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ITインフラ

date_range2020年1月21日

次世代技術「コンポーザブルインフラ」のメリットを享受して俊敏性が求められるワークロードをタイムリーに処理する

ストレージソリューション営業部 浦川 隆弘
企業が扱うデータは爆発的に増え続けています。このビッグデータ時代には、自由なリソース活用を可能にする柔軟性と、ビジネスを止めない強靭性を兼ね備えたインフラが欠かせません。そこで、次世代技術として注目される「コンポーザブルインフラストラクチャ」の仕組みとメリットを、ストレージソリューション営業部 コンサルタントの浦川隆弘が解説します。

既存技術ではビッグデータ対応に“黄色信号”

ITインフラの柔軟性を高め、「リソース効率の最適化」と「ビジネス要求に即応できる俊敏性」を両立させる――。デジタルデータが爆発的に増大する昨今、これは企業のIT部門に課せられた重要な命題でしょう。

実現手段の1つとして、パブリッククラウドの利用が広がっていますが、社内のインフラをすべてクラウド化できるわけではありません。外部に出すことが難しい重要情報などもあるからです。また、処理するデータが大量になると、想定以上にコストが膨らんでしまいます。帯域を確保するためのネットワーク帯域の増強が必要になるケースもあるでしょう。

「オンプレミスでもリソースの柔軟性、俊敏性を確保したい」という要望から、広く利用されているのが仮想化技術です。サーバーやストレージなどのインフラを、制御用ソフトウェアであるハイパーバイザーで仮想化することで、1台の物理サーバー上で複数のマシンを稼働させ、より柔軟なリソース活用が可能になります。このサーバー仮想化技術により、現在世の中に存在する大半のアプリケーションのワークロードが、限られた物理リソース上で効率的に動作します。

しかしながら、昨今のデジタル技術の進展により、大量の物理リソースを必要とするデータ集約型アプリケーションの活用が進んでいます。具体的には、数台から数十台の物理サーバーにワークロードを分散させるデータ集約型アプリケーションが普及期に入ってきました。

サーバー仮想化では1台の物理リソースを共有して利用できますが、複数台以上の物理リソースを消費するアプリケーションにおいては、サーバー仮想化技術の恩恵を受けられません。そのため、これらのデータ集約型アプリケーションを利用する場合のITインフラは、ディスク内蔵型の物理サーバーを利用するケースが大半です。

データ集約型の膨大なジョブに対して複数の物理サーバーを活用し、アプリケーションの機能によって並列処理する構成です。ただし、要求される計算能力やストレージ性能はワークロードによって異なります。仮にストレージだけ強化したくても、物理サーバーを追加するときには計算リソースも同時に購入することになります。コストが膨らむ上、余剰リソースを抱え込むことになりますし、クラスタの構成変更には物理的な作業が必要になり、数週間かかることもあります。

仮想化とは異なるアーキテクチャでリソースをプール化

こうした課題を解決する次世代技術として注目されているのが、「コンポーザブルインフラストラクチャ」です。コンピューティングとストレージ、ネットワークのリソースをそれぞれ分離した上で、論理的にプール化します。多様なワークロードに最適なリソースを自由に切り出して構成するソリューションです。HPE社、Dell EMC社、DriveScale社、Liqid社などが先行して製品化しており、北米や中国などを中心にコンポーザブルインフラ市場が広がりを見せています。

当社はこの次世代技術、コンポーザブルインフラストラクチャのグローバル・リーダーである米DriveScale社と提携し、同社の製品「DriveScale」を提供しています。「あらゆるリソースを論理的にプール化し、柔軟な利用が可能になる」。言葉で表現すると仮想化技術に似ていますが、その仕組みはまったく異なります。

Code DriveScaleのソリューションでは、まず一体となっているサーバークラスタを、内蔵ドライブを持たない物理サーバーで構成されるCPUリソースプールと、外部ストレージアレイで構成されるストレージリソースプールに分離します(Disaggregate)。ここから、アプリケーションの要件に合わせて、自由にサーバーリソースとストレージリソースを組み合わせ、論理的なサーバーを構成するわけです。

仮想化技術との一番の違いはハイパーバイザーを介さないこと。DriveScaleは、統合管理ツールが各ノードに組み込んだエージェントからの情報を基に、リソースの論理的なプール化を実現しています。ハイパーバイザーを介さないため、オーバーヘッドが少ないのが特徴です。

統合管理ツールと各ノードのエージェント間は独自のプロトコルで通信し、ワークロードには影響しません。ベアメタルの性能をフルに引き出せるため、大量のワークロードを必要とするデータ集約型のアプリケーションや、大規模データベースの利用環境で特に効果を発揮します。

PoCでは“ストレージコスト75%削減”に成功

コンポーザブルインフラストラクチャは、ビジネス部門にもIT部門にも様々なメリットをもたらします。例えば、ワークロードが増大し多くのリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)が必要となった場合でも、統合管理ツールから迅速にリソースの追加が可能です。

しかも、サーバーを止めずに構成変更して、ワークロードの変化にすばやく対応できます。サーバーがダウンした場合も、ブートデバイスを新しいサーバーに移せるため、障害復旧も迅速です。パブリッククラウドと同等の俊敏性を持ったデータセンターの運用が可能になり、ビジネスを止めない高い信頼性、安定性を実現できます。

今説明した構成変更やリソースの追加は、すべて統合管理ツールから行えます。構成変更やリソースの追加のために、わざわざデータセンターに足を運んで作業する必要はありません。リソースの監視機能を活用することで、より予測的なキャパシティプランニングも可能になります。

しかも、サーバーを止めずに構成変更して、ワークロードの変化にすばやく対応できます。サーバーがダウンした場合も、ブートデバイスを新しいサーバーに移せるため、障害復旧も迅速です。パブリッククラウドと同等の俊敏性を持ったデータセンターの運用が可能になり、ビジネスを止めない高い信頼性、安定性を実現できます。

また、既存インフラでは物理的なノードの追加による再構成に数週間かかることもありますが、DriveScaleは数分の作業で完了です。インフラの運用管理を大幅に効率化し、運用コストを削減します。

リソース利用率を大幅に高め、オーバープロビジョニングも回避できるため、インフラの投資も最適化されるでしょう。当社が実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)ではストレージコストを75%削減することに成功しています。業界標準サーバーとストレージであれば、既存のものを継承できるのも大きなメリット。投資の保護にも有効です。

高い技術力とノウハウを活かし最適なソリューションを提供

DriveScaleの提供にあたっては、マクニカ社、Dell EMC社とアライアンスを組み、互いの強みを活かしてソリューション展開を進めています。具体的にはDriveScaleとDell EMC社のサーバーおよびストレージを組み合わせたリファレンスアーキテクチャをベースに、当社がシステム構築を、マクニカ社が主に保守サポートを提供します。

当社は長年にわたり、サーバー、ストレージを含むIT環境全体のシステム構築を数多く手掛けています。その中で培った技術とノウハウは大きな強みです。この強みを活かし、DriveScaleの価値を最大限に引き出す次世代インフラの設計・構築をトータルにサポートします。

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