Infinite Ideas(ユーザ事例)

限りないアイデアで、新しいビジネスの価値を創造。あらゆる問題に対して、アイデアを柔軟に変化させて答えを導き出す
MSYS(丸紅情報システムズ)

アリスタライフサイエン 導入事例

アリスタライフサイエン写真

果樹園や野菜畑で農作業を手伝う昆虫がいる。
吸汁性害虫であるハダニを食べるカブリダニや、
人手の代わりに受粉活動を行うマルハナバチなど多種多彩だ。
彼らは農薬や農業資材の商品として販売されている。
おいしいトマトやイチゴなどの栽培を手伝う小さな虫たち。
自然の営みの中に人間の暮らしもあることを生物農薬は思い出させてくれる。
生物農薬の日本市場をリードしているのは
アリスタライフサイエンスの日本営業本部だ。
品質管理、在庫管理が難しい生物農薬をどう事業展開していくのか。
卓越したマーケティング力とITを駆使する日本営業本部の企業戦略に迫った。


SAP/R3テンプレート「M-ONE TRADE」について

丸紅情報システムズが商社ビジネスで培った経験とノウハウを活用し開発した、商社、卸売業、製造業務(国際業務・販売部門)向け統合ソリューションテンプレート。受発注から入出庫・在庫・仕入売上計上・請求・入金、さらには経営情報にいたるまで、お客様の基幹業務をシームレスにサポート。また、SAPビジネス・インフォメーション・ウェアハウス(SAP BW)では、多次元分析により経営指標に役立つ様々なレポート作成にも迅速に対応。SAP社認定サービスパートナーとして「M-ONE TRADE」導入に際し、コンサルテーションから保守、運用まで一貫した体制でサービスを提供いたします。

健康や環境への配慮から注目が高まる生物農薬

健康や環境への配慮から注目が高まる生物農薬おいしい野菜や果物はそれだけでご馳走だ。人間だけでなく昆虫にとっても同じことがいえる。たとえば、人間が大好きな果物ランキングの常連といえばイチゴだが、ある種のダニやアブラムシにとっても好物だ。さらに、その害虫であるダニやアブラムシを好んで食べる昆虫がいるという。自然界とは興味深い。
栃木、福岡、愛知といったイチゴの産地をはじめ、果物や野菜などの様々な作物の栽培地では現在、害虫を天敵昆虫で防除する生物農薬の利用が進んでいる。もちろん、減農薬をめざしての取り組みだ。日本政府も生物農薬、化学農薬、物理的防除などを上手く組み合わせて病害虫を防除するIPM(Integrated Pest Management : 総合的病害虫管理)を推進している。IPMは経済性を考慮しつつ、食の安全性や環境負荷軽減の観点を重視し、消費者に支持される食品の供給を目指すものだ。
その中で、生物農薬の日本市場をリードしているのが、世界規模で農薬事業を展開するアリスタライフサイエンスの日本営業本部である。
生物農薬とはどのようなものなのだろう。目の前に100mlのポリエチレン瓶がある。同社日本営業本部長の上坂清保氏は、その瓶を手にとり、「これは農薬ですが、化学物質は一切使用されていません。中身は生きた天敵昆虫そのものです。イチゴを例にあげると、害虫であるハダニを食べる天敵にチリカブリダニというダニがいます。これを100mlだと約2,000頭入れて、天敵殺虫剤スパイデックスという商品にしています」と話す。
誤って蓋を開けてしまったら・・・、という質問に、同本部営業部長の田中俊文氏は笑顔で説明する。「天敵昆虫は害虫にしか関心がなく、環境、作物、人畜には一切害はありません。使い方も簡単で、害虫が集まりそうな場所に天敵を振りかけていくだけです。化学農薬を散布するのに比べたら非常に楽だと思います」。
生物農薬のラインナップには、ハダニ類を捕食するミヤコカブリダニ、アブラムシに寄生するアブラバチ、ナスなどの害虫アザミウマを食べるカメムシなどがあり、ほかにも微生物殺虫剤、天敵線虫殺虫剤など多種多彩だ。


PAGE TOP
生物を活用した農薬や資材は在庫管理が困難

生物を活用した農薬や資材は在庫管理が困難

生物農薬以外でも農業資材として活躍する昆虫もいる。イチゴ、トマト、ナス、キュウリなどの受粉を手伝うマルハナバチだ。外来種のセイヨウオオマルハナバチのナチュポールと、在来種のクロマルハナバチのナチュポールブラックの二種類を商品化している。大きく蜂のイラストが書いてある巣箱の中に女王蜂と働き蜂が入った状態で農家に届く。巣箱の外観はまるで玩具入れのようでもある。その巣箱をハウスの中の涼しい場所に設置し、早朝に巣門を開放すれば働き蜂が受粉活動を開始する。
生態系を守るために、マルハナバチを利用する際にはネットを張ることが必要となる。その一方で、人工受粉に要する手間暇から解放されるメリットは大きい。「一度、マルハナバチを使うと、もう人工受粉には戻れないという話はよく聞きます。また、人工受粉で育ったトマトは種ができないため、ゼリー質が充実しないことが多いのですが、マルハナバチが受粉して育ったトマトは種ができ、酸味と甘みをたっぷりと蓄えた実ができます」と、同本部東海・北陸・甲信越地域営業マネージャーの阿部智征氏は語る。
同社日本営業本部が販売する生物農薬や農業資材のマルハナバチは、すべてオランダで商品化が行われ、生きたまま日本へと空輸される。生物を使った農薬や農業資材は品質と在庫の管理が難しく、ノウハウの蓄積が品質と供給の安定化につながる。その足跡をたどると15年前までさかのぼる。当時はまだアリスタライフサイエンスという企業は存在していなかった。


PAGE TOP
国内生物農薬市場のフロンティア的存在へ

国内生物農薬市場のフロンティア的存在へ

グローバルに活躍するアリスタライフサイエンスだが、その出発点は日本だ。事業分野は、農薬が85%、動物薬や医薬の中間原料などライフサイエンスが15%。現在、グローバルな売上高は約1500億円、日本での売上高は約120億円。活動拠点は世界60カ国以上、本社は日本にある。アリスタライフサイエンスの特長について、日本・アジア・ライフサイエンス事業統括CEOの石合信正氏は次のように語る。
「当社は、大きく4つの地域に分けて事業を展開しています。北米、南米、ヨーロッパ・アフリカ・中近東、そして日本・アジアです。当社の特長は、ファブレスという考え方にあります。基本的に自社で研究開発や生産を行わず、地域に根付いたマーケティングとサプライチェーンマネジメントのもと、市場性を的確に捉えた商品の提供に努めています」。
日本営業本部では、業界で著明な総合殺虫剤オルトランなどの化学農薬と生物農薬、さらには農業資材との組み合わせの妙により、日本の農業の多様性に応えている。そこには、100年以上にも渡る、日本の農薬ビジネスとともに歩んできた歴史が活きている。また、IPM防除を推進する総合的ソリューションがあるという点もアドバンテージだ。
ヨーロッパでは、農薬市場シェアの約15%を占める生物農薬だが、日本はまだまだこれからだ。同本部の上坂氏は「国内では生物農薬市場のフロンティア的存在となってきました。生物農薬をどう使うか。県の農業試験場や農業普及センターの方たちの協力を得ながら、最良の方法を現場に提案しています」と、力強く語る。
同本部では、2004年から直販ビジネスをスタートさせ、約80社ある特約店と手を結び、販売網を築いて、地元の強みを活かした事業を展開している。専門性が高く、スピーディな営業活動を行うためには「無駄の無い組織作りのために、ITを活用していくこと」(石合氏)がポイントとなる。


PAGE TOP
新システム基盤にSAP/R3テンプレート「M-ONE TRADE」を採用

新システム基盤にSAP/R3テンプレート「M-ONE TRADE」を採用

地域性を重視するアリスタライフサイエンスでは、基幹システムに関しても各地域が独自に運営を行っていた。日本営業本部では、将来の事業拡大に向けて新しいシステム基盤の構築が急務となっていた。
大きな投資を伴うプロジェクトであるだけに、大手化学メーカーでの豊富な導入実績や優れた拡張性からSAP/R3の導入は早めに決断された。そして、丸紅情報システムズのSAP/R3テンプレート「M-ONE TRADE」を採用した理由について、日本・アジア・ライフサイエンス事業本部のCFOであり情報システム部長の太田真二氏は次のように語る。「カットオーバーまで10ヶ月間という短期間でのビッグバン導入ですから、テンプレートが当社の業態に近く、できるだけフィットしていたという点が採用の大きなポイントになりました」。
情報システム部を主体に関連部署からなるプロジェクトが立ち上がり、2004年5月にキックオフ。2005年2月の稼働に向けて会計、販売物流、分析統計と3チームで進められた。最も苦労したのは関連部署との調整だった。基幹システムの導入をきっかけに、業務の効率化やスピードアップ、さらにアドオンコスト、メンテナンスコストの抑制を図るべく、業務の標準化も合わせて行われたためだ。
「当時、私は分析統計チームのメンバーになっていました。どうすれば経営者に情報を効果的かつスピーディに提供できるのか悩みましたが、あるべき姿をきちんと定義づけることによって、関連部署とうまく調整を図りながら、何とか短期間で導入にこぎつけることができました」。


PAGE TOP
販売予測により在庫ロスの低減へ

販売予測により在庫ロスの低減へ

プロジェクトはスケジュール通りに完了した。しかし、基幹システムの導入では、導入直後の調整も大切だ。「テンプレートを当社の業務でどう再現すればいいのか。丸紅情報システムズのスタッフに常駐してもらい、いろいろと助言をいただきました」(太田氏)。新基幹システムは、丸紅情報システムズのデータセンターを活用し、アプリケーションの保守から運用監視まで、トータルサポートを受けている。
また、導入したシステム基盤の有効活用も大きなテーマとなる。同本部では、SAP/R3と合わせて、多次元分析が可能なデータウェアハウスSAP/BWも導入。たとえば、前日までの売上や利益などをその翌日には報告することが容易にできるようになり、統合されたデータを共有化することで、業務の効率性や信頼性は飛躍的に改善された。さらに、将来の見通しをシミュレーションできる、戦略的企業経営システムSAP SEMも追加導入し、販売予測を中心に活用することで在庫ロスの低減を図っている。特に、在庫し難い生物農薬の事業で販売予測はとても重要である。
「日本営業本部は週単位、月単位で販売予測を入力しています。営業部門が出した販売予測に基づいてサプライチェーンが発注し、一方で、管理部門がその予測に基づく利益をシミュレーションする。S&OP(需要主導型プランニング : Sales and Operations Planning)プロセスが実現できた点は、非常に大きな進歩だと考えています」と話す太田氏の目は、しっかり将来を見据えていた。


記事に関するお問い合わせはこちら Contact us

事例 総掲載法人数

197法人

Pickup

おすすめコンテンツ

丸紅情報システムズ公式Facebookページ

丸紅情報システムズ公式Facebookページはこちら。

ライターズコラム IT商品研究会

ライターズコラムでは外部ライターに登場いただき、製品について素直なコメントをいただきます。


丸紅情報システムズ※文中の製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。
※記載の情報は発表日現在の情報です。記載の情報は予告なく変更される可能性がございます。

Copyright © MARUBENI INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD.