製造ソリューション事業本部

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展示会で見つけるのはタマゴか、ニワトリか?掲載日:2022/06/21

2022年6月22日(水)~24日(金)に東京で「次世代3Ⅾプリンタ展」が開催されます。弊社含め3Dプリンターの最新機種、材料、サンプルが多数展示紹介されますが、そこで見つけるのは「タマゴ」「ニワトリ」のどちらなのか、それはどういう意味なのかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

製造サプライチェーンの課題と改善解決

北海道を除く全国で梅雨入りし、東京でも暑い日と寒い日が入り混じる日が多くなって体調を崩しやすい時期でもありますが、朝夕や晴れ間では日差しの割に風は涼しく、外の方が気持ちの良いこともあり、服で調節しながらこの時期を楽しみたいと思っています。

さて、先日より第39回新産業技術促進検討会「シームレスなデータ連携による製造業のサプライチェーン強靱化への貢献」という動画配信イベントがあり(6月30日までの限定公開)、その中で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の方のご講演「サプライチェーンの迅速かつ柔軟な組換えに資するデジタル技術の開発支援事業のご紹介」があり、以下の要点が示されました。

・日本の製造企業の高度に発達したサプライチェーンは、コストや効率の面では優れるが、不測の事態や予測の難しい変化に弱く、チェーンの寸断リスクに対応できる企業変革力(ダイナミックケイパビリティ)の強化が重要な経営課題

・その解決のための2つの課題は「自社内の製造工程間での一貫したデジタルデータ連携」「企業間での安全なデータ共有が出来るデジタル技術」

その課題解決に役立つ様々なITツールやサービスが国内企業で既に開発提供されていて、確かにそれらの活用は大事ですが、「そもそもサプライチェーンそのものを単純に、柔軟にできれば解決するのでは?」という考え方もあるのではないでしょうか。特に海外企業ではそのために3Dプリンティングを活用するという考え方、または実例が多くあるように思います。

もちろんこれまで作り上げたサプライチェーンを全部、または大幅に単純化することは実際できないですし、良いとも限りませんが、「サブ的」「補助的」に単純簡素なサプライチェーンを試しておく、作っておく企業は、何もしない企業より「強い企業」になるのではないでしょうか。

3Dプリンティングをサプライチェーンに組み込むと単純になることを、樹脂部品の製造を例に考えてみます。まず射出成形の場合は射出成形機と金型と樹脂材料が必要で、射出成形機は社内で外注先でも、置ける場所、動かせる人は限られていて、もし使っていた成形機が使えなくなると、全く同じ成形機をすぐに探すのは大変で、金型の移動、成形条件の再設定も含めると時間も工数もかかります。一方金型もご存じの通り多数の部品で構成されていて、例えばイジェクタピン1本足りなければ動かすことは出来ず、それらの部品表、購買、在庫、加工含めチェーンと管理は複雑です。

3Dプリンティングでは購買資材の数や管理も比較的少なく単純で、また生産管理でも、急な数量変更や生産順序の組み換えなども速く簡単に出来ます。例えばあるプリンターが使えなくなっても、同種同材料のプリンターを持つプリントサービスは近くでも、海外でも比較的簡単に探せることが多く、形状も成形条件もデジタルデータで容易に、速く、確実に伝えることができます。もちろんそれには安全なデータ機密管理技術が前提にはなりますが、ブロックチェーンや暗号化の技術も進んできています。

このように「どのサプライチェーンを単純柔軟にしてどのような利益を得るか」が先にあり、その方法として「どの部品をどの3Dプリンターで、どこで、誰が、どうやって作るか」を考えるのと、「どの3Dプリンターでどの部品が作れるか」が先にあり、「それでどうやって今のサプライチェーンに組み込むか」を考えるのは、「ニワトリが先かタマゴが先か」の例えに近く、どちらが絶対に良いとは言えませんが、3Dプリンターの選び方、使い方、得られる利益に違いがありそうです。

3Dプリンティングのタマゴとニワトリ

3Dプリンティングの仕事をしていますと、「ニワトリが先かタマゴが先か?」の議論によく出会います。例えば、「3Dプリンティングを使うには3Dデータと最適設計が必要」に対し「3Dデータと最適設計を活用するには3Dプリンティングが必要」や、「3Dプリンターの性能やコスパが良くなれば使い道や使う人が増える」に対し「良い使い道と使う人が増えればれば3Dプリンターの性能やコスパも良くなっていく」などなど。どの場合もどちらが正解とは言えないけれども、どちらかを先に起こさないとタマゴもニワトリも生まれないということは共通していると思います。

先回のコラムでもお伝えしたとおり、2022年6月22日(水)~24日(金)に東京で「次世代3Ⅾプリンタ展」が開催されます。弊社含め3Dプリンターの最新機種、材料、サンプルが多数展示紹介されますが、3Dプリンターや材料を、これから何かが生まれ、どうなっていくかはわからない「タマゴ」に例え、どのような利益をどうやって得るかの使い道を「ニワトリ」に例えるとすると、展示会を見に来られる方は往々にして「良さそうなタマゴ」を見つけるべく、タマゴの情報をたくさん集めて持ち帰られることが多いように思います。しかし特に最近の3Dプリンターは種類も材料も価格帯も多種多様になり、集めて比較分析するだけでも大変ですし、多くの情報はネットでも得られるので、筆者としては展示会では敢えて「ニワトリ」を探したり見つけたりするのをメインにされることをお勧めしたいと思います。「ニワトリ」は単に他社の事例やサンプルではなく、それぞれ異なる、企業や人「自身」の使い道や利益であり、また対話から自分の中で見つけられることが多く、それは対面展示会が良い場であるからです。

「ニワトリ」が先にあり、3Dプリンターを選び導入された例の動画を一つご紹介します。アメリカのオイルガス用掘削機械メーカーであるPGV Industries社は、多種多数の金属部品切削製造・購買の複雑なサプライチェーンにより、例えば古い機械の補修交換部品の製造に長い工期や工数がかかっている課題解決のため、Desktop Metal社のバインダージェッティング金属3Dプリンター「Shopシステム」を選定導入されました。(英語音声)

Shopシステムプリンター日本初実機展示も!

Desktop Metal Shopシステムは下の写真の通り、金属粉末バインダージェッティング方式の3Dプリンターと、製造工程に必要な装置一式すべてがパッケージになった製品です。

繰り返しかつ開催直前のお知らせにはなりますが、「次世代3Ⅾプリンタ展(通称 AM Japan)」が下記の通り開催される予定で、弊社丸紅情報システムズ株式会社も出展し、弊社が購入する日本で最初のShopシステムの輸入が展示会に間に合い、そのプリンターのみを初めて展示し、実際にご覧いただけることになりました。

その他Stratasys DLP方式 3Dプリンター「Origin One」、 FDM方式大型3Dプリンター「Stratasys F770」の実機やサンプルの展示も多数ありますので、ぜひ多くの方が「ニワトリ」を見つけにご来場されることをお待ちしています。

開催日時:2022年6月22日(水)~24日(金)10:00-18:00(24日は17:00まで)
開場:東京ビッグサイト ブース番号:8-6
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