Infinite Ideas(ユーザ事例)

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MSYS(丸紅情報システムズ)

株式会社東芝

XVD®、米国のベンチャーXVDコーポレーション(カリフォルニア州サンノゼ)によって開発された、映像と音声をそれぞれ専用のアルゴリズムで圧縮することにより、映像データを従来の動画形式の5分の1~7分の1に圧縮する技術です。
XVD CamCast SXは、映像をリアルタイムで圧縮しIP伝送する機能をコンパクトなボディに実装しています。1M以下の低ビットレートでも十分な画質、音声を保つことが できるため遠隔授業や遠隔監視、ライブ中継用の装置として使用が可能です。

XVD

980年 東北大学大学院 電気および通信工学専攻博士課程修了
工学博士号取得
1980年 株式会社東芝入社
研究開発センターにて、音声・画像圧縮の研究開発・ハイビジョン機器の開発
MPEG標準化・応用機器の研究開発に従事
1999年 本社技術開発室
情報通信分野の技術戦略・技術動向に関する業務に従事
2002年 コアテクノロジーセンター ワイヤレスシステム技術開発部 部長として、
Bluetooth・ワイヤレスLAN・応用機器開発に従事
2003年 マーケットクリエーション部 セキュアデジタルビジネス推進プロジェクト長として、
デジタルコンテンツの著作権保護ビジネスの技術・事業開発に従事
2004年 研究開発センター 事業開発室 兼 ネットワークサービス&コンテンツ事業
統括 参事として、デジタルコンテンツの著作権保護ビジネスの技術・事業開発に従事

今回、丸紅ソリューションが動画配信の新技術「XVD CamCast®」システムをリリースするにあたり、株式会社東芝の嵩比呂志工学博士にお話を伺いました。嵩氏はMPEG-2策定の頃より動画圧縮に携 わってこられた圧縮技術の権威。その視点から、動画配信の技術動向およびコンテンツビジネスとしての展開について語っていただきました。

XVDとの関わりはセキュリティ技術の側面から

MPEG-2策定の頃から動画圧縮技術に携わってきた嵩氏だが、XVDとの関係は、デジタルコンテンツをどのように配信していくかという側面から始まった。氏が研究を進めているSDカードによる著作権保護機能との組み合わせがそれである。

●まず、映像圧縮に携わるようになった経緯をお聞かせください。

大学時代の研究テーマが「デジタルの変復調」ということで、東芝に入社して最初に手がけたのは音声の圧縮処理でした。今は携帯電話などで使われている技術ですが、当時はまだ、実際に使うシチュエーションにはなかったのですけどね。
そんな頃、NHKから依頼があったのです。ハイビジョンというものを考えているので、その圧縮伝送装置を東芝に作ってほしいと。ハードウェアが今とは全然 違う時代で、ラック2本で消費電力が10キロワットくらいのすさまじい伝送装置でした(笑)。そろそろ終わろうとしていますが、今でもアナログBSのハイ ビジョン放送に使われているんですよ。
この装置では、最終的な出力はアナログになっていますが、本来はデジタル処理したものはデジタルのまま出力するのが望ましい。となれば、次に来るのはデジタルの圧縮伝送技術だろうということで、MPEGに携わるようになったのです。

●どのような経緯でXVDに出会われたのでしょうか?

きっかけは、映像圧縮技術とは少し違った角度からでした。MPEG-2の後は、実は映像の圧縮そのものからは遠ざ かっていました。では何をやりたかったのかというと、電子書籍をやりたかった。東芝で低温ポリシリコンのよい液晶があったので、これを使って電子書籍を読 めないかと考えました。
ところが、いざやろうとなると大きな問題に当たってしまいました。それは、電子書籍供給のためのインフラがまったくないということ。電子書籍の端末を作ろ うにもコンテンツがない。コンテンツなしで端末だけ作っても、ビジネスとしてはすぐに成立しそうになかったのです。
今の時代、コンテンツと機器は対にとらえなければなりません。ビジネスとして成立するためには、(1)コンテンツのデジタル化が進んでいること、(2)コ ンテンツの流通経路があること、(3)コンテンツを楽しむための端末があること、という3つの条件が揃っている必要があります。電子書籍の場合、当時は条 件をひとつもクリアしていない状態だったのです。
それならば、ちょっと視点を変えてみようということになりました。デジタルコンテンツの場合コピーが容易になりますから、著作権保護がビジネスにならない かと。それにはSDカードが活用できるだろうということになったのです。保護すべきコンテンツには、音楽もあれば映像もあり、もちろん電子書籍もあるとい うことですから。
そうした頃、東芝セミコンダクター社から「映像圧縮のいい技術がありますよ」と紹介されたのがXVD。実際に見て、なかなかいいなと思っていたところ、電 子書籍関係で付き合いのあった毎日新聞社から誘いがありました。アメリカでコミックコンベンションというものがあるからツアーを組んで行きましょうと。そ れが2003年7月。
そのときに米DigitalStream-USA, Inc.(現XVD Corporation)のアルバートさんに会って、SDのセキュリティ技術とXVD圧縮技術を組み合わせられないかという話から、今日まで発展するよう になったのです。

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低ビットレートで違和感を感じにくい画質がXVDの最大の特長

MPEGを始めとするさまざまな圧縮技術には、それぞれの特長と良さがあると嵩氏。その中でXVDは、低ビットレート時における画質の良さが大きな特長であり、「好ましい映像の劣化のしかた」を実現しているという。

●XVDの映像圧縮技術にはどのような特長があるとお考えですか?

XVDの最大のポイントは、やはり低ビットレート時の画質の維持が挙げられます。これはMPEGではけっこう難しいで す。圧縮率を上げすぎると、映像がブロック状になってしまうことがあるでしょう。XVDの場合、そうした極端な低ビットレートでも、それなりに見られた映 像にできるんです。
こ れは、どちらが良くてどちらが悪いという問題ではなく、あくまで特質が違うということ。MPEGで採用しているDCT(ディスクリートコサイン変換)によ る圧縮は、ある程度のビットレートを確保すればシャープな絵を描きますが、低ビットレートでは破綻しやすい。一方のXVDは、シャープさの少ないぼけた絵 に見られがちですが、低ビットレートでも見やすいといった特長があります。もうひとつ、XVDの圧縮方法だと文字が読みやすいというのもありますね。
総じて言えるのは、XVDは「違和感を感じにくい画質を実現する」圧縮技術だということ。実際にはXVDでも、圧縮率を上げれば画質は劣化します。しか し、この劣化はビデオの「VHSの標準モードと3倍モード」と同じようなものであり、多くのユーザにとってはアナログテレビで慣れてしまっているものなの です。つまり、ユーザにとって違和感を感じにくいものなら、主観的にはそれほど劣化したように見えないということになります。
映像の圧縮というのはつまるところ、どのように映像を劣化させるかという技術です。その中でどれだけ好ましい劣化のしかたをできるか――私は “Graceful Degradation”と呼んでいますが、XVDはそのGraceful Degradationを実現した技術だと言えるでしょう。

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XVDならではの特質を活かした適材適所のサービスでビジネスチャンスをつかむ

MPEG-2などの国際標準規格と直接はりあうよりも、モバイル環境やローカル機器などに市場ターゲットを絞り、XVDならではの特質を活かせるサービスを展開するべきだと嵩氏。ビジネスチャンスを逃さないためにも、XVDのような技術への取り込みは欠かせないと語る。

●XVDはどのような方向で活用するのが好ましいのでしょうか?

メーカーとしての東芝の立場からは、どうせ使うのなら国際標準の方がいいという思いは確かにあります。だからといっ て、MPEG-2などと真っ向からはりあうのは、ちょっと方向が違うかもしれませんね。それよりも、XVDならではの特質を活かして、適材適所で使ってい くのがいいのではないでしょうか。
たとえば、低ビットレートに強いことを活かして、ケータイ向けの高圧縮・高画質映像の配信。あるいはHDDレコーダーなどへの適用が考えられます。データ 交換が必要な機器に標準規格が求められるのは仕方ありませんが、HDDレコーダーのように単体で完結するローカル機器ならば、実のところ標準化は必要ない とも言えます。それに、限られたHDD容量の中でたくさん録画するには、低ビットレートでも画質を保てるXVDは適性が高いのではないでしょうか。

●最後に、コンテンツビジネスにおけるXVDに望まれる点をお聞かせください。

XVDの特質を活かせば、ケータイ向けのストリーミング放送が可能となるでしょう。たとえば5分くらいのミュージッククリップの配信などが考えられます。
こうしたサービス自体は以前から案がありましたが、実際にビジネスにしようとすると、著作権の問題や通信キャリアの帯域負荷など、いくつかの障害に当たっ ていました。XVDやSDにはそうした問題をクリアする力がありますし、ならばそれを活用すればいい。ビジネスチャンスを逃さないためには、こうした優れ た技術を活用していくべきでしょう。そして、いつの間にかケータイ向けのストリーミング放送が当たり前のものになり、「実はこれにはXVDという技術が使 われているのです」とユーザに伝わっていけばいいのではないでしょうか。モバイル向けのストリーミングだけに限らず、XVDとそうした現実的なコラボレー ションを進めていければいいですね。


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