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成城大学 導入事例

成城成城大学

90年前、教育界に1つのイノベーションが起きた。
「個性をのびのびと育てたい」、日本の初等教育の改革を唱えて創立された成城小学校。
現在の成城学園のルーツだ。
90年後、大学、中学校高等学校、初等学校、幼稚園が共存する総合学園となった今も教育理念は変わらない。そして教育改革に対する情熱も…。
2004年、グローバル化、インターネット時代に向けて成城大学は「イノベーション・プロジェクト」を実施し、個性と創造性が集う「ひとが主役の大学」へと進化した。
新時代のキャンパスを象徴するのが、ノートパソコンを自由に活用できる無線LAN環境だ。
しかし、その実現は容易ではなかった。
建物が完成していない中、電波状況の調査もできず、複雑なチャネル設計も憶測でおこなわなければならない。
この難問に挑んだのが、成城大学メディアネットワークセンターのスタッフたち。
それは学生の可能性を拓く新たな取組みの始まりだった。


Extricom社の無線LANについて

Extricomの無線LANの特長を一言でいえば「シンプルさ」。無線LANスイッチがすべてのアクセスポイントを集中管理するため、同一チャネルに複数のアクセスポイントが密集しても電波干渉が発生しません。これにより手間を要する電波調査や、複雑なチャネルの設計も不要に。導入時はもとよりネットワーク設計の変更、アクセスポイントの追加時にかかる時間・労力・コストの大幅な削減を実現します。大学や病院、工場、一般企業などで導入実績を重ねています。

Extricom社の無線LAN
成城大学

イノベーション・プロジェクトが描く 理想の大学像
90年前の教育イノベーション

イノベーション・プロジェクトが描く 理想の大学像90年前の教育イノベーション「建設中では電波状況の調査もできない。目に見えない電波干渉を考慮して、どう無線LAN環境を設計すべきなのか」成城大学メディアネットワークセンターのスタッフ、五十嵐一浩氏、田村忠才氏、上條勲氏は解決の糸口さえ見えない難問に直面していた。2006年の暮れのことだ。3人は成城大学のインフラ設計といえば必ずチームを組む、気心の知れたメンバーである。彼らが取り組んでいるのは「キャンパス内でいつでもどこでもパソコンを利用できる」無線LAN環境の実現。成城大学イノベーション・プロジェクトの一環で、個性を大切にする同大学にとって新時代に向けての重要なインフラの1つとなる。彼らの軌跡を紹介する前に、同大学のイノベーションについてふれてみたい。
同大学のルーツ、成城小学校の誕生は20世紀初頭に起きた教育イノベーションそのものだった。1917年(大正6年)、当時の教育界の重鎮、澤柳政太郎博士が日本の初等教育の改革を唱えて創立したのがはじまり。その教育理念は個性尊重であり、自ら課題を発見し解決する自学自習を重んじた。当時の最先端を行く教育理念は現代でも通用するほど革新的だ。
現在、成城学園は幼稚園から大学院までを有する総合学園に成長した。都心にしては珍しく緑に抱かれ、一貫した少人数教育で個性を伸ばす。時代は変わっても教育理念はゆるぎない。成城大学の創設は1950年、当初は経済学部だけだったが、現在は4学部、学生数約5,700人を擁する。独自のアイデンティティと自由な校風に憧れ、同大学を希望する若者は多い。
澤柳博士の精神を受け継ぐ者たちの取組みはいまも続いている。個性と創造性が集う「ひとが主役の大学」へ、さらなる進化を果たす成城大学イノベーション・プロジェクトもその1つだ。


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教育資源は必ずしも教科書の中だけではない

教育資源は必ずしも教科書の中だけではない

2004年春にスタートした成城大学イノベーション・プロジェクト。同プロジェクトは、グローバル化、インターネット活用の進展など新時代を見据え、理想の学園像をめざす成城イノベーション・プログラムに基づくものだ。改革の中身は教育改革と設備改革の2本柱。教育面では、イノベーションという名前を日本で初めて冠した社会イノベーション学部の開設、設備面では2005年9月完成のマルチメディア授業支援システムを備えた8号館、2007年9月完成の情報・交流の新拠点となる3号館、そして無線LAN環境の実現がトピックだ。
成城大学にとってITとはどのような役割を果たしているものなのだろう。同大学のITとマルチメディアの統合的管理・運営を担う、メディアネットワークセンターの事務長、上野亨二氏はこう話す。
「情報教育は次の専門科目の基礎知識となるものです。全学共通科目としてこれまでも力を入れてきました。無線LAN環境は授業というよりも自習的要素が大きくなります。教育資源や研究資源、情報源は必ずしも紙のノートや教科書の中だけでなく、Webの世界にも多く存在する時代です。それらをリアルタイムに活用できることは教育効果を高める上でも大きい。個性尊重や自学自習といった当学園の教育理念も強力にサポートします」。
地価の高い成城の地では設備拡張も容易ではない。「学生の自主的な学習を促進するために限られたスペースの中でいかに多くの学生がパソコンを利用できる環境をつくるか。解決策の1つが無線LAN環境により、学生がもっている自分のノートパソコンをキャンパス内で自由に活用できる環境を整えるということです」(上野氏)。


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キーワードはシングルチャネル、光明は提案の中に
  1. アクセスポイント(Access Point)
    無線LANのアクセスポイントとは、端末間の接続や、有線LANなどのネットワークへの接続を可能にする電波中継の役割を果たす機器。
  2. チャネル
    電波の周波数帯域のこと。
  3. TrueReuse
    Extricom社が特許申請している無線LAN技術。クライアントとAP間の通信電波強度をリアルタイムに測定し、クライアントが最適なAPと最適な送信電力で通信するように調整する。シングルチャネル環境ながらも3チャネル分の帯域が利用可能。
  4. PoE(Power over Ethernet)
    Ethernetの配線に使うケーブルを通じて電力供給をおこなう技術。電源を取りにくい場所に置く際などに便利。
  5. ローミング
    無線LAN環境で端末がアクセスポイントを移動しても通信が可能になること。

キーワードはシングルチャネル、光明は提案の中に

2007年が明けても、無線LAN導入プロジェクトのメンバーは暗中模索を続けていた。無線LANを最初に導入する新3号館は、建設中で電波状況を調べられない上、吹き抜け構造が電波干渉に与える影響もわからない。アクセスポイント(以下、AP)*1の設置場所も図面上で決めていかなければならず、チャネル*2設計も憶測でおこなうしかない…。
無線LAN導入プロジェクトは懸案を抱えながらも無線LAN製品の選定に入る。光明はExtricomの無線LANシステムを活用した提案にあった。キーワードは、シングルチャネル。3人は「これだ!」と確信を抱く。
通常の無線LANシステムは、AP同士の電波干渉を避けるため、電波が届く範囲にあるAP同士はチャネルを異なるものにしなければならない。一方、Extricomの無線LANシステムは、独自の技術により干渉範囲内にあっても同一のチャネルを割り当てられるシングルチャネル機能を持っていた。
「シングルチャネルなら電波状況の調査も不要です。APの設置場所も必要なところに設置でき、チャネルの設計にふりまわされることもありません。階層を越えて電波が飛んでしまう吹き抜けへの対応も柔軟にできます。今後、APを増設する際の設計変更も容易です」(田村氏)。
しかしシングルチャネルにも弱点がある。パフォーマンスなどに制限を抱えてしまうのだ。この弱点を克服したのがExtricomのもう1つの独自技術TrueReuse*3だ。「ノートパソコンの台数が増えてもスループットの心配はありません。採用理由の1つにもなりました」(五十嵐氏)。
そのほかにもExtricomの特長が様々な課題を解決へと導いた。たとえば、天井裏に設置するため、気になるのがAPの発熱。Extricomの無線LANは通信の制御やユーザの管理、セキュリティなど、従来のAPの処理をすべてスイッチ側で処理する。このためAPはアンテナの役割のみ、熱を発することはなく電力供給もPoE*4でケーブルを通じておこなえる。ローミング*5の切り替え時間も0秒、途切れることはない。WPAで暗号化、IEEE802.1xで認証、APとスイッチ間は独自プロトコルで通信などセキュリティも強固だ。


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大量の情報に流されない人間力を養う

大量の情報に流されない人間力を養う

光あふれる新3号館の学生ホール。3人グループのテーブルの真ん中にはノートパソコン。画面を見ながら活発に意見が飛び交い、キーボードを打つ音が心地よくホールに響く。
2007年、夏休みも終わった9月。新3号館の完成とともに無線LAN環境の構築も予定通り完了した。
今後の課題は利用率の向上だ。そのために企画していることがある。「来年度以降、貸出PCを検討しています。グループ研究やレポート作成などにはとても有効です。オンデマンドのプリンタと連携できれば、利便性はさらに高まります。現在、学部単位での貸出やゼミへの貸出など、要望を確認しているところです。今後、e-Learningや、Web上での簡単な試験の掲載などカリキュラムと連携できれば活用範囲もさらに広がります」(五十嵐氏)。 
 将来の活用に向けて期待もふくらむ。「ExtricomのAPには4台の無線インターフェイスが搭載されているので汎用性が高い。ひとつは不正電波を検知するセンサに使えたらと考えています。また出欠確認に利用できないかなどアイデアも広がります」(上條氏)。
今後、5・7号館にもExtricomの無線LANを導入する予定だ。理想の学園像を見据えて事務長の上野氏はこう締めくくる。「成城学園全体でネットワークやシステムも統合的に扱えればと考えています。また大量の情報に流されることのない人間力を一貫教育のもとで養っていく。そのことがインターネット時代の教育には大切だと思います」。
心地良い緑の風に吹かれながら、オープンラウンジで学生がノートパソコンを開く。画面の向こう側には、求めている答えのヒントや、まだ見ぬ新たな発見が待っている。


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