確実なデータ保護と高速なリストアにより
ランサムウェア感染時も迅速な復旧を実現
自社の業務継続性向上とともに
国内大手自動車メーカーとの信頼関係を強化
杉浦製作所
山田 佳弘 氏
XVD®、米国のベンチャーXVDコーポレーション(カリフォルニア州サンノゼ)によって開発された、映像と音声をそれぞれ専用のアルゴリズムで圧縮することにより、映像データを5分の1~7分の1に圧縮する技術です。XVD CamCast®EXは、カメラからのアナログ映像・音声信号を高圧縮のXVD®フォーマットにエンコードし、無線レシーバへワイヤレスで伝送します。中継に不可欠なバッテリー駆動にも対応。わずらわしいケーブル配線からカメラマンを解放し、機動性を向上させ軽快でよりリアルな瞬間をとらえることができます。
学 歴: | 1970年3月 | 芝浦工業大学卒業 |
1970年4月 | 東通入社 | |
1992年7月 | 株式会社日本レジャーチャンネル入社 | |
1992年12月 | 日本レジャーチャンネル開局 | |
2001年 | 専務取締役(現職) |
株式会社日本レジャーチャンネル(以下、JLC)では、多チャンネルデジタル放送(以下、CS放送)による競艇中継を行っています。今回、ピット情報を伝えるために、無線伝送が可能なXVD CamCast®を採用。その導入経緯と効果について、同社専務取締役の前岡良徹様にお話をうかがいました。
前岡氏:
競艇が映像を使った場外での券売を始めたのは、昭和61年からですが、これに衛星を有効利用できないかという話が持 ち上がりました。やはり映像があると、場外舟券売場での舟券購入につながります。そこで、NTT管轄の衛星を利用して、競艇場の映像を他の競艇場に流して いました。
平成3年まではこの仕組みを用いていたのですが、これを独立させようということになりました。そうして立ち上げたのが、日本レジャー チャンネルというわけです。平成4年12月にアナログ放送の配信を開始し、平成8年からはスカイパーフェクTV!(以下、スカパー!)を使用して放送する ようになっています。
前岡氏:
スカパー!への参入にともない、デジタル化が普及するようになったことが大きいですね。実は、それまでの伝送には、 衛星配信用のアンテナを搭載した車載局を利用。各競艇場まで車載局を運び、そこから映像を伝送していました。しかし、衛星の帯域使用料というのは、とにか く高額なもの。コスト的には非常に厳しかったのです。
そこで、それまで現地でやっていた映像の編集や配信を、すべて中央でやることにしました。つ まり、全国24箇所の競艇場と三田本社の放送センターをATM網※で接続し、そのネットワークを通じて映像を集める「全国競艇場映像集信システム」を立ち 上げることになったのです。これが平成13年のことです。映像に加えてオッズなどのデータ系もやり取りできるようになり、効果は大きかったと思います。
し かし、このシステムも更新の時期に来ています。一方で、各地のボートピア(競艇専門の場外舟券売場)では、ATMのようなコストがかかるものは使えませ ん。競艇場と違って、あまり売上はありませんからね。そこで、ネットワーク環境も変わってきていることですし、たとえば公衆網を利用するなど、コストダウ ンをはかりながら新しいことにチャレンジしようということになったのです。
※ATM網 1本の回線を仮想的に複数回線に分割して同時に通信を行なう多重化方式の一つ。 効率的で拡張性の高いネットワークの構築が可能。
そうした背景の中、IP網に適切なエンコーダはないだろうかという話になり、デジタルの映像圧縮技術に目を付けました。中でもおもしろそうだなと思ったのが、XVDだったというわけです。
前岡氏:
競艇場は非常に広く、すべてが見渡せるわけではありません。とくに、ピットはお客さんにはまったく見えない場所です。しかし、ピットでは艇を水から上げてエ ンジンやプロペラの整備をする風景が見られますし、選手の素顔も見えます。これを紹介できれば効果的なのですが、ピットでは52台もの艇が整備をしたりト ロッコで移動したりしています。間違っても、ケーブルを這い回したカメラを入れることはできません。ところがXVD CamCast®ならば、撮影したものをリアルタイムに無線で伝送することができます。これは、他にはないメリットですね。もちろん、既存の放送機器にもこうした機能を持つものはありますが、そちらは非常に高価。CSの制作費というのはあまり高くないので、低価格なXVD CamCast® EXはありがたいですね。
これまでは、ピットにカメラを入れてもテープ録画しかできませんでしたし、リアルタイムのインタビューは電話を使った音声取材のみでした。これに映像が使えるようになり、選手紹介も非常に親近感の持てるものになったと思います。
前岡氏:
実際のところ、高ビットレートならどのエンコーダでも大差はありません。しかし、1Mbpsを下回るようなビット レートだと、とたんに映像が崩れるものが多いのです。現在は各競艇場と三田本社をBフレッツで結んでいますが、東西のNTTをまたがるとあまり速度が出ま せん。実効で1Mbpsくらいしか取れないので、このビットレートでの画質は非常に重要になります。XVDは、こうした低ビットレート時においても、放送 に耐えうる画質を保てるというのがメリットですね。実際、700kbpsで伝送していますが、画質は十分です。限られた回線リソースを有効活用できて、予 算と回線と画質のバランスが上手く取れるエンコーダだと言えるでしょう。
前岡氏:
遅延がほとんど出ないことも大きな特徴ですね。実は、他のエンコーダだと3秒ほどの遅延が生じるものもあります。こ れを双方向でやると、最大で4秒くらいの時間差が生じることも。とてもではありませんが、双方向の会話は成立しないのです。その点、XVDはほとんど遅延 がないので、ピットと放送センターを結んでのリアルタイムなレポートも可能。非常に実用的ですね。
前岡氏:
XVDで伝送した映像は、スカパー!での放送だけでなく、ブロードバンド配信もしています。これにより、競艇がより おもしろく、身近なものになっていくのではないでしょうか。とはいうものの、現状の回線に流せるビットレートだと、水面のレースを映したものは難しいとこ ろ。今後はIP網についても再構築を検討中なので、可能性があればレース映像の伝送もXVDで試したいですね。これからも、つねに最適な映像伝送・配信の 仕組みを求めてチャレンジを続けたいと考えています。
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