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MSYS(丸紅情報システムズ)

NTTコムウェア 導入事例

NTTコムウェア (右)尾西 弘之 氏(左)本川 栄子 氏

今回は、雲の話である。
しかし、空が舞台ではない。
ICTの世界で大きな話題を集めているクラウド・コンピューティングがテーマだ。
誰もが低コストで先進のICTを自在に活用できる、ICTを「所有」するのではなく、サービスとして「利用」する時代へ。
クラウド・サービスも次々と登場し、クラウドは活用の段階に入った。
国内屈指のSIer、NTTコムウェアも企業向けクラウド・サービス「SmartCloud」をリリース。
「SmartCloud」は、SI型からサービス提供型へと事業構造の転換を図る同社の経営戦略とも深く結びついている。
その誕生の軌跡とともに、お客様に対するサービスの見える化などクラウド・サービスへのこだわりを取材した。


「CA eHealth」について

CA eHealth
キャパシティ・プランニングを通じてプロアクティブにネットワークやシステムの性能管理や障害監視を実現する運用管理ソフトウェアです。サービス低下を未然に防ぐための健康診断とキャパシティ・プランニングを可能にします。また、プロアクティブなサービス保証・障害特定個所判明の迅速化により、ダウンタイムとサービス低下の防止、平均故障間隔(MTBF)の向上を実現。レポートや監視設定までプリセットされているため、導入・運用開始が非常に容易です。

「CA Spectrum」について

CA Spectrum
ネットワークの構成変更・障害・死活に関する情報を、迅速かつ正確に提供するソフトウェアです。ネットワークの障害に対して根本原因の分析を自動で行い、対処を要する箇所の情報を提供し、問題を発見して解決するまでの時間を大幅に改善できます。CA Spectrumにより、障害原因のピンポイントの特定、誤操作・誤設定による障害からの早期復旧、重要度に応じた障害対応の優先順位付けなどが容易に行え、速やかな障害原因特定と復旧を実現します。

いよいよ日本も本格的なクラウド時代の幕開け

子供の頃、雲を見て想像力をかきたてられた。クリームパンや友だちの顔、飛行機などさまざまな形に変化する雲。いったいどこから来て、どこへ行くのだろう。
今、ICT(Information and Communication Technology)の世界で、雲が劇的に進化している。クラウド・コンピューティング(以下、クラウド)の名称は、システムのイメージ図ではネットワークを雲で表現することが多いことに由来するといわれている。クラウドはすでに活用の段階に入っている。国内屈指のSIer(システムインテグレーター)であるNTTコムウェアのサービス事業本部 SmartCloud推進部門長 尾西弘之氏は自身の体験を交えてこう話す。
「先日、米国のICTイベントに参加した際、来場者の皆さんがタブレットでクラウドへアクセスし、自在にやりとりをしていたことが大変印象的でした。例えば、セミナーの聴講後に、ネット上で活発に感想、意見などを“つぶやき”、ある人はそれに触発されて新たな気づきを得ていたりと、高度な情報交換が当たり前に行われていました。“いつでも、どこでも、誰でも、ネットワークにつながり、サービスを利用できる”ユビキタス・ネットワーク社会は実現されつつあります。そのための基盤づくりにクラウドは欠かせません」。
クラウドによりICTを「所有」することなく、サービスとして「利用」する形態へとパラダイム転換が行われる。これまで企業は膨大なコストをかけ、先進のICTを所有し活用することで競争力を高めてきたが、これからはビジネスのスピードや変化に応じて初期投資を抑え、戦略的にICTを活用することができる。「クラウドは何も特別な考え方ではなくて、従来からあるデータセンター、アウトソーシングをお客様のニーズに合わせて発展させたものです」と尾西氏の説明は明快だ。
クラウドを活用したサービスも次々と登場し、2010年7月にはNTTコムウェアから企業向けのクラウド・サービス「SmartCloud」がリリースされた。いよいよ日本でも本格的なクラウド時代の幕開けである。


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SI型からサービス提供型へ事業構造の変革

SI型からサービス提供型へ事業構造の変革

NTTコムウェアは、NTTの情報システム部門と通信ソフトウェア部門が統合し、1997年に独立し誕生した。例えば私たちが、日常生活で電話やインターネットなどを利用するとき、また、NTTの通話料の請求書を手にするとき、同社の技術に触れている。NTTが脈々と培ってきたコンピュータ&ネットワークの高い技術を継承する企業として、現在ネットワークテクノロジー、システム&アプリケーション、サポート&メンテナンスと3つの柱を中心に事業を展開している。
現在、注力している大きなテーマが2つある。1つは、従来の電話網がもつ信頼性・安定性を確保しながら、IPネットワークの経済性や利便性を兼ね備えた次世代ネットワークNGN(Next Generation Network)の拡大・普及に向けた技術開発だ。
そして、もう1つがリリース以来、話題を集めているエンタープライズ・クラウド「SmartCloud」である。その誕生の軌跡をたどると4年前に遡る。「私が所属するサービス事業本部では、NTTグループはもとよりグループ外のお客様のハードウェア資産をデータセンターでお預かりし、その運用・監視・保守などのサービスを行っています。当時、お客様ごとに個別最適化したビジネスモデルをこのまま行っていていいのかという疑問に突き当たっていました」と尾西氏は振り返る。
個別最適化により、業務の多様化、属人的対応の増加、運用管理の複雑化などの課題が生じ、高コストの要因となっていた。また、人材やハードウェア資産も含めてデータセンター全体でリソースの有効活用を図ることが困難な状態にあった。
直面する課題を解決し将来への布石を打つために、人、プロセス、テクノロジーをトータルで考慮した改善の取り組みがスタートする。2007年度、その最初のステップとなったのがITIL®※1をベースとした運用の標準化だった。基本動作の徹底、人為故障撲滅ワーキンググループの継続的な展開を行うとともに、ES(Employee Satisfaction、従業員満足度)の向上にも注力した。その結果、人為故障は1/5に減少、標準化により属人化の問題点も解消できた。
サービス事業本部の新しいビジネスモデルの創造は、SIerとしてSI型からサービス提供型へと、事業構造の変革を進める同社の経営戦略と深く結びついている。新しいビジネスモデルを実現するための全体構想が描かれたが、そこには大量のICTリソースを標準的に運用管理できる仕組みをつくり、その上にサービスをのせていくというコンセプトや、段階的に進めていく工程表も記されていた。

※1 ITIL
ITサービスマネジメントのベストプラクティス集(Information Technology Infrastructure Library)。2007年5月には、最新バージョンITIL V3が出版された。


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ビジネス領域でのサービスの見える化は提供者と利用者の間の共通言語

ビジネス領域でのサービスの見える化は提供者と利用者の間の共通言語

全体構想を描いていた当時、クラウドはまだ世の中に広がっていなかった。全体構想が出来上がった後、米国のデータセンターの動向を調査した際、拡大しつつあったクラウド・サービスの方向性と一致していることがわかり、工程表の詳細を詰めていったという。
2008年度から社内クラウドとして約50システムを統合、また、約5,000アカウントを収容するデスクトップ・サービス(シンクライアント)の運用などの社内実践に基づき、ノウハウを蓄積していった。グリーンICTにも積極的な対応を行い、国内最高レベルのPUE値=1.3※2を実現。キャリアグレード、グリーンなデータセンター、ITILベースのシステム運用は、「SmartCloud」の特長を表す3つのキーワードだが、もう1つ、こだわったポイントがある。それがお客様に対するサービスの見える化だ。
「ビジネスに影響するサービスの稼動状況などが、雲の中にあって見えないと、お客様は不安を抱くと思います。社内はもとよりお客様に対しても、提供しているサービスの稼動状況、故障状況、故障復旧状況など、運用の見える化を実現し、お客様の課題を当社の課題としてとらえ、共通認識のもとでサービスの利用を進めていくことが大切だと考えています。当社は、サービス提供者として、お客様への説明責任を重視していきたい」と尾西氏は強調する。
アウトソースでは、システムの信頼性や可用性を対象にサービスレベルを設け、見える化を実現していたが、クラウド時代では、その対象をビジネス領域まで広げる必要があるという。「業務によって、サービスの品質に求められる内容は様々です。一定時間に処理が必要な業務もあれば、とにかく応答時間のスピードが重要な業務もあります。システムにトラブルが発生した場合の影響や対策も業務ごとに変わってきます。ビジネス領域でのサービスの見える化は、サービス提供者と利用者との間の共通言語となるものです」(尾西氏)。

※2 PUE値
PUE=(データセンター全体の消費電力量)/(データセンター内のIT機器消費電力量)。日本の平均は2.2(2008年10月、JEITA調べ)


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■ITIL®V3をベースにしたライフサイクル
   アプローチ
ITIL®V3をベースにしたライフサイクル
■ICTインフラ運用ツール ICTインフラ運用ツール

真の原因や影響を受けるお客様の業務をより早く特定し的確に対処するために

物理サーバの上に多くの仮想サーバが動き、それらが周辺システムとネットワークでつながっているという複雑かつ巨大な仮想化環境では、ビジネス領域でのサービスの見える化は容易ではない。トラブルが発生した場合、どこに根本原因があって、どのお客様の業務に影響がでるのか、迅速かつ的確に把握するために、同社では、CA社の性能監視&分析システムCA eHealth Performance Manager(以下、eHealth)と、ビジネスインパクト分析機能をもつCA Spectrum Infrastructure Manager(以下、Spectrum)を導入した。CA製品の適用は、クラウド・サービスの実現に向けてのロードマップとも合致しているという。
「eHealthは、1998年にネットワークサービス向上のために導入したのが最初です。近年では、ITILベースでの標準化の取り組みの一貫としてeHealthを活用し、2009年にはSpectrumを導入しました。Spectrumの分析力にSEの技術力とノウハウが組み合わさることで、真の原因や影響を受けるお客様の業務をより早く特定することが可能になります。また、復旧のための対処や、お客様への正確な情報提供の迅速化も図れます」と、サービス事業本部 サービスプロバイダ部 本川栄子氏は語る。
eHealthと Spectrumは、お客様向けのレポートも容易に作成できるという。両製品を活用したWebによるリアルタイムな情報開示も検討されている。また、eHealthの中長期的分析は、社内での活用はもとより、お客様に対して一歩先を読んだ提案をする際にも役立っている。
CA製品の販売や技術サポートを行っている丸紅情報システムズについても、「最初にeHealthを導入して以来、10数年にわたってしっかりと信頼関係が築けています」と、本川氏は笑顔で話す。
「SmartCloud」の第一弾としてリリースされたのは、IaaS型※3のICT基盤サービス「SmartCloud Resource Pool」と、DaaS型※4のデスクトップ・サービス「SmartCloud Desktop」。SaaS型※5についても、順次サービスメニューの整備と拡充を図っていくという。さらに、開発環境プラットフォーム(DevaaS)の提供も予定されている。オンプレミス(自社運用)とオフプレミス(外部運用)との連携や、他社も含めた複数クラウド・サービスとの組み合わせも今後の検討課題になる。
尾西氏は、インタビューの中で「愚直」という言葉を何度か繰り返した。そこには強い思いが込められている。「通信網を技術で支えることは、当社の最大のミッションであり、その点は、これからも愚直にやりとげていかなければならない。その上でクラウド・サービスなど新しい価値の創造に取り組んでいきます」。
同社のコーポレートメッセージは、「心をつなぐ、社会をつなぐ」。さまざまな課題を解決し心豊かな社会を築いていくために、同社の果たすべき役割は大きい。急激に進化を続けるICT。雲の行方は気になるが、雲の向こう側にはいつでも明日が待っている。

※3 IaaS
Infrastructure as a Service 。ICTリソースを提供するサービス。
※4 DaaS
Desktop as a Service。デスクトップ環境を提供するサービス
※5 SaaS
Software as a Service。ソフトウェアの機能のうち、必要とするものだけを提供するサービス。


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