表面活性化接合(SAB:Surface Activated Bonding)

ボンドテックは、半導体の3次元積層化技術でキーポイントとなる「表面活性化による常温接合プロセス」の第一人者、東京大学の須賀唯知教授の指導のもと、量産への移行を実現する低真空化や大気中での常圧接合を可能とする技術に注力し開発してきました。また、150℃程度の加熱や加圧を併用することで大気中での接合も実現しております。これらは接合材料により最適な表面活性化方法を使い分けております。従来の原子ビームによる方法を応用し、特異な処理をすることで真空度を超高真空から低下させ、化合物半導体など異種材料の接合を実現しました。金(Au)や銅(Cu)においては低真空プラズマでのアルゴン(Ar)エッチング処理により、Siやガラスであればプラズマ親水化処理により大気中での接合を可能にします。さらに、従来の静電力を伴う陽極接合をプラズマ表面活性化と兼用することで、ボイドレスな低温接合を達成しました。

常温接合プロセス

表面活性化技術を利用することで異種材料同士を常温で直接接合することが可能となります。これまでのエピタキシャル成長でなく異種材料を直接貼り合わせることにより新たな特性を持つ材料を創造できる可能性があります。

Arボンバーメントによる超高速真空中での常温接合

本方式は従来から研究されてきている常温接合です。超高真空中でのArイオンやAr原子のボンバードメントにより、接合表面の酸化膜や付着物(コンタミ)を除去し、表面原子の結合手であるダングリングボンドを露出した状態を作ります。これを両接合面に施した後、超高真空中で接合面同士を接触させ、ダングリングボンド同士での原子レベルでの接合を得る方法で、通常は接合できない化合物半導体など異種材料間での常温接合を達成します。ただし、再付着分子を抑えるために、10-10乗torrという超高真空が要求され量産への移行の妨げとなっていました。ボンドテックではこの超高真空中での処理においても特異な処理を行うことで真空レベルの低下を達成し、かつ大面積においても均一な表面活性化処理を可能としました。

Siナノ接着層による酸化物接合

半導体で使われる材料である酸化膜や窒化膜などのイオン結晶性の材料は、一般的な常温接合手法では接合することができません。これらの材料の場合、後述する親水化処理により接合可能となりますが、活性化処理の間に中間層としてSiスパッタする方式でも実現することができます。本方式においては1層に満たない程度のSi原子を界面に介在させることでイオン結晶性の材料の接合を可能としました。また、いかなる材料へも適用することができるため、対象となるアプリケーションが広がっています。

低温・低温化プロセス

常温にこだわらず150~200℃程度の低温加熱を許容することで接合可能分野が広がります。現在使用されているプロセスにおいても表面を活性化することで、低温・短時間接合をもたらし、アライメント精度やスループットの向上、酸化膜の介在しない理想的な接合界面を得ることができるようになります。本方式は3次元実装やMEMSの分野において、現状プロセスの改良として利用されています。

固相拡散接合

ハンダ接合は酸化膜があるために、融点よりも高温にして酸化膜を含めて拡散させ、また、加圧力で酸化膜を押し破りながら接合する必要があります。表面活性化により酸化膜を除去し、融点での理想的なハンダ溶融をさせることで、低温かつ短時間で拡散し接合が可能となります。また、固相での仮接合が可能となるため、仮接合と本接合を分けることやアニールによる固相拡散を使うことで量産性を向上させることができます。

Arプラズマによる大気中での金属電極低温接合

接合面の材料を酸化や付着がしにくいAuやCuに限定することで、低真空(10-2torr)で処理するプラズマ装置で扱うことができ、かつ、1時間以内であれば大気中でも接合可能な方法です。大気中接合など再吸着物がある状態での接合になりますが、ある程度の加圧と加熱により接合を実現します。本方式は量産適応できるプロセスとして確立されております。

プラズマ親水化接合

Siやガラスを大気接合する方式で、プラズマ処理により界面にOH基を付着させ、低温アニーリングすることで強固に接合させていきます。しかし、一般的なRIEプラズマを使用した親水化処理では十分なOH基の生成ができないため、接合強度を確保するため、水が介在した大気中での接合が必要となります。
ボンドテックでは、シーケンシャルプラズマと呼ばれるRIE処理の後にラジカル処理を施す方法によりOH基を増やすことを実現しました。これにより真空中での接合を可能にし、ボイドの問題改善、アライメント精度を向上することができます。また、独自の手法として、SABを適用し、Arビーム処理と同時にSi粒子ビームを照射することで接合界面のOH基の量を増やすことで真空中でも接合強度を確保することができます。

接合強度 バルク破壊

プラズマ陽極接合

MEMSの封止に使われる陽極接合(アルカリガラスとSiを400度程度の加熱のもと1000V程度の電圧を印加することでガラス中のアルカリを酸素とナトリウムに分離して界面で酸素とSiの接合する技術)に表面活性化を前処理として併用することで、低温、ボイドレス、低アウトガスの接合を達成します。陽極接合で必要であったアルカリの分解は低減するため、結果として、酸素によるアウトガスが激減し、真空度を保つためのゲッター材が不要になるという相乗効果が生まれます。

装置技術

高精度アライメント

ボンドテックは真空チャンバー内で低温脱ガス後、接合直前に近接させて高精度アライメントする技術を有しております。従来のフォトリソでは平面方向の位置合わせだけであるため、接触時に位置ずれを起こします。接合後の精度を達成するには平面方向だけでなく、6軸方向の位置合わせを行う必要があります。ボンドテックは、真空チャンバー内で適用できコンパクトで摺動部をもたない特殊ピエゾアクチュエータで構成されたアライメント機構を開発しました。独自のアライメント機構は接合後において±0.2μm以内の高精度の位置合わせを実現します。

テクノロジー Arボンバーメントによる超高速真空中での常温接合 Siナノ接着層による酸化物接合 固相拡散接合 Arプラズマによる大気中での金属電極低温接合 プラズマ親水化接合 プラズマ陽極接合 高精度アライメント
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