製造ソリューション事業本部

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3Dプリンティングを「仕掛学」で考えると?掲載日:2022/10/19

久しぶりの大阪での展示会では予想以上の来場者がありましたが、多くの方が「情報収集」から「実際に動いて、使う」への谷を乗り越えるのに、足りない何かは変わらず課題だと感じました。そこで先日新聞記事で「仕掛学」の記事を読み、その視点で3Dプリンティングを考えてみると…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

関西 設計・製造ソリューション展に参加してきました

全国的に急に気温が低い日が多くなり、着るモノの調整に困っているのは筆者だけではないかと思います。春もそうですが、過ごしやすく何をするにも良い「日本の秋」が短くなってしまったり、丸々と大きな秋刀魚がなかなか安く買えないのはとても残念ですが、仕方がないことなのでその日その日に合わせて楽しんでいくのが良いかと思います。

さて、前回のコラムでお伝えしましたが、「関西 設計・製造ソリューション展」が2022年10月5日~7日 インテックス大阪にて開催され、筆者も参加してきました。

丸紅情報システムズ株式会社ブースでは、Stratasys社 新カーボンファイバー材料対応 3Dプリンター F190CRを初めて展示しました(写真右)。実用部品、治工具に適した、剛性、強度、靭性のバランスがとれた材料ABS-CF10やNylon-CF10が使えるFDMプリンターです。隣にはこれも発売を始めた UltiMaker社 デスクトップ3DプリンターUltimaker S5も展示しました(写真左)。
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Stratasys社 光造形DLP方式3Dプリンター OriginOneは、その特長のひとつである、小部品を1回のプリントで一括同時生産できる例として、分岐パイプ部品をプリントエリアいっぱいに配置したプリントの実演を行いました。
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Desktop Metal Studioシステムもプリンター実機とサンプルを展示し、やはり金属3Dプリンターに関心を持たれている方が多いことを再認識しました。
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また今回計測エリアでAR技術を活用した革新的な目視品質検査ツール SuPARを実際に体験頂ける展示をし、多くの方が体験され、いろいろな使い方のアイデアをその場で思いつかれていたようでした。
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主催者からの情報で、展示会全体で昨年の1.7万人から、1万人、160%増の2.7万人の来場があったそうです。久しぶりの西日本での3Dプリンティング展示会だったこともあると思いますが、「次世代3Dプリンタ展」エリアは天気の悪さに関わらず、大変多くの方で混みあっていた印象でした。一方で、お話を伺うと「具体的な課題、新しい取り組みは無いけれども、情報は集めている」という方が変わらず多かったようにも思います。日本の製造業全体が原料、輸送やエネルギーコストの高騰もあり、積極投資がますます難しい状況だとは思いますが、だからこそデジタル活用が難局を乗り越えるのに有効で、展示会出展ブースを見てもそのためのツールは増え、自社や仕事に合ったモノを選ぶ選択肢は増えているのに、「情報収集」から「実際に動いて、使う」への谷を乗り越える足りない何かは、変わらない課題だと感じました。


3Dプリンティングを「仕掛学」で考えると?

話題は変わりますが、先日新聞記事で「仕掛学」の記事を読みました。大阪大学 松村真宏教授が提唱された学問とのことですが、例えばゴミをゴミ箱に捨ててもらうために、「ゴミはゴミ箱に捨てましょう」という看板で伝えるのと違い、ゴミ箱の上にバスケットゴールボードを付けただけで置いてみるとゴミ箱にゴミを捨てる人が増えたという実験例があり、人が「ついしたくなる」ように仕向けることで問題や課題を解決する「仕掛け」の学問とのことです。イソップ寓話の「北風と太陽」に近いとも思いましたが、それよりも人の「楽しいと動く」心理をあからさまではなく、「つい」という意識しない動きとして引き出すところが「仕掛け」の特徴かと思いました。

3Dプリンティングに当てはめて考えてみますと、販売する側は「これまで出来なかった形状や材料で速く安く出来る」とか、日本で3Dプリンティングが海外先進地域に比べ普及成長が遅い統計などから「このまま使わないと遅れてしまう」とか、実利や危機感で3Dプリンターの説明をすることが良くあり、これは間違えてはいないのですが、それがなかなか「実際に動いて、使う」に繋がっていないのも事実かと思います。

一方海外先進地域で見られるのは、3Dプリンティングを含めたデジタルモノづくり、またはそれで出来たものが「クール(かっこいい)」とか、「スマート(合理的で無駄がない)」で「つい」見てしまう、やってみようと思う「仕掛け的」な発信をし、受け取り側も共感して、実際に使い、またそれを同じように発信することが多くみられると思います。最近拝見した国内のパネルディスカッションでもそれと似た話題が聞かれ、海外と日本、また世代間でそのような発信と共感に賛否の違いはあると思いますが、日本でも「仕掛け的」な発信が必要で、それにより「実際に動いて、使う」人を後押しすることも、市場成長や企業内での活用促進の課題解決の一案ではと考えています。エンジニアとしてはどうなの?な考えで、3Dプリンターも「つい」買うべきものではありませんが、3Dプリンティングには、実利とは別に「仕掛け的」な「まずやってみよう」と思える何かがあり、それで新しいコトが動いていくという性質があるのではないでしょうか。みなさんはどうお考えでしょうか?


「名古屋オートモーティブワールド」に出展します

弊社丸紅情報システムズは、「名古屋オートモーティブワールド自動車部品&加工EXPO」に出展します。

開催日時:2022年10月26日(水) ~ 2022年10月28日(金)
10:00 ~ 17:00
会場:ポートメッセなごや 新第1展示館
ブース番号 4-39

筆者は27,28の2日間ブースにいる予定です。

今回展示する主な製品は以下の通りです。
Stratasys社 新カーボンファイバー材料対応 3Dプリンター F190CR
Stratasys社 光造形DLP方式3Dプリンター OriginOne
UltiMaker社 デスクトップ3DプリンターUltimaker S5
Desktop Metal社 金属3DプリンターShopSystem 造形サンプル
ZEISS社 高精度・コンパクト 3Dスキャナ GOM Scan1

みなさんのご来場をお待ちしています

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