dスキャンデータを使用して、Eaton社のエンジニアは図面が入手できないいくつかの部品のモデルをリバースエンジニアリングし、既存の設計を3Dプリンティングに最適化しました。

Studio システムを使用することで、従来の製造方法よりもはるかに速く、わずか数日で交換部品を製造することができ、Eaton社はより早く生産を復旧させることができました。また造形部品は、従来の製造方法で作られた部品よりも大幅に(場合によっては90%以上)安くなりました。

03 なぜDesktop Metal社なのか?

Eaton社では樹脂3Dプリンターを長年使用した経験がありましたが、昨年から生産現場をサポートできる金属3Dプリンターを探し始めました。

同社がStudio システムへの投資を選択した理由は、ツールやその他の部品を製造するためのコストとリードタイムを大幅に削減できるだけでなく、その使いやすさとオフィスに適した設計にあります。また、危険なレーザーを使用しないため、オペレーターは特別な保護具を必要としません。

顧客のニーズに迅速に対応し、パーツを繰り返し製造できるこのシステムは、今ではエンジニアリングチームと工具チームの両方で標準的なワークフローの一部となっており、世界中のオペレーションをサポートするために日々使用されております。

このシステムは非常に成功しており、Eaton社は現在、生産部品用のバインダージェット技術に投資するというアイデアを検討しています。

04 部品の製造と比較

Eaton社がこれまでに造形した部品は、グリップコンポーネント、試験用固定具、工具、交換部品の4つの大きなカテゴリに分類されます。リードタイムとコストの削減、複雑さの向上、内部構造の改善など、AMの利点の多くはどのカテゴリでも当てはまりますが、それぞれが3Dプリントの恩恵を受けています。

05 評価

Eaton社ではStudio システムは破壊的技術であり、コストを削減しながら顧客のニーズに迅速に対応し、新しい設計とオペレーションの改善を繰り返すことを可能にしています。

しかし、コスト削減やリードタイム短縮だけでなく、Studio システムの影響は世界中のEaton社の拠点で感じられています。

既に同社のインダストリー4.0 AM戦略の重要な一部となっているこのシステムは、Eaton社の3Dプリント能力のグローバルな拡大に貢献しています。

Eaton社のエンジニアや設計者にとって、その影響はさらに大きなものとなっています。

金属3Dプリントの新しい機能により、チームは部品を設計する際にこれまでとは違った考え方をするようになり、新しい設計の可能性が広がったことで、同社はより迅速に問題に対処し、より早く製品を発売できるようになりました。

シニアエンジニアのAlex Abernethy氏は次のように述べています。「AMを導入する前は失敗を恐れていました。AMを導入後は失敗してもすぐ起き上がり、問題をより早く修正することもできます。」

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