製造ソリューション事業本部

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関西での展示会に見た製造企業の「変化」とは?掲載日:2020/10/15

これまでもお伝えしたように国内外で3Dプリンティングについての様々なオンラインイベントが活発に開かれ続けています。それらを通じて、3Dプリンティングを知る、またはどう使うかを考えるのに様々な「視点」があることにあらためて気づかされました。それはどのようなことかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

久しぶりの大阪と展示会

前回のコラムでもお知らせしたとおり、2020年10月07日(水) ~ 09日(金)にインテックス大阪で「関西ものづくりワールド(設計・製造ソリューション展 次世代3Dプリンタ展 他含む)」が開催され、弊社丸紅情報システムズ株式会社は設計・製造ソリューション展で3Dスキャナ(GOM社)、3Dプリンター(Stratasys社)、金属3Dプリンター(Desktop Metal社)などを展示し、筆者も3日間参加してきました。

この3日間は台風が近づく予報で雨風が強かった時間もあり、またコロナ感染拡大防止の観点から出展を取りやめられたブースもいくつかあり、来場者も少ないのではと心配しましたが、台風も気を使ったのか南に逸れ、予想よりは多くの方が来場されました。ブースにお越しいただきお会いできた皆様、ありがとうございました。

次世代3Dプリンタ展の方もコロナ前とまではいきませんが、他のゾーンと比べればにぎわっていたと思います。もちろん名古屋の展示会と同じく感染防止策がとられてはいたとはいえリスクはあり、かつコロナの終息が見えず、既に、また更にこれから世界的な経済悪化が確実に起こるとされる中でも出展、来場された方々は「これからこうしたい」とか「今だからこそ」という意欲や挑戦課題を持った方が多かったように思いますし、中身は濃い展示会だったように感じました。

製造企業の自動化、DX、共創への流れの変化

今回の展示会全体、また実際にものづくりをされている企業の方々の講演から感じた製造企業全体の「変化」は、以前からも「今後普及拡大する」と言われていたIT(情報技術)による自動化、自働化、仮想化(デジタルツイン含む)、プロセスチェーン最適化、DX(デジタルトランスフォーメーション)、AI(人口知能)によるヒトの支援などが、コロナにより直面した様々な課題の解決方法としても「使うか使わないかの議論でなく、どのように使うかの議論の段階になった」(AIについての講演者のお話にもありました)ということでした。これは3Dプリンティングの世界も同じで、ブーム以降なかなか進まなかった「どのように使うかの議論の段階」へ移ってきたと思います。一方、その段階を一歩先に想定して「リスクや苦労もありながら使ってきた」企業はその「先行者利益」を得はじめていることも感じた「変化」でした。

またこれまでなかなか内情まで広く公にされなかったものづくりの大企業の、それもトップレベルの方々が、このようなデジタルによる変革をどのように考え、実は何年も前から実践に取り組み、でも皆さん同じように苦労されつつ効果は出始め、今も現在進行形で進められていることを講演で伺うことが出来ることも変化でした。そうなってきたのは「自前主義から共創への変化」という言葉も聞かれたように流れの変化もあるのではと考えています。中小企業の方々からも「CAD含めたデジタルツールの早期導入、活用検討を上層部から指示された」という声も聞かれましたし、これらの変化はこれからも広がっていくと思われます。

一方で、何でもデジタルで、バーチャルでという流れも実際は違うということも、弊社ブースでも関西で初めて展示したフルカラープリンターStratasys J55やFDM製FDM実用治工具のサンプル、金属プリンターのサンプルを実際に見て「これが出来るなら現物を使った評価や作業教育実習に使えそうだ」という声が聞かれ、現物と仮想の併用が当面の現実解だとあらためて感じました。

また自動化/自働化のためロボット、搬送装置のゾーンでは展示ブースも多く、そちらも混雑していましたが、3Dプリンティングをかなり前から使っていたことで先行者利益を得ている企業の展示例として、株式会社立花エレテック様では、搬送ロボットのグリッパーユニットや固定治具の部品をFDMによる樹脂化だけではなく、社内設計技術者がコンピュータによる形状最適化設計を使い、機能と軽量化の両立を図った提案をされていました。下の写真の青い部品がそれらです。

 

 

 

 

 

 

このようなことも、設計ソフトウエアや3Dプリンターを買ってくればすぐにできることではなく、まずは人の教育から工法や材料の特性、設計ノウハウの研究習得に早くから取り組まれていたから出来たことだと思います。

 

オンラインイベントのお知らせ

実際の展示会も徐々に行われるようになった一方で、特に人どうしのつながりを作る場として、オンラインでのネットワーキングイベントは有効ですし、これからも残っていくと思っています。その一つとして、このコラムでも度々ご案内してきました「AMオンラインカンファレンス」の5回目が開催されます。今回はこれまでなかった医療分野に関する講演もあり、その一つとして弊社丸紅情報システムズ株式会社で医療関係のお客様や、医療向け3Dプリントサービスの案件を主に担当している技術員 平野から、実はあまり知られていない、CTデータから3Dプリントのためのデータの作り方などをお話しする予定です。筆者も引き続き進行とパネルディスカッションをお手伝いします。これまで参加された方、初めての方も是非ご参加ください。

第5回:3Dプリンティング/積層造形・オンラインカンファレンス(JAMM#5)

2020年10月30日(金)午後2時~6時(開始前ネットワーキングは午後1時30分から)

プログラム、参加(無料)申し込みはこちらをご覧ください。

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