外食業日本一を目指せ!ビジネスチャンスを拡大するカスタマーセンター【ワールドピーコム/堀口 正人/小川 優/山下 弘文】

人手不足、人件費・材料費の高騰、不安定な景気状況など
外食産業を取り巻く環境が激しく変化する時代にあって
急成長を続けるコロワイドグループ。
外食業日本一へ向けて快進撃を続ける原動力は、
積極的なM&Aとお客様第一の企業姿勢にある。
かっぱ寿司、牛角、居酒屋甘太郎など
錚々たるメンバーの中で異彩を放っているのがワールドピーコムだ。
業界スタンダードのタッチパネル式セルフオーダーシステムから
国家レベルの研究開発まで高い技術力を強みとする。
ITでグループの成長に貢献するワールドピーコムは、
カスタマーセンターで居酒屋などの予約を完了するサービスをスタートした。
お客様との接点を大切に、グループの強みを活かし
ビジネスチャンスの拡大を図っていく。

左から「堀口 正人 氏」「小川 優 氏」「山下 弘文 氏」

外食業日本一へ、コロワイドグループ急成長の理由

女性を中心とする約30名のスタッフがヘッドセットをつけ、画面を見ながら電話応対をしている。ここでは居酒屋の予約まで行っており「幹事さん」には頼りになるセンターだ。デスクはパネルで仕切られており、ネームプレートによって誰が担当しているのかが一目でわかる。壁には「応答率95%を目指す」というスローガンが掲げられている。
「コールセンターという呼び方は社内でもしないようにしています。ここは、お客様と接点を持つカスタマーセンターなのだと。お客様にとって有益なことを考える発想で、センターの運用を行い、スタッフもお客様に応対していく。お客様に喜ばれるセンターにしていきたい」とワールドピーコム システムサービス本部 システムサービス部 部長 堀口正人氏は話す。
外食業日本一を目指すコロワイドグループのカスタマーセンターは、グループ会社のワールドピーコムが運営している。コロワイドグループはM&Aに積極的に取り組み、牛角、かっぱ寿司、しゃぶしゃぶ温野菜などブランド力のある企業がグループに加入することで企業価値の向上を図っている。規模の面でも国内焼肉店舗数No.1、国内しゃぶしゃぶ店舗数No.1、国内回転寿司店舗数No.1、国内居酒屋市場シェア7.7%(2015年4月現在)を誇る。
競争の激化が進む中で、なぜコロワイドグループは急成長を続けることができるのか。その理由は、同一地域・ビル内で様々な業態を出店する多業態ドミナント戦略などを可能にする2,400店舗を展開する総合力と、「おもてなしを喜び」とするお客様第一主義の企業姿勢にあると言えるだろう。
カスタマーセンターの実績はグループの総合力とお客様第一主義を体現している。ピーク時には1日2,000件の電話を受けており、その内容はコロワイドグループのコロワイド、かっぱ寿司、アトムの3社の株主からの問い合わせが約1,000件、居酒屋の予約に関する電話が約500件、そのほかお店への問い合わせなどが500件程という。入電(着信)数に対し、受電対応者(オペレーター)が電話を取って対応した数の割合である応答率は、常に90%以上を維持。100人が電話してきた場合、90人以上の電話を受け付けていることになる。
応答率が大事なのはお客様満足とビジネスチャンスの拡大につながるからだ。予約電話を何度かけてもつながらなければ、「幹事さん」は時間を無駄にし、お店側はお客様の心とビジネスチャンスをともに失う。
ワールドピーコムは情報システムやネットワークの構築・運用などグループのITインフラを支えており、カスタマーセンターはその延長線上にあると言えるだろう。外食産業においてワールドピーコムの存在はコロワイドグループの一員としてよりも、セルフオーダーシステム市場で10年連続シェアNo.1を誇る、タッチパネル式セルフオーダーシステム「メニウくん®」の開発でその名を知られている。
タッチパネル式セルフオーダーシステムは2005年に同社がコロワイドグループの一員となるきっかけであった。「メニウくん®」の最大ユーザがコロワイドグループだった。

堀口 正人 氏

通信と画像で人と人とのコミュニケーションに貢献していく

居酒屋などでテーブルに置かれている端末を使って自分自身で注文をオーダーした経験はないだろうか? タッチパネル式セルフオーダーシステム「メニウくん®」は店舗スタッフを呼んでも気づいてもらえないイライラからお客様を解放する。
人件費・材料費の高騰、スタッフ不足が深刻化する中、スタッフを増強することなくお客様サービスを向上できる「メニウくん®」に業界の注目が集まっている。累計導入実績数は、1600店舗、6万台(平成27年12月末現在)に及ぶ。
導入実績No.1の理由は他社の追随を許さない同社の技術力にある。「様々な特許技術を取得し、それらがアドバンテージとなっています。特に充電器からタッチパネルを差し替えるだけで、再設定の必要なく故障した端末を簡単に交換できるスワップ機能は大きな強みです。一般的にオーダーシステムは端末にテーブル番号が設定されており、端末故障時には再設定をしなければなりませんでした」(堀口氏)
創業時から「通信と画像で人と人とのコミュニケーションに貢献する」ことを目指す同社が活躍する舞台は外食産業だけではない。例えば、コグニティブ無線と呼ばれる技術の研究開発を国の研究機関と共同で行っている。東日本大震災のときに通信手段の有効性が重要なテーマとなったが、コグニティブ無線は複数の無線方式を利用できるエリアにおいて通信の混雑状況を把握しソフトウェアが最適な通信方式を選択してくれる。
こうした研究開発の成果は無線LAN環境で利用する「メニウくん®」にも活かされている。「外食業の店舗は電波障害が起きやすい。電子レンジ、冷蔵庫などの電子機器、お客様が利用するスマートフォン、さらに隣の店舗からの電波障害もあります。目に見えない無線LAN環境の課題に対し研究開発で培った技術力で解決しています」(堀口氏)
居酒屋業界は競争が激化し、加えて少子高齢化や若者のお酒離れなど来店するお客様の総数も減少傾向にあるという。「厳しい状況の中で勝ち抜いていくためには、2つの観点からお客様サービスの向上を図ることが大切です」と堀口氏は話す。
1つは店内のサービス。美味しい料理はもとより『メニウくん®』のように待たせない工夫も重要なポイントになる。もう1つが来店前のサービス。「お客様にいかに来店していただく動機付けを行っていくかはグループにとって大きな課題となります。カスタマーセンターというお客様との接点を直接自分たちで持つことは非常に重要です」

小川 優 氏

カスタマーセンターの内製化では運用面が重要なポイントに

これまでもワールドピーコムは一部の店舗のコールセンター機能を担っていた。だが、留守番電話の役割に近かったという。「従来、店舗にかかってきた電話は当社に転送され、オペレーターが電話を受けた後、店舗からお客様に折り返しの電話を行っていました。お客様に店舗からの電話を待っていただくというサービス低下の問題に加え、ビジネスチャンスを失う可能性がありました」とワールドピーコム システムサービス本部 システムサービス部 カスタマーセンター 主任 山下弘文氏は話す。
またコールセンターをアウトソーシングして予約システムと連携し予約完了まで行うサービスも一部で実施していたが、同グループ専用のコールセンターではないため応答率が低く機会損失につながっていた。
コロワイドグループはお客様サービスの向上と機会損失の防止を目的に、既存のワールドピーコムのコールセンター機能を拡充しカスタマーセンターの内製化を図ることにした。
カスタマーセンターの内製化で重要なポイントとなったのが運用面である。カスタマーセンターは同社の本業ではないため、運用はできる限りシンプルにしながらもサービス品質の向上を追求していくといった矛盾する両面が求められた。矛盾する両面を実現する鍵となったのがクラウドだ。
カスタマーセンターのシステムを自社で所有するか、クラウドサービスを利用するか。同社は後者を選択した。電話応対の統合効果は規模が大きくなるほどに高くなるが、最終的にどのくらいの規模になるのかは想定が難しい。クラウドサービスならスモールスタートでニーズに応じて増減も自由自在にできる。システムを構築し運用する必要もない。
同社は複数社の提案の中から丸紅情報システムズのクラウド型コンタクトセンター「V-TAG」を選択した。採用の理由について「他社の提案はクラウドサービスといってもゲートウェイや自社専用線を必要としました。V-TAGはPCとヘッドセット以外に機材を資産化する必要がない。本当にシンプルに運用できる点が決め手となりました」とワールドピーコム システムサービス本部 システムサービス部 カスタマーセンター 主任 小川優氏は話しさらにこう続けた。
「当社は、本格的なコールセンター機能を持つカスタマーセンターの運営が初めてだったので、コールセンターシステムの豊富な導入実績とノウハウを持つ丸紅情報システムズの提案力や安心感も採用のポイントとなりました」
同社のカスタマーセンター業務に合わせたカスタマイズも不可欠だった。「電話を受けたオペレーターが予約システムを使って予約状況を素早く確認するために、電話がかかってきたときに店舗名が表示されることが必要でした。難しい要件でしたがしっかりと対応してくださいました」と山下氏は丸紅情報システムズの技術力を評価する。

山下 弘文 氏

PCとヘッドセットだけでいつでもどこでもカスタマーセンターの機能を実現

2015年7月、「V-TAG」を利用したお客様センターのサービスを開始。当初、25席からスタートし現在40席で114店舗をカバー、600店舗が電話番号を登録している。 導入効果について山下氏は次のように話す。「カスタマーセンターがお客様からのお問い合わせや予約の電話応答業務を代行することで店舗の業務軽減につながっています。今後、アルバイト募集など支援対象を拡大し、店舗がお客様満足につながる業務に専念できる時間を創出していきたい。
また応答率90%以上を維持し、リアルタイムで予約完了までを行うことにより機会損失の防止を実現しています」
業務継続性の面でも効果を実感できたと小川氏は付け加える。「ビルのメンテナンスのための計画停電の際、丸紅情報システムズにV-TAGを利用しているテレマーケティング会社をご紹介いただき、そこに切り替えただけで業務を継続できました」
今後はグループの強みを活かすことが重要なポイントになると堀口氏は話す。「例えば、お客様が予約したいお店が予約いっぱいだった場合にグループの他店舗を紹介したり、キャンペーンやお得な情報をタイムリーに提供したり、グループのシナジー効果を最大限に活かしお客様サービスの向上に貢献していきたい。またV-TAGはPCとヘッドセットがあればいつでもどこでもカスタマーセンターの機能を実現できることから、少子高齢化による労働力人口の減少を見据え、将来的にはコアな業務を確保したうえで在宅勤務やアジア地域での対応も考えられます」
電話のコールが鳴る。すぐにオペレーターが明るい声で応対する。サービスはお客様が来店する前からすでに始まっている。

カスタマーセンター

導入された製品情報

MSYSクラウド型コンタクトセンター 「V-TAG」

コンタクトセンター/コールセンター業界は、再編やサービスの多様化など大きな変革期を迎えており投資の最適化は重要な課題です。「V-TAG」(*1)はパブリッククラウドをインフラ基盤に、インバウンド・アウトバウンド機能を提供するグリッドコンピューティング型クラウドコンタクトセンターソリューションです。従来のコンタクトセンター/コールセンターシステムは、コンタクトセンター運営事業者が自社運用で構築・所有していましたが、「V-TAG」はPCとヘッドセット以外に機材を資産化することなくクラウドサービスとして利用することが可能です。案件に応じて必要な席数・機能を柔軟かつ効率的に配置し投資の最適化を実現します。

(*1)米スリーシーロジック(3CLogic.Incメリーランド州ロックビル、CEO:ラジ・シャルマ/Raj Sharma、設立:2007年)製クラウドコンタクトセンターアプリケーション

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