丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。
弊社丸紅情報システムズ株式会社が正規販売代理店となっております、3Dプリンターメーカーの「Stratasys(ストラタシス)」が主催する、講演や展示、懇親会による情報交流イベントで、昨日10月17日に東京で開催されました。
公式ホームページから、このイベントの紹介文を以下に引用します。
「本イベントでは、これからのモノづくりで最新のソリューションを使用し、活かしていただくために役立つストラタシスの最新ソリューションや製品情報や、設計、運用のポイントやコツなど、実際の現場、ビジネスシーンで取り入れていいただけるよう、国内外の有識者やユーザ様による事例を交えご紹介します。」
今回はStratasys製品ユーザーのお客様だけにご参加いただける特別イベントでした。本コラムをお読みいただいているみなさんの中にも、「参加した」「参加したかったけどできなかった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者も参加し、午後に講演をさせていただきましたが、今回のフォーラムどのようなものだったのか、概要をお伝えすることとします。
当日の朝は前日からの雨が止まず、またこの時期にしては肌寒い朝でしたが、にもかかわらず全国各地から約300名の方が参加されました。ご参加いただきました皆様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
朝9:30から懇親会が終わった20:15まで、長い時間のイベントでしたが、多くの方が最後まで残っていただき、あらためて日本の3Dプリンティングユーザーの皆様の情報収集の熱意や意欲はとても高く、世間では「3Dプリンターブームは去った」と言われますが、本当に利点を理解されている方々の「熱」は決して冷めていないことをヒシヒシと感じました。
午前中は大ホールにてStratasys本社からの講演が中心で、3Dプリンターの用途が試作→治工具・型製造→実用品製造へシフトしていき、Stratasysもそれをリードする製品材料開発を進めるとのことでした。
また、世界的にも日本が初めてとなるStratasysの開発中新技術、新製品の発表がありました。それは「ボクセルプリンティング」と呼ばれるもので、ここでは詳しく説明できませんが、「モノのカタチ」を表面形状だけでなく、小さな多数の立方体=ボクセルで定義し、ボクセル一つ一つに色やプリント材料を定義して、それをStratasys インクジェット方式カラープリンターJ750でプリントできるようにする、新しいソフトウエアと、専用ファイルフォーマットが開発されたとのことです。
その結果出来ることの一つとして、これまで表面色だけではできなかった、光の透過や、「点描画」を離れて見ることで見える「並置加法混色」を利用した立体物が出来るとのことです。
例えば写真のサンプルのようなものができます。
筆者も完全に理解できていませんが、見た目や力に対する変形を高い自由度で設計、3Dプリントできる可能性があり、少し先の未来が見えた気がしました。
今回とても期待と注目度が高かったのは、今年5月に発表された、これまでにない金属3Dプリンターメーカー「DesktopMetal(デスクトップメタル)」社の最高経営責任者(CEO)リック・フロプ 氏の講演とブースでのサンプル展示でした。
DesktopMetal社ホームページはこちら。
Stratasys社はじめ大手企業からを含む2億US$以上の資金提供を受け、試作・少量生産に適する材料押出方式によるStudioと、多量生産に適する粉末バインダーインクジェット方式のProductionの2機種があり、StudioはStratasys社代理店を通じ、北米ではStudioのテスト販売が始まっており、日本では2018年中ごろに発売を予定しているとのことです。
詳細は省きますが、実際にサンプルを見たり触ったりされた方からは、好評の声が多く聞かれました。
当然ながら長所短所はありますが、既存のプリンターではできない材料、形状、性質、コスト、スピードを実現できる可能性があり、今後も情報が入り次第、みなさまにもお伝えしていこうと思います。
筆者は個人的に3Dプリンティングの使い方は大きく2つに分けられると考えています。1つは「試作品を作る」、もう一つは「DDM(ダイレクトデジタルマニュファクチャリング、実用品・治工具製造)」で、それぞれ3Dプリントのための設計・3次元データの作り方や、プリンタ・材料の選び方に大きな違いがありますが、今回のユーザーの皆様による講演では、「試作」「DDM」どちらも高度に使いこなされ、大きな成果を出されていることがわかりました。
株式会社日置電機様のご講演では、Stratasys Fortus360mcと400mcを導入された経緯や、なぜそれを選び、どう使いこなしているかを詳しくご紹介いただきました。
電気系計測器の製品開発において、上のような試作品を3Dプリンターで作るようになったことで、「失敗できるときに失敗する」ことが出来、結果的に開発期間短縮、最終製品の品質向上を実現されたとのことです。その他特殊少量短納期製品の重要な部品の一つを3Dプリンターで生産したことで、受注につながったDDMの実例もご紹介いただきました。こちらの事例は弊社のユーザー事例としてもこちらからご覧いただくことができます。
筆者もStratasys FDM最新活用事例として講演をさせていただき、その中で前回コラムでご紹介した、神奈川大学 高野准教授にもご講演いただき、超小型衛星を打ち上げる小型ハイブリッドロケットの事例を通し、「3Dプリンターについて理解し、長所を生かし欠点を補う設計」がDDM成功のカギであることをお伝えしました。
「日本は3Dプリンティングの活用が欧米に比べ遅れている」とよく耳にし、否定はできませんが、3Dプリンティングに対する理解、活用の発想や3Dデータの作り方、コストダウンの工夫、いろいろな工法の組み合わせなどの点では決して遅れているとは言えないと、今回のフォーラム全体を通じて感じました。
講演会場の通路では、スポンサー各社やユーザーのサンプルが数多く展示されました。
弊社丸紅情報システムズ株式会社は、F370の実機や、造形サンプル、また長年3Dプリンターをご活用され、デザイン教育での活用や、近隣で盗難により失われた仏像のレプリカを3Dスキャナーと3Dプリンターで制作、提供する社会貢献もされている、和歌山県立和歌山工業高等学校様のサンプルも展示しました。
その他参加された方の注目を集めていたのは、ご講演もされた株式会社 エポック社シルバニア本部 シルバニア商品部様の、J750によるカラフルで実商品に近い試作品の数々、
同じくご講演された多摩美術大学様の芸術作品
など、とてもご紹介しきれない、盛りだくさんの展示がありました。
懇親会ではバイキングでのお食事もしていただきながら、参加された方同士がにぎやかに交流され、多くの賞品が当たるくじ引き大会もあり、とても盛り上がり、楽しい会となりました。
Stratasysの皆さんからも、「このようなイベントは日本でも他になく、お客様によってもStratasysにとっても大変有意義で重要なイベントである」とのことでしたので、来年も続けて開催されることを筆者も規定しております。今回参加された方、されなかった方も、ぜひ次回参加されることをお待ちしております!
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